ガイドコメント
1976年にデビューしたNY出身のポップ・パンク・バンドのベスト盤。デボラ・ハリーのキュートなヴォーカルとレゲエやディスコなどさまざまな要素を取り入れたサウンドが魅力。彼らの初期〜中期の名曲を収録した充実の1枚。
収録曲
01HEART OF GLASS
ブロンディの人気を決定づけた1曲。ダンサブルなビートを導入したディスコ・サウンドが、フロアを照らし出すミラーボールのように輝き、星屑のような光を投げかけている。デボラ・ハリーの妖艶な歌声は溜め息が出るほど美しい。
02DREAMING
ワイルドなドラミングが世界の扉をこじ開ける、爽快なパワー・ポップ・ナンバー。バウンシーなリズムとは裏腹に、低空飛行しているかのような伸びやかなメロディとコーラス・ワークが、絶妙の心地良さを演出し、爽やかな風を吹かせている。
03THE TIDE IS HIGH
ジャマイカのコーラス・グループ、パラゴンズのカヴァー。スカのビートを基盤に、独自のセンスで洗練されたポップ・ミュージックへと昇華する手腕はさすが。緩やかなメロディと陽気なブラスのフレーズがこの上なくハッピーな気分を呼び起こす。
04IN THE FLESH
チーク・タイムにでも奏でられそうな、オールディーズ風味のロッカ・バラード。甘くセクシーなデボラの歌声に、思わずうっとりさせられてしまう雰囲気がたまらなく素晴らしい。夢見るようなひとときを味わえる1曲だ。
05SUNDAY GIRL
爽やかで口当たりの良いメロディに、ハンド・クラップなどの要素が加わった軽やかなポップ・チューン。鼻歌でも歌っているかのようなデボラの歌の力の抜け具合が、いい具合に楽曲全体を鮮やかに染め上げている。
06HANGING ON THE TELEPHONE
硬質で鋭角的なサウンドが全速力で突っ走っていくアップ・ビートなロックンロール・ナンバー。ディスコティックなリズム・パターン、空間を切り裂くようなエッジの効いたギター・フレーズに、ニューウェイヴ的な目覚めがうかがえる。
07RAPTURE
ディスコ、ロック、ジャズ、さらに当時ではかなりマイノリティだったヒップホップまでも取り込んで産み落とされた未曾有のダンス・ミュージック。ロックでもニューウェイヴでもない、独自のサウンドを確立した歴史的な1曲。
08ONE WAY OR ANOTHER
ルーズなサウンドで聴かせる甘いラブ・ソングかと思いきや、デボラの歌声にドスが利いていたり、中盤以降のギターが予想以上にキレていたりして驚かされる曲。どちらかといえば恋の“激しさ”を全面に押し出した感がある印象だ。
09(I'M ALWAYS TOUCHED BY YOUR) PRESENCE, DEAR
1950年代フレイヴァーの軽やかなメロディで聴かせるポップなナンバー。古き良き音楽を奏でているようで、ドラムのリズムがやたら弾けていたりと、ひねくれたセンスも覗かせている。当時ならではの先見性も垣間みられる1曲。
10CALL ME
80年にリリースされ、映画『アメリカン・ジゴロ』の主題歌にもなり、全世界で大ヒット、ダンス・シーンでも話題となったナンバー。パンキッシュな演奏ながら、魅惑的な女性ヴォーカルと相まって、ポップな甘さを併せ持つ。
11ATOMIC
ニューウェイヴのキレのあるリズムとマカロニ・ウェスタン調のフレーズを融合させたディスコ・チューン。陽気なダンス・ミュージックの体裁を取りつつも、「核」というテーマも盛り込んだシリアスなメッセージ・ソングとなっている。
12RIP HER TO SHREDS
ニューヨーク・パンク直系にある気怠く荒削りなサウンドから、ブロンディの初期衝動をバリバリ感じる1曲。ヴェルヴェッツなどの影響が色濃くうかがえるが、デボラの芯の強い歌声が曲に艶やかな色を添えている。
13DENIS
当時のスタンダードなメロディを時代という名のメスで一度解体し、再構築して作り上げた当時最先端のポップ・ミュージック。切れ味の鋭いサウンドと、デボラの妖艶な歌声が、使い古された音楽を都会的に生まれ変わらせている。
14PICTURE THIS
ビートルズ以降のUKロック的なギターのフレーズに艶やかなデボラの歌声というコンビネーションは、初期のブロンディが得意としたスタイル。シンプルながらも抜けの良いサビのメロディとデボラの神秘的な声質が独自の美しさを放っているナンバーだ。
15UNION CITY BLUE
デボラ・ハリーが出演した映画『ユニオン・シティ』にインスパイアされて制作された曲。雄大なサウンドと流れるようなデボラの歌声が見事に絡み合い、スケールの大きな世界観を見せてくれている。