ミニ・レビュー
デビュー10周年を記念したメモリアル・ベスト盤パート2。ファン投票により選ばれたナンバーから、活動後期の楽曲を中心に収録。新曲であるELTの持田香織とのコラボ曲「wipe your eyes」は、日本が誇るミクスチャー・バンドである彼らの新しいキャリアを象徴しているようだ。
ガイドコメント
Dragon Ashのベスト・アルバム第2弾。4thアルバム『LILY OF DA VALLEY』以降から2007年までの楽曲が対象で、ファン投票ののち、メンバー自身がセレクトする。ヒップホップを取り入れてからのサウンドが満載だ。
収録曲
01Deep Impact (feat.Rappagariya)
個性的過ぎる押韻、無骨で野太い男のラップがうなる、Qと山田マンを迎えた扇情的なハードコア・ヒップホップ。ディストーショナルなド低音ベース、悪ノリスレスレのサンプリングの洪水にDragon Ashが応える。当時の勢いがそのままパッケージされた、エネルギーの塊のような曲。
02百合の咲く場所で
メロウなバック・トラックがサビで一転、理性も感情も押し流すノイズの激流へ。ハード・コアとメロディアスという、Dragon Ashを語るに欠かせない要素が、ジャストな形で融合している。
03静かな日々の階段を (e.p.ver.)
04Life goes on
Steady&Co.での活動を経て、前作『LILY OF DA VALLEY』から約1年ぶりにリリースされた9thシングル曲。時の流れにまかせてゆったりと流転してゆく旋律には、人生を達観したさまが表われる。
05Fantasista
2002FIFA ワールドカップ公式ソング。パンキッシュなギター・リフに駆り立てられ、速いパス回しで中盤を支配するリズム&メロディ。興奮と高揚感を否応なく煽り、ゴール・ネットに突き刺さるパーティ・キラー・チューン。
06Patience
ミドル・テンポの裏打ちが印象的なレゲエ・チューン。ディレイのかかったギターやダブ処理のほどこされたピアノなど、浮遊感が前面に押し出された緩やかなトラックが特徴的。優しく語りかけるようなヴォーカルと曲との相性も絶妙だ。
07Morrow
08Episode 4 (feat.SHUN、SHIGEO)
盟友スケボーキングのShunとShigeoをフィーチャーしたアッパーなトラック。シンプルなヒップホップとは一味も二味も違う、癖のある楽曲に仕上がっている。ジャングル調のブレイクビーツと光り輝く音の海。三者三様の特徴的な声質にも注目だ。
09Canvas
軽快なブレイクビーツに情熱的なアコースティック・ギターのアルペジオが乗せられた導入部分から、メタリックな轟音ギターがかき鳴らされるフックへの流れが特徴的な楽曲。一貫して落ち着きを見せるkjのヴォーカルが、曲の表情をクールなものにしている。
10Crush the window
2005年6月にリリースされた13thシングル。スピード感あふれるビートにシンプルだが存在感のあるベースとギター、攻撃的なラップとメロディアスなサビで構成されるDragon Ashらしい一曲だ。
11Palmas Rock (feat.UZI-ONE)
キャッチーなギターのリフに、歌心あふれるベースがからんでスタートするミディアム・スロー。リズムはレゲエ風の後ノリだが、サビでは勢いのあるビートが入ってきたり、コーラスが入ったり、変化に富んでいる。
12夕凪Union
2005年7月にリリースされた14thシングル。シンプルなビートとグルーヴィなベース、わかりやすいギターをバックに、メロディアスなヴォーカルが続く、ミディアム・チューンだ。味付けのスクラッチ音が刺激的。
13Ivory
14El Alma (feat.SHINJI TAKEDA)
強いストロークでかき鳴らされるアコギのカッティングと力強いドラミングがグルーヴ感を演出し、武田真冶のサックスが奔放に響く。スペイン語で「魂」を意味するタイトルのように、情熱的な曲調だ。NTTドコモCMタイアップ・ソング。
15few lights till night
やりきれなさと希望をクロスさせたリリックを深く浸透させていくKjのヴォーカルが、叙情的で優しく澄んでいる。音数の少ないサウンドや美しいギターのアルペジオが、その情景をリアルに映し出すミディアム・ナンバー。
16夢で逢えたら
繰り返される口笛が静謐な冬の情景を映し出す。シングルとしては初となるラブ・ソングで、Kjの柔らかいヴォーカルが心に沁みるウィンター・チューン。淡々としながらも中盤で押し寄せる熱いビートの波、深みのあるサウンドは聴き逃せない。
17wipe your eyes (feat.Kaori Mochida from ELT)
Every Little Thingの持田香織をゲストに迎えた、意外な組み合わせが功を奏したポップ・チューン。音数を抑えた美しいバンド・アンサンブルとkjの柔らかなラップに、持田の芯のあるメロディが、奇跡的ともいえる美しさで反応し合っている。