ガイドコメント
史上最強のモンスター・ロック・バンド“メタリカ”の約6年ぶりのアルバム。元オジー・オズボーン・バンドのロバート・トゥルージロ(ベース)が正式加入し、さらにパワーアップしたサウンドを聴かせる。
収録曲
01FRANTIC
イントロの独特な癖のあるリフを聴いただけで、ラウドで攻撃的なメタリカのカムバックを確信させる直情的なナンバー。サビの部分で、呪文のように繰り返される“TICK”というフレーズが印象的だ。
02ST.ANGER
『セイント・アンガー』(2003年)のタイトル・トラック。ブルータルなイントロからメロウなヴォーカルに入り、サビでは一気に疾走するというメタリカの粋を集めたかのような一曲。余計な装飾いっさいなしの潔さ。
03SOME KIND OF MONSTER
一聴しただけではいまいちインパクトに欠けがちだが、じっくり聴くほどに味わいが増すミドル・ナンバー。引きずりまわすようなヘヴィなリフとリズム隊の作るグルーヴで、心を支配する得体の知れないモンスターを表現している。
04DIRTY WINDOW
ファストからスローへと緩急のある展開にジェット・コースターのようなスリルが味わえる、ライヴばえしそうなナンバー。歪んだ世界の狂気と内面の苦しみを重ね合わせた詞を歌うジェイムズの表現力の高さに唸らされる。
05INVISIBLE KID
楽曲制作時に周囲が見えなくなっていた自分たちを比喩したかのようなタイトル。展開が複雑で長尺ではあるが、ほどよいスピード感とフックがあり、メタル・ファン以外にも受け入れられそうなナンバーだ。
06MY WORLD
じっくり向き合わないと全体像がつかめないほど、変化自在な展開と複雑なアプローチが満載で、やや凝りすぎた印象が否めないナンバー。しかし、スタジオで聴いているかのようなテンションの高さとソリッドな音の生々しさは、ちょっと他では味わえないだろう。
07SHOOT ME AGAIN
メタルというよりパンク/ハードコアに近い歌唱法とリズムが面白い。良い意味でこれまでのメタリカのイメージを覆す、革新的な1曲だ。モダンさが際立つヘヴィなサウンドからは、果敢に進化を求めるバンドの野心がうかがえる。
08SWEET AMBER
じっくり聴かせた後にラフに暴走するメタリカの王道パターンで、どことなく「バッテリー」に近い作風のナンバー。これぞスラッシュといった刻みまくりのリフに、往年のファンも大満足。むしゃくしゃした時に聴くと、スカッとしそうだ。
09THE UNNAMED FEELING
90年代以降のニューメタル的なノリが、ファンの間で賛否両論となった楽曲。不安定な精神状態に悩み苦しむ悲痛な叫びを映した不穏でダークな音像と、感情的なヴォーカルが、リアルに聴く者に迫る。
10PURIFY
狂気じみたものものしい雰囲気の曲ながら、シンガロングできるキャッチーさも兼ね備えた不思議な魅力を持つメタル・ナンバー。比較的コンパクトにまとまっているので、メタリカ初心者でも聴きやすい。
11ALL WITHIN MY HANDS
適度な重さ、静と動のメリハリのある構成は、まさにスピード感を備えたメタリカ印のドラマティックな楽曲で、魂の痛みを刻んだ歌唱も素晴らしい。後半に連呼される「KILL」というシャウトに、感情を揺さぶられない人はいないだろう。