ミニ・レビュー
タイトル通りに、彼らのこれまでのシングルを集めたベスト・アルバム。ハスキーで適度に男くさく、適度にウェットな歌声とメロディ……こうして代表作が並ぶと、改めて日本人好みのポップスの王道かなと思う。
収録曲
01離したくはない
彼らの代名詞的必殺バラード。ピアノが切ないイントロ、ドラムやギターも加わっての感動的サビ、泣きまくるギター・ソロと、ビフォア&アフター・サービス抜かりなしの構成。「離したくない」ではなく“はない”なのが深い。
02じれったい愛
92年のヒット・ナンバー。当時流行っていた“オーケストラヒット”を駆使したポップなサウンドとT-BOLANならではのキャッチーこの上ないメロディが魅力。パワフルなバッキング・ヴォーカルは大黒摩季。
03バイ・フォー・ナウ
イントロの部分だけがやたらとかしましい、必殺の泣かせバラード。情景が限定されない歌詞ゆえ、失恋、離婚、卒業、転勤、退職など、“別れ”が登場する風景のどこにでも対応可能。なぜか最後はゴスペル風に盛り上がって幕。
04マリア
ヴォーカルの森友嵐士が、ある女性を想い作った曲。彼らの王道スタイルである、サビでグイッと感情のメーターを振り切るタイプとは少々趣が異なり、終始アップテンポでキャッチー。シンセの音色も印象的な軽快ナンバーだ。
05おさえきれない この気持ち
「Bye For Now」の大ヒットを受けて発表された7枚目のシングル曲。イントロ、ソロと感情を飛ばしまくるギターにも負けない、サビ部分での森友嵐士の感情表現の豊かな歌唱。盛り上がりに関しては、「Bye〜」にも匹敵する構成だ。
06傷だらけを抱きしめて
ファン以外にはバラード・バンドの印象が強い彼らのもうひとつの面がフィーチャーされたアップテンポのナンバー。ビート重視のギターと、西城秀樹→氷室京介の系譜に連なるヴォーカルが、BOOWYの系譜に連なる歌謡ロックを形成。
07シェイク・イット
ソリッドなロックンロール・ナンバー。スネア・ドラムの4つ打ちを軸にした力強いビートをはじめ、森友嵐士の奔放なヴォーカルやゴキゲンなピアノなど、極めてノリが良い。楽曲の雰囲気に合ったセクシャルな歌詞も秀逸だ。
08すれ違いの純情
織田哲郎が作曲を手掛けたライト・バラード。別れた女性を忘れられないでいる寂しい男の歌で、森友嵐士の情感豊かなヴォーカルが切なく響きわたる。J-POPらしいオーソドックスな展開なので安心して聴いていられる。
09ラヴ
五味孝氏の泣きのギターで幕を開ける壮大なバラード・ナンバー。重めのビートを土台にしたスケール観のあるアンサンブルが感動的。テレビ朝日系ドラマ『彼と彼女の事情』の主題歌であったことも手伝ってヒットした。
10わがままに抱き合えたなら
アップ・テンポのハード・ロック・チューン。ソリッドな8ビートを刻むドラムが楽曲に重量感を与える一方で、きらびやかなシンセがポップなエッセンスを注入。サビで一気に炸裂する森友嵐士のヴォーカルが爽快だ。
11刹那さを消せやしない
宇徳敬子がゲスト参加した軽快なポップ・ロック。別れた恋人の温もりと笑顔が忘れられなく、切なさに悶える失恋ソング。森友嵐士のヴォーカルと相性の良い宇徳のスウィートな歌声がサビ・メロディを引き立てている。
12愛のために 愛の中で
アコギのシャープなカッティングが印象的なミディアム・バラード。愛を信じる心を主題に世界の平和にまで言及するスケールの大きいラブ・ソング。サビのメロディを際立たせるバッキング・コーラスが非常に美しい。