収録曲
[Disc 1]
01やさしさに包まれたなら
02瞳を閉じて
海に囲まれた地元の島と、そこを離れて暮らす友人への愛情を綴った歌。長崎県・奈留島の高校生の依頼でユーミンが作り、後にNHKが紹介したことでも知られる。鮮やかなバック・コーラスはシュガー・ベイブが担当。
03雨のステイション
忘れることのできない恋人を歌ったミディアム・バラード曲。失恋後の傷ついた心と諦め切れない気持ちを、梅雨のにじんだ風景に紛らす。オーソドックスに洗練されたバンド演奏が、歌詞のうつろな雰囲気をよく出している。
04グッド・ラック・アンド・グッドバイ
4thアルバムに収録されているライト・ポップス。間奏のメロディをバック・コーラスが“ルルル〜”で歌うなど、粋なアレンジが施されている。映画を観ているかのようなムーディな雰囲気をライヴでも見事に再現。
05中央フリーウェイ
歌詞もメロディもすべてが有名という、ジャパニーズ・シティ・ポップの幕開けを告げた超名曲にして歴史的名演。特にリーランド・スクラーのメロディアスなベース・ラインは絶品。
06卒業写真
彼女の初カヴァーであり初日本語タイトル曲は、荒井由実のエヴァーグリーン・ナンバー。フェンダーローズ・スーツケースを用いたtasukuのアレンジが過去を浄化させるよう。新しく変身を遂げるための飛躍を誓ったセレクトかも。
07Hello、my friend
80年代の末期、シンセによるマシンビートの多用で歌世界も機械的になってしまったユーミンに、初期の作風を思わせる甘酸っぱい香りが戻り、ファンに大歓迎で迎えられた名曲。痛いくらいの切なさに号泣。
08守ってあげたい
女性が男性を守るという“スーパーウーマン”ユーミンを象徴する曲として、ユーミン研究家の間では認知されているが、そんなことはどうでもよくなるほど感動的な国民的名曲でしょう! 何度聴いても落涙。
09潮風にちぎれて
“松任谷由実”名義初となるシングル曲。海岸を舞台に別れた恋人を思い起こす歌で、強がった言いまわしや鮮明な描写を通して切ない心情を表現。リズムの盛り返すエンディングが、ヒロインの明るい未来を感じさせる。
10夕涼み
恋人と2人きりで過ごした真夏の夕暮れを思い起こす、切ないスロー・ナンバー。Bメロ〜サビの滑らかなメロディと綺麗なハモりが聴きどころ。わずかに震えるユーミンの高音域でのヴォーカルには、独特の儚さがある。
11acacia (アカシア)
のどかなアコースティック・ギターで始まるアルバム表題曲。見知らぬ町で感じた想いをそのまま綴った歌で、未来へのおぼろげな希望を見い出す。シンプルだが印象的なヴァイオリンが、明るい未来を暗示しているかのよう。
12よそゆき顔で
結婚を翌日に控えた女性の歌。悪ぶっていたこれまでの自分に区切りを付け、新たな人生を歩もうと決意する瞬間の微妙に揺れ動く心理を見事に描いた1曲。哀愁を伴ったメロディが印象的な王道的ユーミン・ソング。
13翳りゆく部屋
オリジナル・アルバムには収録されなかった荒井由実の傑作。荘厳なパイプ・オルガンの音色に乗せて歌われる少女の内省的世界が儚くも美しい。「私が今死んでも〜」のフレーズはかなり強烈だ。
14雨の街を
ライヴでは弾き語りで披露されることもある人気曲。ダルさや陰りがあるのに決してジメジメはしない、彼女特有の洗練されたサウンドが魅力。音圧に手を加えない当時の録音方法もあって、ヴォーカルの抑揚に臨場感がある。
15ナビゲイター
ミディアム・テンポのバラード曲。サウンドにはどことなく陰があるが、歌詞は恋人との愛情の深さを歌った至極幸せなもの。“同じ景色に心を動かして”など、何気ない表現に2人の相性の良さがにじみ出ている。
16海を見ていた午後
か細いヴォーカルと柔らかいエレピ・サウンドが印象深い、静かなバラード曲。横浜に実在するレストランを舞台に、かつての恋人を思い起こす切ないナンバー。ユーミンの詩人としての才能が際立つ見事な情景描写に注目。
[Disc 2]
01A HAPPY NEW YEAR
ユーミンのアルバムの中でも、とりわけコンセプト・アルバム的な印象を残す『昨晩お会いしましょう』のラストに収められたバラード。何とも言えぬ静寂感が、聴き終えた後にエコーのような深い余韻を残してくれる。
02ジャコビニ彗星の日
夜空を思わせる静かなエレピ・フレーズで始まるミディアム・ナンバー。恋人との関係が自然消滅する過程の寂しい心情がテーマ。モチーフとなっている1972年のジャコビニ流星群は、予想に反して大出現はしなかった。
03NIGHT WALKER
ストレートな8ビートが心地良いミディアム・ポップス。かつての恋人が自分を傷つけて辛いと周りの友人に話している設定で、ゆえに未練が消えないと訴える切ない歌。女性ならではの繊細な心がよく表現された好楽曲。
04Autumn Park
壮大な愛のバラード曲。舞台は秋の公園のボートの上だが、テーマは、生まれ変わっても“あなたを探してる私を見つけて”といった極めてスケールの大きい愛。ユーミンのロマンティシズムの極みともいえるナンバーだ。
05シンデレラ・エクスプレス
「悲しいほどお天気」を彷彿とするような、必殺のAメロ・フレーズがとにかく最高。随所にファンキーな“キメ”を用意しつつ、それでいて穏やかな印象を崩さないナイス・メロウな節回しが彼女らしい。
06ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ
シンガーとしても高い評価を得ている原田知世がアイドルだった頃にユーミンが提供した曲で、ユーミン自身も名盤と名高い『VOYAGE』の中でセルフ・カヴァーしている。荒井由実テイストあふれる名バラード。
07ノーサイド
涙を誘うような美しいエレピで始まるライト・バラード。ラグビーをテーマに、試合に負けて肩を落とす“あなた”を見守る女性の歌で、タイトル曲らしい高い完成度を誇る。“ノーサイド”とは試合終了を表す言葉。
08静かなまぼろし
映画の1シーンのようなストーリー仕立てのラブ・ソング。飲食店でかつての恋人と偶然背中合わせに座る物語で、映像が浮かんでくる鮮明な描写が魅力。沢田研二が87年のアルバム『彼は眠れない』の中でカヴァーしている。
09消息
「グッド・ラック・アンド・グッバイ」「静かなまぼろし」に続く、“偶然街でかつての恋人を見かける”シリーズ。本曲は雨の降る駅のホームが舞台。電車が動き始めて姿が見えなくなるまでの数十秒を、ドラマティックに描いている。
10幸せになるために
「桜坂」ほか、多くの大ヒット曲を生んだ人気TV番組『未来日記』のテーマ曲。ユーミンらしいスケールの大きい伸びやかなサウンドにシンプルなメッセージを乗せた王道のラヴ・ソング。
11霧雨で見えない
アルバムを締め括るミディアム・バラード。ユーミン定番の雨の失恋ソングだが、恋人が一方的に姿を消した別れであるゆえに“霧雨”となっているようだ。エンディングの泣きのサックスが悲しさを代弁しているかのよう。
12雪だより
『SURF&SNOW』のラストを飾るミディアム・バラード。スキー場で出会った人からの葉書をテーマにした切ないナンバー。エレピの柔らかいサウンドやゆったりとしたリズムなど、オーソドックスな仕上がり。
13ロッヂで待つクリスマス
6枚目のアルバム『流線型'80』のオープニング・チューン。スキーやクリスマスなど、後のユーミンを象徴するキーワードが初めてテーマとなったナンバーで、静かな夜のゲレンデをロマンチックなメロディで綴る。
14One more kiss
ベスト盤『sweet,bitter sweet〜』用に新たに録音されたナンバー。アコギを主体とした爽やかなサウンドとファルセットによる透明感のあるサビ・メロディが特徴的。春らしい生命の息吹を感じさせる1曲。
15春よ、来い
ユーミンが松任谷姓になった最初のアルバム『紅雀』(1978年)から追求を続けてきた和的情緒が、ひとつの頂点に達した記念碑的名曲。昔からすでに存在していたかのようなスタンダード感あふれるメロディが感動的。
16あの日にかえりたい (acoustic version) (featuring小野リサ)
ブレイクのきっかけとなった荒井由実時代のヒット曲。本ヴァージョンでは、日本を代表するボサ・ノヴァ・シンガーの小野リサがギターとコーラスで参加。オリジナルとは趣の違うスムージーなサウンドを堪能できる。