ミニ・レビュー
1年半ぶり14作目のオリジナル作は生音にこだわったバンド・サウンドが満載。タイトルには、2004年の長いソロ活動を経てバンドに戻っていくという“輪廻”の意味を込めた。民族音楽っぽいサウンドやレトロな雰囲気の曲など、彼らの原点回帰といえる。
ガイドコメント
稲葉、松本の長期的なソロ活動を挟んで制作されたフル・アルバム。自然な流れでバンド的なアプローチによるレコーディングが進んでいったという本作は、余分な音を削ぎ落とし、生音にこだわったバンド感みなぎる作品に仕上がっている。
収録曲
01THE CIRCLE
オリエンタルなメロディ・ラインを持つ、魅惑的かつ幻想的なナンバー。森羅万象について歌い上げる稲葉浩志の詞世界は、まるで祈りにも似た切実さに満ちている。弦楽器の“揺れ”を強調したサウンドが味わい深い。
02X
「暗い世界」だからこそ「自ら光れよ」とリスナーを奮い立たせるメッセージ・ソング。「THE CIRCLE」からの流れを受けたかのようなオリエンタルなメロディ・ラインと正統派ハード・ロック・サウンドの組み合わせが新鮮だ。
03パルス
まるでプログレッシヴ・ロックのようなキーボード・サウンドと激しいディストーション・ギターが印象的な、疾走するロックンロール。荒々しいドラム・サウンドは人間の生命力の強さを称える歌詞をそのまま音像化したかのよう。
04愛のバクダン
「一般のバンドでも簡単に演奏できるように」と制作された、シンプルかつキャッチーなポップ・ナンバー。アコースティック・ギターのコード・ストロークとハードかつ小技の効いたエレクトリック・ギターの絡みは爽快感満点。アルバム『THE CIRCLE』からの先行シングル。
05Fly The Flag
リズミカルなギター・リフが特徴的なロック・チューン。辛いことからも目を逸らさずに、「まだ先は長い道のり」と真っ直ぐに未来を見据えるポジティヴな視線に貫かれた歌詞が印象的。稲葉浩志もお気に入りの曲だとか。
06アクアブルー
フォーク調の歌い出しからヘヴィなロック・サウンドへとなだれ込むパワフルなナンバー。リズム・チェンジを繰り返す複雑な曲構成だが、歌謡曲風のしっとりとしたメロディ・ラインによって難解な印象はなく、さらっと聴かせている。
07睡蓮
燃え尽きてもいいから2人で全力で生きていこう……。そんなメッセージ性豊かなラブ・バラード。ファルセットを織り交ぜた稲葉浩志の歌声がセクシー。“和”の世界観を持つ歌詞と絶妙にマッチした、情感たっぷりのギター・ソロも聴きもの。
08Sanctuary
穏やかな導入部から徐々に激しさを増していく、爆発力に満ちたロック・チューン。アコースティック・ギターを効果的に使用した抑制された演奏によって、じらすかのようにゆっくりとテンションを高めていく。
09Fever
シングル「愛のバクダン」のカップリング曲として発表された、アメリカ南部風のロックンロール・ナンバー。芯の太い、コシのあるドラム・サウンドが何ともグルーヴィ。ダブル・ミーニングを駆使したセクシャルな内容の歌詞にも注目!
10白い火花
エレクトリック・ギターとヴォーカルの激しい応酬が楽曲全体を引っ張っていく、複雑なリズムが刻まれるヘヴィ・ロック・チューン。テクニカルかつカオティックな展開が刺激的で、ベース・ソロが強烈なアクセントとなっている。
11イカロス
明日が来る前に「イカロスの勇気」で空へと飛び立つんだ……。そんな、自分を奮い立たせる姿が聴衆にも勇気を与える、押しつけがましくない応援歌。ゆったりとしたワルツと4拍子のロックンロールを組み合わせた異色のナンバーだ。
12BLACK AND WHITE
イメージに合わないということで前作『BIG MACHINE』のアウト・テイクとなっていた、インド風のメロディ・ラインが印象的なナンバー。フリーキーなギター・ソロを筆頭に、実験的でヘヴィなサウンド。現代社会への警鐘とも解釈できる意味深な歌詞にも注目。
13Brighter Day
「DEVIL」以来となる全編英語詞のバラード・ナンバー。英語ならではのストレートな表現で、希望について歌い上げる。ブレイクを経てからの、これでもかというぐらいにドラマティックな盛り上がりが白眉だ。