ミニ・レビュー
アルフィーが83年から86年に発売した10枚のシングルのAB面の楽曲を1枚にコンピレーションしたのが本作。この時期は彼らがフォーク&ニューミュージックのスタイルから、徐々にロック色を強め始めてた頃。その辺の変遷が見えてくる作品だ。
収録曲
[Disc 1]
01暁のパラダイス・ロード
83年がアルフィーにとって記念すべき年であったことは自他共に認めるところ。この曲は同年3月にリリースされた通算15枚目のシングルで、全国ツアーや初の日本武道館公演など、明らかに人気のあるグループだった彼らが本曲でチャートでも好成績を記録した。この3ヵ月後発表の「メリーアン」でついにブレイクを果たす。
02祈り
マイナー・スケールを基調とした重々しいアコースティック・ギターと3人の重厚なコーラス、そして厳格で深みのある歌詞が印象的なナンバー。ドラムやキーボードを加えることでロック色を強くする反面、こういうダークな楽曲を作り上げてしまうあたりに彼らの懐の深さが垣間見られる。ライヴ映えする名曲としても人気が高い。
03メリーアン
04ラジカル・ティーンエイジャー
初の大ヒットを記録した記念すべきシングル「メリーアン」のB面収録曲。未来志向を象徴する“ティーンエイジャー”をモチーフにポジティヴな意気込みを高らかに歌い上げるナンバーで、アルフィーの生き様をそのまま表現したような作品。エンディングの大合唱部分など、特にライヴで盛り上がるナンバーとして知られる。
05星空のディスタンス
06ダウンタウン・ストリート
「メリーアン」に続き大ヒットしたシングル「星空のディスタンス」のB面収録曲。83年頃からロック色を強くする一方でさまざまなスタイルに次々とチャレンジした彼ららしい遊び心いっぱいのファンキーなナンバー。全編にわたる坂崎幸之助のパワフルなヴォーカルのほか、エンディングのハーモニカの裏で叫んでいるセリフにも注目。
07スターシップ〜光を求めて
84年5月リリースの通算18枚目となるシングル曲。アルフィーにとって初となるアニメ・タイアップで、劇場版『SF新世紀レンズマン』の平和をテーマにしたエンディング曲として使用された。「メリーアン」「星空のディスタンス」同様、高橋研が作詞に参加し、桜井賢がリードを歌う。ブレイクの勢いに乗って大ヒットした。
08愛の鼓動
18thシングル「STARSHIP〜光を求めて〜」のB面収録曲。この曲も劇場版『SF新世紀レンズマン』のタイアップで、愛のテーマ曲として劇中で使用された。ドラマティックな曲調と壮大なスケール観を持つアルフィー・サウンドと近未来を舞台にした映画本編の世界観が見事にマッチ。主題歌としての成功例と言える。
09恋人達のペイヴメント
多くのヒット曲を輩出したグリコ“アーモンド・チョコレート”のCMソングとしても知られる19枚目のシングル曲。エア・サプライを彷佛とさせるような高見沢俊彦の高音域のヴォーカルと、高橋研との強力タッグによる完成度の高い歌詞が魅力の壮大なバラード曲。「メリーアン」で火が点いた人気を決定的にした曲でもある。
10ロールオーヴァー・イエスタデイ
84年10月リリースのシングル「恋人達のペイヴメント」のB面に収録されたナンバー。壮大なバラードであるA面曲と絶妙なコントラストをなす、ご機嫌なロックンロール・チューン。怒濤の2バスをバックに、高見沢俊彦のギター・ソロが炸裂、坂崎幸之助のヴォーカルやシャウトの男っぽさなど、彼らの魅力を堪能。
[Disc 2]
01シンデレラは眠れない
カネボウ化粧品'85春のイメージ・ソングとしても人気を呼んだ通算20枚目となるシングル曲。当時流行っていた電子ドラムを導入したポップ・ロック調で、坂崎幸之助がしゃがれた男っぽいヴォーカルを聴かせる。デイヴ・ロジャースがアルバム『ALFEE MEETS DANCE』でこの曲をダンス・カヴァーしている。
02ア・ラスト・ソング
20thシングル「シンデレラは眠れない」のB面に収録されたバラード曲。静かなピアノをバックにささやくように歌うAメロから壮大なサビに至る緩急ある展開が魅力。アルフィーの数あるバラードの中でも特に人気の高い曲のひとつで、高見沢流ラヴ・ソングの真骨頂的作品。ライヴのラストを飾るナンバーとしても人気が高い。
03霧のソフィア
85年10月リリースの通算21枚目となるシングル曲。一般に知られる王道的アルフィー・サウンドを踏襲した高見沢俊彦のリード・ヴォーカル曲だが、こうしたシャッフル・リズムを基調としたシングル曲は意外と少ない。ブレイクのきっかけとなった「メリーアン」から6作続いた高橋研との共同作詞も、本作でいったん終わる。
04ブルー・エイジ・レヴォリューション
85年10月リリースの通算21枚目となるシングル「霧のソフィア」のB面収録曲。シンプルかつストレートなハード・ロックで、桜井賢ならではのパワフルなヴォーカルが生き生きとしている。ライヴ映えするナンバーだが、この曲でオープニングを飾ったコンサートで桜井が歌詞を忘れてしまったというエピソードでも知られる。
05風曜日、君をつれて
高見沢俊彦ならではのキャッチーこのうえないサビと、桜井賢の骨太なヴォーカルが完璧なまでにマッチした軽快なハード・ロック。84〜86年のシングル曲すべてがCMタイアップになった彼らだが、全日空CMで使用されたこの曲はその中でもイメージ、クオリティともに特に完成度が高い。洋楽と邦楽のツボを見事に押さえている。
06世にも悲しい男の物語
22枚目のシングル「風曜日、君をつれて」のB面収録曲。坂崎幸之助のファンキーなヴォーカルが魅力のロック・ナンバーで、「DOWN TOWN STREET」同様、男の悲しい性を歌いながらもサウンドは極めて軽快という点が特徴的。一見地味なナンバーだが、こうした楽曲にこそアルフィーならではの幅の広さがある。
07スウェット&ティアーズ
86年のアルフィーを代表するキャッチーなロック・チューン。夏のライヴ・イベントではイントロに合わせて花火が打ち上がる定番曲だが、メンバーはステージ上で火の粉を浴びるとか。間奏部分が大きく異なる『AGES』収録ヴァージョンと聴き比べるのも面白い。このシングルからアーティスト名に“THE”が付くようになった。
08風よ教えて
23枚目のシングル「SWEAT&TEARS」のB面に収録された桜井賢リードのバラード曲。テーマは不倫だが、その純粋で悲しい側面を歌ったストレートなラヴ・ソング。曲の進行とともに次第に盛り上がり、3人が盛大なコーラスを歌うラストのサビへの展開が聴きどころ。桜井リードのバラード曲の中でも特に人気が高い。
09ロックダム-風に吹かれて-
86年9月にリリースされた24枚目のシングル曲。学生運動が盛んだった彼らの青春時代を歌ったナンバーで、切ないまでのノスタルジーを感じさせる高見沢俊彦のハイ・トーン・ヴォイスが印象的。86年の10万人コンサートで、初めて披露したにもかかわらず観客が大合唱したというエピソードでも知られるナンバー。
10デイズ・ゴーン・バイ
24枚目のシングル「Rockdom 〜風に吹かれて〜」のB面に収録されたウエスタン・テイストの明るいナンバー。坂崎幸之助の3フィンガー奏法による軽快なアコースティック・ギターと3人の爽やかなコーラスが絶妙に絡んだ異色作で、全編英語詞のうえ、楽曲の完成度が高いため洋楽のカヴァーと勘違いされることが多い。