ミニ・レビュー
巷ではすでにハイロウズも動き出しているが、ブルハのベストはやはり見逃せない。彼らだからこそ生み出せた、時代の変貌に朽ちないエナジー、愛がここに甦る。伝説の名曲(17)も完全収録、という充実のラインナップに、聴く前から涙腺が……。
ガイドコメント
メルダック在籍時、ブルーハーツ前期のまさにスーパーベスト。「リンダリンダ」「人にやさしく」などガムシャラなパンク・ロックにのせた、いつまでも色褪せることのない歌詞は、時代を問わず少年たちの心に響き続ける。
収録曲
01リンダ・リンダ
日本のパンク史において最も有名な曲の1つ。1度走り出したら止まらないメロディと、繰り返される“リンダ・リンダ”のフレーズで気分爽快。いつの時代も若者の背中を押してくれる名曲。
02人にやさしく
ヒロトが叫ぶ“ガンバレ!”のフレーズに救われた人は大勢いるはず。疾走感のあるメロディと直球過ぎるくらいのメッセージが、聴き手を惹きつける。“やさしさ”の意味を考えさせられる名曲。
03シャララ
88年にインディーズ盤としてリリースされたシングル「ブルーハーツのテーマ」のカップリング曲。皮肉に満ちたパンキッシュな歌詞だが、曲調はきわめてポップ。子供のコーラスが加わるエンディングのサビが印象的。
04ロクデナシ
劣等生で十分だ! と叫ぶ応援ソング路線のロックンロール。中間部でテンポを落としてギターの単音ソロが入る部分がニクイ作り。アコースティック・ギターをオーヴァーダブするなどサウンド的な進化が見て取れる一曲だ。
05ラヴレター
白羽玲子のカヴァーなどでも知られるミディアム・テンポの人気ラブ・バラード。切なさに満ちた甲本ヒロトの個性的なヴォーカルと、美しいコーラスやスケール感のあるストリングスによる色鮮やかなサウンドが魅力。
06平成のブルース
シングル「青空」にカップリング収録されたコテコテのブルース・ナンバー。約10分にも及ぶ大作で、身近な生活から政治まで、あらゆることへの不満や文句を叫ぶ。マーシーならではのダミ声ヴォーカルが魅力的。
07キスしてほしい (トゥー・トゥー・トゥー)
2ndアルバムのオープニング曲。恋人と一緒にいることのこの上ない幸福感を歌ったポジティヴな1曲。“トゥートゥー〜”と歌うスキャット風ヴォーカルとオールディーズのようなファルセット・コーラスが実に軽やか。
08ハンマー
メジャー・デビュー前のシングル「人にやさしく」にカップリング収録された、2分あまりのタイトなロック・ナンバー。マーシーがリード・ヴォーカルを取り、ヒロトがバッキングにまわるブリッジ部分が聴きどころ。
09チェインギャング
2ndアルバム『YOUNG AND PRETTY』のラストを飾るミディアム・バラード。ちっぽけな自分を省みる愚直な歌詞やマーシーと甲本ヒロトによる情感豊かなコーラスなど、感傷的ゆえに感動的な1曲。
10トレイン-トレイン
不況、就職難など混沌とした現代社会においても昔と変わらず、いまだに勇気を与えてくれる名曲。ポジティヴな考えでどこまでも走っていけば、必ずゴールは見えてくるという気持ちにさせてくれる。
11ラインを越えて
“マーシー”こと真島昌利がヴォーカルを担当する6分半の長めのナンバー。アコギ主体の静かなブリッジを挟んだユニークな曲構成で、彼のパンキッシュなダミ声に随所で大暴れするブルース・ハープなど、聴きどころ満載。
12僕はここに立っているよ
メジャー・デビュー・シングル「リンダ・リンダ」のカップリング曲。どんな脅しにも屈しない強い反骨精神をテーマにしたナンバー。マイナー調のAメロからメジャーなサビへ展開するメリハリの効いた曲構成が光る。
13英雄にあこがれて
ゾクゾクするような迫力を持った狂気のパンク・ロック。ヘヴィなギターがずっしり重たいビートを携えて鼓膜を刺激する。若者の代弁者たる彼らが若者の実態を皮肉った、ブルーハーツ面目躍如の傑作。
14青空
3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』に収録されている、数少ないバラードの名曲。ギターの真島昌利が描くシンプルな世界観は、聴き手の心に素直に響いてくる。ヒロトの優しい歌声もどこか切ない気分にさせられる。
15終わらない歌
1stアルバムに収録されている、ブルーハーツというバンドの精神性を物語るロック・ナンバー。音楽に思いを託し、ガムシャラに突き進むその姿勢は多くの若者の共感を今なお呼んでいる。
16ブルーハーツより愛を込めて
オリジナル・アルバムには収録されていないライヴ音源のみの珍しいナンバー。2分ほどのシンプルなライト・バラードで、タイトル通り、聴き手である“君たち”へ甲本ヒロトらしい愛のこもったメッセージを送る。
171985
85年のライヴでソノシートとして配られ、長年ファンの間では“幻”と呼ばれてきたナンバー。日本への原爆投下などを取り上げた社会派ロックで、パンキッシュな反体制的メッセージを皮肉たっぷりに歌い上げる。