[Disc 1]
01CEREMONY
前身バンドのジョイ・ディヴィジョンの曲をカヴァーしたもの。陰鬱で憂いを秘めたサウンドはジョイ・ディヴィジョンのヴォーカルであり、自殺したイアン・カーティスを弔うかのように厳かに鳴り響いている。
02PROCESSION
華やかで疾走感のあるサウンドとは裏腹に、気怠く投げかけられるヴォーカルと暗い歌詞が象徴的な1曲。前に進もうとしつつも、過去の闇から抜け出せなかった初期のニュー・オーダーの苦悩が色濃く反映された作品だ。
03EVERYTHING'S GONE GREEN
「プロセッション」のB面曲だが、この曲で導入されたダンス・グルーヴがバンドの後の未来を切り拓いたといっても過言ではない。バンドの歴史だけでなく、ロック史を塗り替えるきっかけを作った、まさに“偉大なる一歩”といえるナンバーだ。
04TEMPTATION
新たに手に入れたダンス・ビートという武器を取り込み、さらに押し進めた実験的な1曲。発展途上中の未熟さは目立つが、太いキックやうなるベース・ラインにはすでにニュー・オーダー・サウンドの基盤が見え隠れしている。
05BLUE MONDAY
世界を踊らせ、マッドチェスター・ムーヴメントを巻き起こした最強のダンス・シングル。クールなサウンドとマグマのように渦を巻くグルーヴがダーク・サイドなダンス衝動を刺激しまくる。すべてのダンス・ミュージックの母ともいうべき歴史的1曲だ。
06CONFUSION
「混乱状態!」とカオティックな状態を歌ってはいるが、サウンド面やヴォーカルはむしろもっと「冷めた」状態から放たれている。この辺りの対比が何とも面白い。エレクトロ化が進み、よりダンス色が強くなっているのも見逃せない。
07THIEVES LIKE US
流麗なキーボードとベース・ラインがなんとも美しいナンバー。川の流れのように緩やかでありながらも、どこか雄大なサウンドにはただただうっとりさせられる。この時期からメロディ・ラインがぐんと引き立ってきた印象だ。
08THE PERFECT KISS
甘いメロディとアッパーなディスコ・サウンドが炸裂するニュー・オーダーのキラー・チューン。キラキラと光を放つ音の粒子が、オーディエンスを一瞬で恋に落とすほどのパッションを生み出している。
09SUB-CULTURE
80年代的ディスコ・サウンドに彩られたケバケバしいダンス・ナンバー。狂騒的な曲調でありながらも、歌の内容は当時のイギリスにおける労働階級の若者なら誰もが抱えていた孤独をシリアスに捉えたものだ。
10SHELLSHOCK
生バンドとエレクトロ・サウンドがほどよく融合したフィジカルなダンス・チューン。あちこちでうなりをあげるファズ・ギターが曲全体にインパクトを与えるだけでなく、気持ちを高揚させてくれる。
11STATE OF THE NATION
当時のイギリスの経済状態を歌ったシリアスなナンバー。ダンス・ビートを基調としていながらも、ギターが激しくかき鳴らされていたりとロック色が濃厚。当時の若者たちから絶大な支持を得たのは言うまでもない。
12BIZARRE LOVE TRIANGLE
80年代ニュー・オーダーのナンバーの中でもとりたててきらびやかで甘いダンス・ナンバー。フロアを照らし出すミラーボールと踊るオーディエンス、宙を漂う紫煙の香りまでが脳裏にはっきりと浮かび上がる、享楽的で至福の1曲だ。
13TRUE FAITH
「ブルー・マンデイ」の流れを汲むような、クールでダークなダンス・ナンバー。気怠い朝を想起させる退廃的で陰影のあるメロディがあまりにも美しい。憂鬱な日常に射す、一筋の光のような神々しい曲だ。
141963
ノスタルジックな香り漂うキーボードのフレーズが印象的な、直線的なビートを基盤にしたロック調の切ないミドル・チューン。ストーリー仕立てのリリックに、バーニーのセンスが光っている。ファンの間でも根強い人気を誇るいぶし銀なナンバーだ。
15TOUCHED BY THE HAND OF GOD
80年代後半特有のギトギトにチューンナップされたエレクトロ・サウンドが多用されたミドル・ダンス・チューン。ドラッギーなサウンドと強力なグルーヴが生み出す酩酊感は、かなりの吸引力を発揮している。
[Disc 2]
01BLUE MONDAY '88
「ブルー・マンデイ」を再録したヴァージョン。2分近いイントロを短くし、ギターのカッティングや掛け声のようなコーラスをインサートするなどアレンジして、全体をタイトにした印象。原曲に比べてかなりポップなものに仕上がっている。
02FINE TIME
野太いベース・ラインとけいれん気味のギターにエレクトロ・サウンドが混じって渾然一体となり、かなりカオティックなグルーヴを生み出している。ヴォーカルはほとんどなく、テクノ的な要素が強いのも見どころだ。
03ROUND AND ROUND
甘いメロディとバーニーのささやくようなヴォーカルに酔いしれられるダンス・ナンバー。良く言えば清涼感、悪く言えば抑揚のないサウンドだが、差し込まれるギトギトしたシンセのフレーズがインパクトとして上手く機能している。
04RUN 2
80年代最後のアルバム『テクニーク』に収録されている「RUN」のシングル・ヴァージョンだが、盗作騒動がありすぐに回収されてしまった幻のレア音源。ギター・サウンドを全面に押し出した甘く切ないUKロック・サウンドが胸に迫る良曲だ。
05WORLD IN MOTION
90年にイタリアで開催されたサッカー・ワールドカップのイングランド代表の公式応援ソングとしてリリースされた音源。戦意と高揚感を煽るエネルギッシュなサウンドも素晴らしいが、後半のコーラスはいやおうなしにシンガロングしたくなる。
06REGRET
エッジの効いたギター・リフから転がり込む、ダイナミックなサウンドと憂いを秘めつつも美しさを放つメロディが、胸をキュンと締めつける。バンド・サウンドへと転化した90年代ニュー・オーダーが放つ至高の名曲。
07RUINED IN A DAY
どんよりとした暗雲を思わせる重苦しいサウンドと、憂鬱が垂れ流される歌声はどこまでも鬱屈としているが、根源に流れるメロディが持つ美しさは絶品。祈りにも似たバーニーの声に癒されるメロウなナンバーだ。
08WORLD PRICE OF LOVE
バウンシーなビートとキーボード・サウンドが牽引するエレクトリックなミドル・チューン。パーカッションなども取り入れ、ストーン・ローゼズ的ともいえるグルーヴが見え隠れしているのが興味深い。
09SPOOKY
当時の最前線サウンドであるアシッド・ハウス的な毒々しさを採り入れたダンサブルなナンバー。アグレッシヴなサウンドとバーニーの甘いヴォーカルの対比が、ニュー・オーダー独特の切なさを醸し出すなど、実に彼ららしい進化が見てとれる。
10CRYSTAL
前作から約8年の沈黙を破って発表されたシングル曲。エレクトリックな要素をほとんど剥ぎ落とし、バンドによる生音サウンドに特化されているのが印象的。フィジカルなサウンドに回帰しつつも足取りは軽い。ポップでダンサブルなナンバーだ。
1160 MILES AN HOUR
ドライヴ感のあるサウンドから、なんとなくロードムービーを想起してしまう広大で奔放な曲。行く当てもなく放蕩しているようで、実は目的地に向かって突っ走っていくメロディは、彼らの次のステージを指し示しているかのようだ。
12HERE TO STAY
映画『24アワー・パーティ・ピープル』の主題歌として書き下ろされた音速のダンス・チューン。サウンド・プロデュースをケミカル・ブラザーズが手掛けているせいか、かなりしっかりした密度の濃い音作りになっているのも見逃せない。
13KRAFTY
冒頭から繰り出されるピーター・フックの野太いベース音、ささやくようなバーニーのヴォーカル、脈打つ電子ビートにきらめくキーボードのサウンド……。四半世紀にわたる彼らのキャリアを凝縮したような集大成的ナンバー。飛ぶように奏でられるメロディは軽やかで美しい。
14JETSTREAM
どこかしら野暮ったい感じのあるニュー・オーダーのイメージを根底から覆すような、クールでお洒落なダンス・チューン。ゲスト・ヴォーカルにシザー・シスターズのアナが参加し、艶っぽさを加味している。
15WAITING FOR THE SIRENS' CALL
得意のメランコリック・サウンドをこれでもかと繰り出したニュー・オーダーの王道的なナンバーだが、全体の演奏のバランスがぐっと引き締まった印象。柔らかいメロディが浮かび上がっては、ふっと流れていく。その刹那の美しさに涙すら出る。
16TURN
がっしりとしたバンド・サウンドで聴かせる疾走感のある1曲。タイトルの「ターン」が表わすように、25年のキャリアを「ここはまだターニングポイント」と言い放つ、頼もしいメッセージが込められたナンバーだ。
17EVERYTHING'S GONE GREEN
「プロセッション」のB面曲だが、この曲で導入されたダンス・グルーヴがバンドの後の未来を切り拓いたといっても過言ではない。バンドの歴史だけでなく、ロック史を塗り替えるきっかけを作った、まさに“偉大なる一歩”といえるナンバーだ。
18BIZARRE LOVE TRIANGLE
80年代ニュー・オーダーのナンバーの中でもとりたててきらびやかで甘いダンス・ナンバー。フロアを照らし出すミラーボールと踊るオーディエンス、宙を漂う紫煙の香りまでが脳裏にはっきりと浮かび上がる、享楽的で至福の1曲だ。