ミニ・レビュー
日本でも“おさるのジョージ”として知られる、世界中の子どもたちに愛されている絵本『キュリアス・ジョージ』がついに映画化。音楽はサーファーの世界では有名なアーティスト、ジャック・ジョンソン。ナチュラルで、心あたたまる歌声とサウンドが満載だ。
ガイドコメント
世界中の子供たちに親しまれる「キュリアス・ジョージ(ひとまねこざる)」が映画化。ジャック・ジョンソンによる映画のサントラ盤は、新曲を中心にG.ラヴやベン・ハーパーなどとのコラボ曲を収録。
収録曲
01UPSIDE DOWN
映画『キュリアス・ジョージ』サウンドトラックのオープニング・トラック。ウクレレとアコースティック・ギターが奏でる音は、爽やかで温かくて心地良い。親近感あるジャックのヴォーカルは説得力に秀でている。
02BROKEN
呟くようなジャックのヴォーカルが、いつのまにか心に染みわたっていることに気づく。強引さが微塵も感じられない分、リアリティがともない、彼の幸福論が真摯に響く。それを助長するギターも最高の出来だ。
03PEOPLE WATCHING
ザック・ギルのピアノをバックに歌われるのは、現代人が抱く“孤独”の矛盾。いつの時代にも喜ばれそうなシンプルでクラシカルな秀曲。心を開こうと叫ぶジャックの感情豊かなヴォーカルが、強い余韻を残す。
04WRONG TURN
高音と低音との二重ギターのアルペジオの旋律が美しい失恋歌。中盤から細やかなピアノの音色が加わると、聴き手の感情に訴えかける力はさらに絶大に。純真無垢なジャックの歌声も痛いほどに胸に響く。
05TALK OF THE TOWN
基本的に穏やかなジャックのヴォーカル。だが油断することなかれ、突然感情が込み上げ、こちらに迫ってきたりもする。その瞬間こそがジャックの魅力の1つ。ゲスト参加のカウィカ・カヒアポとの掛け合いも聴きものだ。
06JUNGLE GYM
サーフィン仲間でもある盟友G.ラヴとのデュエット・ソング。渋いハーモニカと、陽気なアコースティック・ギターが織りなすレトロな雰囲気の中、日常に溢れる密かな幸せを歌い上げるハッピー・ソングだ。
07WE'RE GOING TO BE FRIENDS
デトロイトのブルース・ロック・デュオ、ホワイト・ストライプスの演奏でも有名な曲。少年時代に対する郷愁を綴った歌詞は、しみじみと歌い上げるジャックの歌声にピッタリだ。一人、じっくりと聴き込みたい楽曲だ。
08THE SHARING SONG
ファミリー向け映画『キュリアス・ジョージ』に提供された曲ということもあってか、日本でいうところの『みんなのうた』のような子供と一緒に楽しめる無邪気な楽曲に仕上がっている。ピアノやオルガンのファニーな演奏が楽しい。
09THE 3 R'S
サーファーでもあり、自然をこよなく愛するジャックの環境改善PRソング。分かりやすい歌詞と覚えやすいメロディで、幅広い年齢層をカヴァーしそうだ。メルロー・ポドゥルフスキのファンキーなベース・ラインもたまらない。
10LULLABY
ジャック主宰のレーベルと契約した新人マット・コスタとのデュエット・ソング。オルゴールを思わせる綺麗で儚い鉄琴とジャックのヴォーカルとの相性は抜群。“ララバイ”というタイトルにピッタリな楽曲だ。
11WITH MY OWN TWO HANDS
ゲストとしてベン・ハーパーが参加。自然派ジャックと社会派ベンが歌う環境美化PRソングは、さすがに説得力に長けていて、真摯に耳を傾けたい1曲だ。名ギタリスト二人の共演ということでもあり、聴きどころは盛りだくさん。
12QUESTIONS
殆どアコースティック・ギターのみで構成されたシンプルな楽曲。なぜこんなにも人をリラックスさせることができるのか、ジャックの才能は計り知れない。映画『キュリアス・ジョージ』サウンドトラックに収録。
13SUPPOSED TO BE
サーファーとしてもその名を馳せる自然をこよなく愛する男ジャック。そんな彼らしく、この曲は聴き手を広大な空間へと誘うようだ。フェイド・アウトしていく彼の歌声は、まるで海に沈む太陽のように儚く美しい。
14THE 3 R'S
映画『キュリアス・ジョージ』サウンドトラックの日本版ボーナス曲。元々は子供向けの感が強かった曲だが、マニー・マークのリミックスにより鋭さを増し、大人向けに大変身。リサイクルを訴える環境美化推進ソング。