ミニ・レビュー
圧倒的なパワー、攻撃性がさらに深まった、全世界待望のサード・アルバム。ライヴでのテンションをそのまま焼き付けたような勢いがある。本作がロックンロールの未来を担う一枚かどうかは定かではないが、レイジの最高傑作であることは確かだ。
ガイドコメント
99年の“FUJI ROCK FESTIVAL”に参加、圧倒的なパフォーマンスを見せつけたレイジの3枚目。時代の先端を行きながら、常にトガっている彼らの主張がかっこいいサウンドに乗っている。
収録曲
01TESTIFY
ヒップホップとロックを融合させた、彼らの極致ともいえるサウンド・メイキング。より肉体性を帯びたサウンドとザックの言葉が、民衆に疑問を呼びかけ、立ち上がることを求めている。扇動的なスタンド・アップ・ソングだ。
02GUERRILLA RADIO
RATMの3作目『バトル・オブ・ロサンゼルス』に収録された一曲。日本では格闘イベント『PRIDE』のテーマ・ソングとしてもお馴染み。叩きつけるようなギターと、ザックの直情的なラップが圧倒的な破壊力を生んでいる。
03CALM LIKE A BOMB
ドス黒いグルーヴを生み出すバンド・セッションと、その渦の中心から浴びせかけられるラップが、まるで爆風のような強さを持ったナンバー。臨界点ギリギリの熱いサウンドを打ち出しながらも、どこかしらクールなのがこのバンドの凄いところだ。
04MIC CHECK
ヘヴィなギターは鳴りを潜め、ダブ風のサウンドとタイトなリズム隊がフィーチャーされた1曲。結果としてザックのフロウがかなり際立っている。トム・モレロの独創的なサウンド・メイキングも聴きどころ。
05SLEEP NOW IN THE FIRE
ハード・メタルばりの轟音ギター・リフが冒頭から炸裂するミクスチャー・ロック。熱風のようなサウンドとマシンガンのようなザックのフロウが、これでもかと気持ちを高揚させる。RATM史上最もテンションの高い曲のひとつ。
06BORN OF A BROKEN MAN
Aメロではザックのささやくようなヴォーカルをフィーチャー、サビや間奏部ではヘヴィなロック・サウンドを炸裂させるなど、抑揚をつけた構成の曲。息の詰まるような切迫感を瞬時に打ち消す破壊力を存分に味わえるナンバーだ。
07BORN AS GHOSTS
トム・モレロによる多種多様なギター・プレイが圧巻。デジタル・ノイズからゴリゴリのリフまで変幻自在に使い分け、あくまでも生音にこだわりながらも、楽曲にサンプリング・マシーンを使用したかのような柔軟性を持ち込んでいる。
08MARIA
危機感を煽るように盛り上がる前半から、それをぶち壊すかのように叩きつけられる爆音ギター・リフの嵐は圧巻。フリーキーで高度なギター・プレイも素晴らしいが、恐ろしく地盤のしっかりしたリズム隊も良い仕事をしている。
09VOICE OF THE VOICELESS
ケルティックなフレーズを挟みつつ、彼らの王道ともいうべき強力なミクスチャー・サウンドを投下。爆心地のごとき音圧と演奏で凄まじいパワーを発している1曲。3分にも満たない短い曲だが、その分密度が濃い。
10NEW MILLENNIUM HOMES
冒頭から最後までラウドなギター・リフに圧倒されるパワフルなナンバー。ハンマーを振り下ろすようなヘヴィなサウンドには、地面を揺らすだけでなく、胸の奥に伝わってくるような迫力が込められている。
11ASHES IN THE FALL
トム・モレロのフリーキーなギター・スタイルが生み出す、どこかスペーシーなサウンドが全編に炸裂している1曲。ラウドではないが、その分演奏の緊張感が伝わってくる。高いスキルに裏打ちされた、最高級のプレイを味わえる。
12WAR WITHIN A BREATH
金切り声のようなキンキンのギター音に、垂直に叩きつけられるタイトなリズム隊が駆け回る。さらに血を吐くまでの勢いで絶叫を続けるザックのラップが胸と耳に突き刺さる。これぞ臨界点を突破した極限のミクスチャー・ロックだ。
13NO SHELTER
フィジカルなサウンドと言葉の弾丸を武器に、欺瞞だらけの社会に牙を剥いてきた彼らの一つの到達点ともいうべき1曲。詞やサウンドに込められた怒りが真実を暴き出し、その先をつかもうとする彼らの決起の狼煙のように雄々しいナンバーだ。