ミニ・レビュー
2009年のツアー後の解散をミック・ハックネルが示唆し、グループとしてラスト作となる可能性大のアルバム(10作目)。スローからミディアム、アップまでミックのソウルフルなハスキー・ヴォイスを活かした楽曲が揃い、聴きごたえ十分。日本盤のみのボーナス曲にも満足。
ガイドコメント
イギリスが誇るロック・ヴォーカリスト、ミック・ハックネル率いるシンプリー・レッドの通算10枚目となるオリジナル・アルバム。シングル曲「So Not Over You」をはじめ、珠玉の名曲が多数収録されている。
収録曲
01THE WORLD AND YOU TONIGHT
ポップな感覚にあふれた美しいメロディを持つミディアム・ナンバー。愛する人と過ごせる幸せという内容を飾り気のない素直な言葉で綴った詞を、ミック・ハックネルが包み込むようなジェントルなヴォーカルで歌い上げている。
02SO NOT OVER YOU
去っていった恋人を忘れようと、電話番号を消去して、強い気持ちを持とうとしても、なかなか忘れ去ることができない……。そんな未練がましくも切ない男心を、柔らかなサウンドをバックに情感たっぷりと歌っている。
03STAY
飾らないありのままの姿で“どこにも行かず僕のそばにいてほしい”と懇願する男の純粋な想いを吐露したラヴ・ソング。ハックネルのソウルフルなヴォーカルと繊細な女性コーラスのコントラストが、楽曲の美しさを引き立てている。
04THEY DON'T KNOW
往年のスタックス・サウンドを思い起こさせるホーンに導かれて始まるミディアム・チューン。若い恋人たちの希望に満ちた未来を見守る視点で描かれた歌詞と、明るくポップなサウンドやソウルフルな歌唱が一体となった、心温まる一曲。
05OH! WHAT A GIRL!
タイトなリズムと印象的かつ効果的なフレーズのギターに、切れのあるホーン・セクションが弾力に富んだサウンドを奏でる。活き活きとしたハックネルの伸びやかなヴォーカルが魅力の、ソウルフルなアップ・ナンバー。
06GOOD TIMES HAVE DONE ME WRONG
シャープなフレーズを繰り出すギターが軸となり、キーボード、ホーン、ストリングスが絶妙に絡み合うミディアム・ナンバー。ハックネルのヴォーカルも快調で、どこか懐かしい雰囲気を漂わせたブリティッシュ・ソウルの王道を行く作品。
07DEBRIS
ロニー・レインの作品で、フェイセズの1971年作『馬の耳に念仏』に収録された名曲のカヴァー。UKロックの偉大な先輩への敬愛の念を込めた、丁寧で熱い歌声がツボを押さえたサウンドとあいまって胸に響く。
08LADY
元スクイーズのキーボーディストで、UKポップ/ロックの名作曲家として知られるジュールズ・ホランドとハックネルの共作曲。正調ブリティッシュ・ポップ・ソウルといえる、メロディの美しさが際立つミディアム・チューンだ。
09MONEY TV
マネーつながりという訳でもないが、初期の名曲「マネーズ・トゥー・タイト」を思い出させるミディアム・ファンク。官能的なギターをフィーチャーした躍動感あふれるサウンドをバックに、ソウルフルなヴォーカルが冴えわたる一曲。
10THE DEATH OF THE COOL
「死ぬことはカッコいい」と、どこか達観というか諦観の境地までもがうかがえるシリアスな歌詞が描かれたスロー・ナンバー。ソウルフルな中に醒めた表情がうかがえる、ハックネルのヴォーカルは、楽曲の世界観をいっそう浮き彫りにしている。
11LITTLE ENGLANDER
童謡風の美しいメロディに乗って、愛する母国イギリスとそこに暮らす子供たちの未来に思いを馳せる。柔らかな歌いぶりの中に熱い魂を込めたハックネルの歌唱と、子供たちの美しいコーラスが心に響くスロー・ナンバー。
12ALL DOWN THE LINE
ストーンズの傑作『メインストリートのならず者』に収録されたジャガー=リチャーズ作品のカヴァー。オリジナルの雰囲気を継承した南部風の粘っこいサウンドをバックに、ハックネルがワイルドなヴォーカルを聴かせてくれる。
13SOMETHING GOT ME STARTED
14OH! WHAT A GIRL!
15ALL DOWN THE LINE
16IF YOU DON'T KNOW ME BY NOW