ミニ・レビュー
シングル・コレクション。どこかで聴いた風のフレーズがちりばめられた胡散臭さがありながらも独特の存在としてブレイクしたのは、ヤンキー=ロック(今はヒップホップもか)のナルシシズムに拘らずポップなメロディで表現し昇華したから。見事な遊び心だ。
ガイドコメント
CD+DVDの2枚組で送る豪華なシングル・コレクション。チャートでベスト10入りした全シングル7曲に加え、代表曲3曲も収めた。グリコのCF曲「族」のPVなど、初収録となる作品も。
収録曲
[Disc 1]
01One Night Carnival
木更津発ヤンク・ロック・バンドのデビュー曲。ロック・バンド的な硬派ギター・サウンドを基調としつつも、歌謡曲的直球な歌メロと、恥ずかしさ寸前のフレーズで強引に痺れさせる怒涛の哀愁感には、もうひれ伏すしかない。
02恋人
仰々しいピアノとストリングスのイントロが、一転して歌謡曲風ダンス・ビートへと展開する2ndシングル。突っ込みたくてたまらないフレーズの数々に躍らされ、気づくと彼らの世界にどっぷりハマる可能性大の曲。
03スウィンギン・ニッポン
“きっかけはオマエの笑顔”と恥じらいもなく歌えるところに、彼らの強みがある3rdシングル。表現は大げさだが、彼らのマヤカシともいえるベタなフレーズにかかると、ついつい笑顔になっている応援ソングだ。
04SECRET LOVE STORY
綾小路翔と星グランマニエの共作の4thシングル。レコード・プレーヤーのノイズ、鐘や鈴の音、ゴスペルチックなコーラスと、あからさまにウインター・ソングとわかる演出が、甘く切ないハッピー・チューン。
05キラ キラ!
これぞヤンク・ロック! ともいえるような学園ドラマが展開される5thシングル。疾走するロックンロールがしっかりとベース・ラインに乗って、浮ついた感じがない硬派な仕上がりとなっているナンバー。
06結婚闘魂行進曲「マブダチ」
6thシングルは、ジューン・ブライドよろしく6月にリリースされた氣志團風ウエディング・ソング。「結婚行進曲」をネタに、あくまでも素人さや男臭さを残しつつ、巧妙な玄人仕上げのアレンジが彼ららしい曲。
07族
グリコ『カフェオーレ』イメージ・ソングに起用された7thシングル。“オレ!オレ!”のサンバ調のかけ声がハッピーさを醸し出すサビと、一転して漆黒の闇を走り抜ける鋭いメタリックな部分との構成がユニーク。
08湾岸夜想曲〜ルシファーズ・ハンマー'94〜
青春賛歌のようなコーラスから、不穏な空気を醸し出すようなギター・リフと叫び、そしてロカビリー調のサウンドへ展開していく構成は、迷い彷徨う不良たちを体現しているかのよう。悲しき若者の叫びがここに。
09デリケートにキスして
カメラのフラッシュを思わせる、次々と獲物を捕らえるような瞬発力あるギター・リフと、“キス!キス!キス!”のフレーズが、実に小気味いいロカビリー・ナンバー。勢いで一気に聴かせる。
10黒い太陽
青春パンク・バンドにも思えるようなサウンド、胸をキュンとさせるコード進行と、甘酸っぱさと切なさがふんだんに詰め込まれているロック・ナンバー。しっかりとしたサウンドメイクはこの曲でも顕在だ。
[Disc 2]〈DVD〉
01One Night Carnival (原宿暴動ver.)
02恋人
03スウィンギン・ニッポン
04SECRET LOVE STORY
05キラ キラ!
06結婚闘魂行進曲「マブダチ」
07族
08湾岸夜想曲〜ルシファーズ・ハンマー'94〜
09デリケートにキスして
10黒い太陽