ミニ・レビュー
元ブランキー・ジェット・シティの浅井健一を中心に2002年結成したJUDEのベスト・アルバム。新録の(15)を収録。寓話的な詩と、チクチク尖ってギラギラしたサウンド。煽り立てながらも繊細で甘いヴォーカル。東京でしか生まれ得ない純真ロックンロール。
ガイドコメント
元ブランキー・ジェット・シティの浅井健一率いるJUDEのベスト・アルバム。2002年の結成以来にリリースした、アルバム5枚、シングル5枚の中から厳選された楽曲が収録。「何も思わない」の新録も聴ける。
収録曲
01DEVIL
マイナー調のロカビリーのスタイルを踏襲した、怪しげでデンジャラスな香りがプンプンとするロックンロール・ナンバー。2002年発表のアルバム『dirty animal』にも収録のシングル曲だ。
02チキチータブーツ
2004年発表のシングル「silvester&jhonnyK」のカップリング曲。サルサ調のリズムのイントロから、カウントとともに速いビートのロックンロール・ナンバーに変化。ヴォーカルの叫びに、心が燃えること間違いなし。
03DICK DEE
オカルト風の歌詞の世界観も含めて、サイコビリーの魅力のすべてを凝縮したようなナンバーだ。イントロや間奏で連発するブレイクが楽曲全体を引き締めている、2004年発表のアルバム『Zhivago』の収録曲。
04サニーのチョコレート
けだるい歌声からスタートする、アコースティック・ギターを絡めたゆるやかなナンバー。曲にあるフレーズを口笛で吹こうとするも音が出しきれないでいるのが、かえって曲の雰囲気より良く彩っている。2002年発表のアルバム『Chaming Bloody Tuesday』収録曲。
05アクセル
UKギター・ポップを彷彿とさせるナンバーで、バックでかき鳴らされるアコースティック・ギターと歌メロが、どことなく切ない感覚を聴く者に抱かせているよう。2003年発表のアルバム『Highway Child』収録曲。
06ロシアビリー
2005年発表のアルバム『Electric Rainbow』収録曲。アコーディオンをフィーチャーした曲で、掛け声と詞の内容から一見メルヘンチックな曲なのかと思いきや、良く聴くと現代社会への皮肉とも取れるような意味深な内容となっている。
07Shampoo
2005年発表のシングル曲。アンニュイなヴォーカルに加え、サイケデリックっぽい展開をする部分もところどころで聴きとれるナンバー。かき鳴らされるアコースティック・ギターが曲をいっそうアンニュイに彩る。ブレイク箇所でのユニークなギターも魅力的だ。
08ロバの馬車
オープニングの鈴の音の響きが印象的なラブ・ソング。クリスマス・シーズンのような寒い時期にはピッタリの曲だが、このバンドらしい“粗雑なカッコ良さ”は失われてはいない。2004年発表のアルバム『Zhivago』収録曲。
09海水浴
2003年発表のアルバム『Highway Child』にも収録されたシングル曲。ミドル・テンポの幽玄な雰囲気をたたえたナンバーで、高音の煌びやかなギターのイントロが、過ぎ去った夏の情景を演出するのに一役買っている。
10新しい風
2003年発表のアルバム『Highway Child』収録曲。「生きるんだ」と歌われる詞と、そのバックで流れるギターのアルペジオやイントロのギターの音が絡むことで、人間社会の波の中を漂い、さ迷うような錯覚に囚われる。
11カリブの海賊の宴会
少しエスニックな要素も入ったメロディが、テンポ速く織りなしていくインストゥルメンタル・ナンバー。絶叫が炸裂するパートとスローなパートが交互に展開し、ライヴ映えすること間違いなしの、2002年発表のアルバム『Dirty Animal』収録曲。
12愛のChupa Chups
2004年発表のアルバム『Zhivago』収録の、激しく、怪しい匂いが漂うロックンロール・ナンバー。ブレイク部の「チュッパチャップス」のコーラスが危険な匂いをいっそう引きたてる、このバンドのカッコ良さを象徴する曲。
13白雪姫
アルペジオが印象的なややスローな8ビートと、激しいサウンドが交互に展開するナンバー。ヴォーカルは一貫して醒めた雰囲気で歌うことで、詞の世界観をリアルに駆り立てているようだ。2002年発表のアルバム『Dirty Animal』収録曲。
14シルベット
メロディアスで少々切なさも感じられるラブ・ソングだが、バンドのリズム・アンサンブルが、安っぽい感傷のみに陥らない効果を醸し出している。2002年発表のアルバム『Charming Bloody Tuesday』収録曲。
15何も思わない (Acoustic New Recording)
2003年発表のシングル「海水浴」のカップリング曲を、アコースティック・ギターとヴァイオリンのみのアレンジで新たにレコーディングしたナンバー。悲しさや不安さを醸し出しながら、歌の世界をより強く表現するヴァイオリンの演奏は見事の一言!