ミニ・レビュー
モントリオール出身の5人組のアルバム(3枚目)。何とアコースティックなバラードがあったり、ティンバランドで知られるデンジャをプロデューサーに迎えたりと、驚きの連続。ポップなパンクからの見事な脱却、成長を見せる。
ガイドコメント
カナダ出身の人気ポップ・パンク・バンド、シンプル・プランの3rdアルバム。脱パンクとも言えるポップなメロディで、息もつかせぬほどに次から次へとキャッチーなナンバーを展開していく。
収録曲
01WHEN I'M GONE
アルバム『シンプル・プラン 3』のオープニング曲。前作までのポップ・パンクではなく、力強いミディアム・ロックで従来のイメージをガラリと変えているのに驚かされる。彼らの新たなる引き出しが垣間見られるナンバーだ。
02TAKE MY HAND
パンクというよりハード・ロック風。イントロからして荒々しく、ヴォーカルもスピード感たっぷりだが、キャッチーなメロディで聴き手の心をつかんでいく。パンクというイメージを払拭したといえるナンバー。
03THE END
打ち込みを強調し、なおかつロックの要素とブラック・ミュージックの要素をミックスしたような凝ったサウンド作りに驚かされる。フックをたっぷり効かせた、緩急の変化に富んだ演奏だ。
04YOUR LOVE IS A LIE
ギターのアルペジオのイントロが印象的な、歌をじっくり聴かせるゆったりめのポップ・ナンバー。“君の愛は嘘だったんだ”と歌う切々としたヴォーカルとサウンドに、彼らのバンドとしての成長を実感できる。
05SAVE YOU
ピアノとアコースティック・ギターをフィーチャーした、大人っぽいバラード・ナンバー。胸がキュンとなるような美しいヴォーカルが魅力で、リード・ギターのフレーズなどのスケールの大きいサウンドやコーラスも聴きものだ。
06GENERATION
従来のイメージから考えると驚かされる、ティンバランドの片腕としても知られるデンジャ(ネイト・ヒルズ)によるプロデュース曲。高らかなブラスが入っていたり、ヒップホップ的な要素も感じさせるなど、オリジナリティにあふれた興味深い演奏だ。
07TIME TO SAY GOODBYE
初期シンプル・プランを思わせるポップなパンク・ナンバー。流麗なメロディや前向きで快活な演奏は、やはり彼らの大きな魅力だ。バンドの印象を変える曲が並ぶアルバム『シンプル・プラン 3』の収録曲だが、不思議なことに違和感はない。
08I CAN WAIT FOREVER
じっくりと耳を傾けて聴きたいバラード・ナンバー。メロディが美しいのはもちろんのこと、ピアノとストリングスをフィーチャーしたドラマティックな構成や間奏でのリード・ギターも、ひたすらに感動的だ。
09HOLDING ON
ところどころU2を思わせる、スケールが大きく浮遊感のあるロック・ナンバー。ピエール・ブーヴィエのエモーショナルで繊細なヴォーカルが胸を打つのに加え、バンドが生み出す存在感のあるサウンドも味わい深い。ラップも聴かせる。
10NO LOVE
伸びやかで奔放かつ情熱的なヴォーカルやファルセット、美しいコーラス、厚めのサウンドなどが一体となったバラード・ナンバー。力強さと繊細さが同居しているところに、彼らならではの魅力を感じる。
11WHAT IF
ストリングスの静かな響き、荘厳なコーラスからしだいに盛り上がっていくアルバム『シンプル・プラン 3』のラスト。堂々としたヴォーカルとリズミカルな演奏に、彼らの成長や自信が表明されている。メッセージ性を帯びた歌詞にも注目したい。
12WHEN I'M GONE
アルバム『シンプル・プラン 3』日本盤のみのボーナス・トラック。シングル・カットされたナンバーのアコースティック・ギター・ヴァージョンで、シンプルな音になったぶん、特にヴォーカルの成長ぶりがくっきりと伝わってくる。
13RUNNING OUT OF TIME
アルバム『シンプル・プラン 3』日本盤のみのボーナス・トラック。初期のポップ・パンクを思わせ、彼らの原点が垣間見られる。初期サウンドのファンの溜飲を下げる、カッコいいナンバーだ。
仕様
CDエクストラ内容:ホエン・アイム・ゴーン (ビデオ・クリップ)