大貫妙子 / ライブラリーアンソロジー1973～2003 [2CD]

アーティスト：
大貫妙子
原題：
TAEKO ONUKI LIBRARY - ANTHOLOGY 1973-2003
ジャンル：
日本のロック&ポップス
レーベル：
イーストワールド
規格品番：
TOCT-25187～8
価格：
3,352 円（税込）
発売日：
2003/10/29
取り扱い店：

ミニ・レビュー

30年間の作品をまとめた全33曲2枚組。シュガーベイブの「いつも通り」、ソロ第1作の「街」……と日本のソフト・ロックの創成期から徐々に大貫妙子という表現者の輪郭がクッキリとしていくなかで、彼女の世界がドンドン広がっていく様子がチャーミングな唄声に乗って手に取るように実感。

ガイドコメント

73年のシュガーベイブ結成から30周年を迎える大貫妙子。独自の美意識を貫いてきた彼女の名曲を、レーベルを超えて収録した2枚組ベスト。音楽シーンに影響を与え続ける才能の軌跡がここに。

収録曲

[Disc 1]

01いつも通り（SUGAR BABE）

山下達郎らと結成したバンド、シュガー・ベイブ唯一のアルバム『SONGS』に収録。都会の孤独感をテーマにしたポップ・ナンバーで、躍動感に満ちたストリングスやサックスをバックに大貫の若々しいヴォーカルが聴ける。

02街

シュガー・ベイブ解散後の1976年にリリースされた1stソロ・アルバム『グレイスカイズ』収録。ボサ・ノヴァ調の心地よい演奏は細野晴臣を中心としたティン・パン・アレー。心が触れ合うこともない街の雑踏の様子を、透明感あふれる歌声で表現している。

03都会

70年代のフュージョン・サウンドに影響された曲。NYの超絶技巧バンド、スタッフのドラマーであるクリス・パーカーや坂本龍一ら腕利きミュージシャンの絶妙なアンサンブルが聴ける。虚飾に満ちた都会の様子をクールに歌っている。

04海と少年

夏の終わり漂う浜辺の光景を描いたスピード感あふれるポップ・ナンバーで、矢野顕子や槇原敬之ら多くの歌手にカヴァーされている人気曲。タイトなリズム・セクションはYMOで、ドライヴの効いたギターや女性コーラスも鮮やかに響く。

05若き日の望楼

ヨーロピアン・サウンドにアプローチした80年のアルバム『ROMANTIQUE』収録曲。シュガー・ベイブ時代の思い出と重なるような、帰れない青春を見つめ直すセンチメンタルな詞のバラード。演奏はYMO＋大村憲司（g）が担当している。

06新しいシャツ

深く愛し合っていた二人の心が静かに離れていく別れの情景を繊細に描いたラブ・ソング。大貫のデリケートな歌声や坂本龍一のロマンティックなピアノ、大村憲司の伸びやかなギターの音色が美しくも哀しく響きわたっている。

07黒のクレール

「幾度夏がめぐり来てもあなたは帰らない」と歌う、ヨーロピアン・ポップスを思わせるしっとりとした曲。映画『シェルブールの雨傘』などの音楽で知られるミシェル・ルグランばりの華麗なピアノを、坂本龍一が披露している。

08色彩都市

大貫自身や編曲の坂本龍一も大のお気に入りのナンバー。「遊びながらきれいになるのよ私だけの秘密」というウィットに富んだ歌詞と感情を高揚させるリズミックなサウンドが一体となった、唯一無比のオリジナリティあふれるポップス。

09ピーターラビットとわたし

いたずら好きなウサギを主人公にした童話「ピーターラビット」をテーマにした、軽快でかわいらしい曲。曲中のウサギの笑い声は大貫の笑い声をテープで早回ししたもの。野を飛び跳ねるような坂本龍一のドラムとシンセ・サウンドも秀逸。

10夏に恋する女たち

83年に放映された同名のドラマ主題歌。夏の都会を舞台に、短くもロマンティックな恋愛を優しく見つめたナンバー。都会の夜の灯を思わせるようなシンセやサックスなど、多彩で豊潤な音色が交錯するヨーロピアン調のシティ・ポップスだ。

11ベジタブル

「ベジタブルな甘いキッス」と愛のときめきを歌った、85年の資生堂キャンペーン・ソング。情熱的なイタリア音楽のエッセンスを採り入れたナンバーで、きらびやかな音色や独特なリズムが甘美なサウンドを醸し出している。

12メトロポリタン美術館（ミュージアム）

NHK『みんなの歌』のために書かれた曲。世界中の名品を所蔵するNYのメトロポリタン美術館を舞台に、タイム・トラベルするというのがテーマ。おもちゃ箱をひっくりかえしたようなカラフルなシンセの音色や、オーボエの温かなフレーズが楽しく響きわたる。

13彼と彼女のソネット

大貫が日本語詞をつけたフランスの歌手・ELSAの「T'en Vas Pas」の原田知による曲のセルフ・カヴァー。幾多の偶然や迷路を経た愛の行方を懸念する姿が、儚いほど美しいメロディに乗せて歌われている。

14横顔

あこがれの人に想いを告白できずに、横顔をそっと見つめている姿を描いた87年のセルフ・カヴァー。クラシックの室内楽を思わせる弦楽四重奏とピアノの軽快で鮮やかな音色と透明感あふれるヴォーカルが、見事に溶け合ったナンバーだ。

15突然の贈りもの

別れも告げずに去った愛しい人の帰りを待つ女性の心情を、きめ細かに描いた大貫の代表曲。オリジナルのジャズ風サウンドとは異なり、ピアノやサックスなどアコースティックのしっとりとした音色に包まれた87年のセルフ・カヴァーだ。

16Tema Purissima

アレンジはジャズ界の名匠マーティン・ペイチで、フル・オーケストラやTOTOのメンバーらとともに録音されたスケール感あふれる音が広がっている。見失った愛を再び手にするという時空を超えた詞の描写は、まるで映画のようにドラマティック。

[Disc 2］

01dreamland

「いつも夢を信じてた胸に響いてた歌が聴こえる空へ」と歌われる、91年の全日空のCM曲。澄明な歌声と心地よいリズム、12弦ギターの豊かな響きが、大空を駆けて時の彼方で出会う旅へとそっといざなってくれる。

02静かな約束

92年に日本火災海上保険100周年キャンペーンCMソングとなったシングル。「あなただけを感じたい、わたしを愛して」と優しく語りかける曲で、美しいギターのイントロに導かれる凛としたヴォーカルが響きわたっている。

03哀しみの足音

オーケストラとの共演ナンバーで、パリのポンヌフ橋を舞台にした仏映画『ポンヌフの恋人』の日本用イメージ・ソング。繊細で哀愁に満ちたサウンドをバックに、クリスマスの夜に傷つき離れた恋人を待つ様子が描かれている。

04春の手紙

家庭裁判所を舞台にしたTBS系ドラマ『家裁の人』の主題歌で、ゆったりとした旋律の上をしなやかなギター・サウンドが彩っているナンバー。傷つき迷った人に向けて「めぐる季節の中であなたと生きている」と、温かいまなざしで歌われる佳曲だ。

05しあわせのサンドウィッチ

60年代に活躍したモータウンの3人組女性ヴォーカル・グループ、シュープリームスを意識して作られたポップな曲。ピクニックでサンドウィッチをほおばりながら恋の喜びを素直に表現する清涼感が、楽曲からあふれ出ている。

06会いたい気持

手紙や電話でなく“気持ちを直接伝えたいから会いに行くの”と、素直な胸の想いを綴った爽やかなポップ・チューン。心地よいビートを叩き出すバンド・サウンドに乗せて、大貫のヴォーカルもストレートに朗々と響いている。

07美しい人よ

原曲は1920年代スペインの「LA VIOLETERA」で、チャップリンも映画『街の灯』で使用。ハープの美しい響きを背に、「花咲く小道の美しい人よこの腕の中にそっと抱き寄せて恋に落ちる」と日本語詞で優雅に歌っている。

08Shall we dance?

社交ダンス教室を舞台にした周防正行監督による同名映画のテーマ曲。オリジナルは1950年代のブロードウェイ・ミュージカル『王様と私』に書かれたナンバーで、流麗な弦や管楽器の響きに乗せて英語で「踊りましょう」と歌われている。

09はるかなHOME TOWN

ハーモニカやストリングスなどアコースティックの柔らかい音色に包まれながら、旅立ちや帰国時などに列車の車窓から大切な人を想い浮かべるナンバー。都心と成田空港を結ぶ京成スカイライナーのCMソングとして書き下ろされた。

10Happy-go-Lucky

12年ぶりに旧知の坂本龍一との名コンビを復活させた97年の楽曲。ラテン調のグルーヴ感あふれるパーカッションと色彩豊かなシンセをバックに、苦しい時も悲しい時も“楽天的”に生きていこうと歌っている。

11ひまわり

竹中直人が監督・主演を務めた映画『東京日和』の主題歌。心に触れるよりも近くであなたを見つめ続けていたと、愛に包まれ幸福だった夏の日々を追想するナンバー。坂本龍一による音数を絞ったアレンジが、静謐なヴォーカルを引き立てている。

12四季

日本の文化を強く意識して書かれた曲で、四季折々の美しい自然の風景について歌われている。演奏は西洋楽器を使いながらも、メロディ・ラインやサウンドはどこか日本古来の豊かな響きが感じられるナンバーだ。

13Beautiful Beautiful Songs／歌がうまれてる

2000年、奥田民生・鈴木慶一・宮沢和史・矢野顕子とともに「歌」をテーマにしたステージでのライヴ録音。糸井重里による、出会いや別れの時にどんな歌が聴こえるかという詞を、生ギターをバックに大貫の凛々しい歌声で会場に響かせている。

14ただ

女性が好きな人の前で、ただあなたを見つめていたいと無防備になる様子を描写した曲。ピアノやギター、オーボエの美しい調べをバックに、静かにささやくように歌われている。2002年マックスファクターのCM曲。

15あなたを思うと

ティン・パン・アレーのドラマー林立夫との再会から生まれたナンバーで、ギター・デュオ山弦の曲「祇園」に大貫が歌詞を付けたもの。ボサ・ノヴァ風なゆったりとした音に包まれ、今日まで生きてきたことへの感謝や喜びが歌われている。

16裸のキリク

スタジオ・ジブリ初の洋画配給作品『キリクと魔女』の日本向けイメージ・ソング。雄大なアフリカを思わせるパーカッシヴなサウンドが響く編曲は高野寛と大貫自身によるもので、どこまでも広がる大地を颯爽と走っていく少年の姿が歌われている。

17新しいシャツ（大貫妙子&山弦）

録音

[2] (17)2001.11

タイアップ

「Tema Purissima」 - NHK「ツレがうつになりまして。」主題歌
「春の手紙」 - 三井住友フィナンシャルグループTV-CMソング

アーティスト

大貫妙子
1953年11月28日生まれ、東京都出身のシンガー・ソングライター。愛称は“ター坊”。73年にシュガー・ベイブを結成。76年の解散後にソロ・デビュー。以降、日本のポップ・ミュージックにおける女性シンガー・ソングライターの草分け的存在の一人と……

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https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812

https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f

大貫妙子 / ライブラリー アンソロジー1973～2003 [2CD]

大貫妙子 / ライブラリーアンソロジー1973～2003 [2CD]