ミニ・レビュー
もうなんだかすごいことになっていることだけは分かるが正直いってよく理解できないところまで彼女はきてしまっている。それくらい本作は日本のポップ・フィールドからはみでている。縦横無尽に駆けめぐるサウンドの音楽としての質はとてつもなく高い。
ガイドコメント
リトル・クリーチャーズの鈴木正人、バッファロー・ドーターの大野由美子などのゲストを迎えた、UAのニュー・アルバム。多彩なサウンドはあたかも音による世界旅行。
ガイドコメント
リトル・クリーチャーズの鈴木正人、バッファロー・ドーターの大野由美子などのゲストを迎えた、UA5枚目のオリジナル・アルバム。多彩なサウンドはあたかも音による世界旅行。
収録曲
01そんな空には踊る馬
森の中のようなSEから始まる民族楽器に、フリー・ジャズっぽいバンド・アンサンブル。その生々しさを感じるサウンドに呼応して、気だるく時に荒々しく進んでいく歌は、混沌という名の絵画を見ているような感覚にさせられる。
02忘我
始まりから1分以上にわたる管楽器のみのアンサンブルは、70年代のヨーロピアン・ジャズ・ロックを彷彿とさせる。曲全体からは俗世間から完全に逸脱してしまったような異様な世界観が感じられ、聴いていると病みつきになりそう。
03ファティマとセミラ
母が子に歌を教えているような、そんなやりとりから曲へと発展していく、自然の世界と密接に関わる集落を覗いているような感覚にとらわれる曲。バックがシタールなどの民族楽器のみで演奏されているのも特徴的。
04踊る鳥と金の雨
5thアルバム『SUN』に収録された17thシングルのアルバム・ヴァージョン。ヴァイオリンなどのストリングス類とガムランの民族楽器を中心としたサウンドに、歌が前面に出過ぎず自然に溶け込んでいて、一つの世界観を描いている。
05papito
ガムランを中心に、ゆったりしたサウンドにのせたスキャットのような歌で、雰囲気に合わせてアドリブで歌っているようだ。ブライアン・イーノやロバート・フリップが好きな人は、気に入ること間違いなし!
06Lightning
ジャズっぽさを感じさせつつも割と聴きやすい曲に仕上がっている。といっても、巷にある大人びた雰囲気だけのジャズっぽさとは一線を画した、独特のアクの強さを感じさせる世界観はさすが!
07Roma
出だしはウッド・ベースとそれに合わせる歌のみの構成。数秒の静寂の後、ドラムなどが入って曲が進んでいく。全体を通して静寂漂う楽曲だ。歌詞にも出てくる通り、不思議な世界を覗き見ているような感覚に陥る。
085
ウッド・ベースとパーカッション類、サウンド・エフェクトのみをバックにアドリブのように歌われるスキャット。ここではスキャット・ヴォーカルもサウンド・エフェクトの一部のようになっていて、リズムが主役になっている。
09Eboh
民族楽器の笛のみのアンサンブルによる、わずか35秒の曲。J-POPで一般的に聴けるようなものとはまったく異なる、フリー・ジャズ時代の曲にあるような要素も感じられる。独特のアンサンブルをわずかな時間で展開させている。
10Ua Ua Rai Rai
民族楽器をバックに歌う世界は、歌詞の内容もあってか自身が海中の世界の生物になったような錯覚を覚える不思議な曲。度々挿入されるストリングスは、サイケデリックな色合いも。曲後に突然聴こえる鳴き声は何を意味する?