ミニ・レビュー
“子ども時代からのニックネーム”がタイトルとの由。なるほどネリーやスヌープをゲストに迎え、この人なりのストリート回帰? を思わすプロダクションが並ぶ。となると、相も変わらぬビジュアルはどうなんでしょう。マイケルに通じる問題を感じるが。
ガイドコメント
天性の歌姫、マライアの8枚目となるオリジナル・アルバム。力強く美しいバラードの魅力はもちろん、ジャーメイン・デュプリ、ネプチューンズ、カニエ・ウェストら豪華なゲストと共に新たなマライア・ワールドを展開している。
収録曲
01IT'S LIKE THAT
ジャーメイン・デュプリがプロデュース&バック・コーラスで参加した、ダンス・ホール直系のアグレッシヴなナンバー。ファットマン・スクープの文字通りファットなコーラスに乗じたマライアの楽しげなヴォーカルに、強い生命力を感じる。
02WE BELONG TOGETHER
大切な人を失った愚かさに気づき、一緒にいたいと哀訴するスタンダード・バラード。ボビー・ウーマックとベイビーフェイスの曲の一節を詞に組み込んだアイディアは、プロデューサーのジャーメイン・デュプリによるもの。
03SHAKE IT OFF
レゲエ風ヒップホップのテイストを軽やかに添えた、グルーヴ感あふれるR&Bチューン。愛情が冷めた相手はもう振り払わなきゃ、という詞だが、小気味よくシャッフルするリズムでラテンっぽい陽気さを残している。
04MINE AGAIN
もう一度やり直せると願う強い意志を歌った、オールドスクールなラブ・バラード。ホーンやリズム隊が醸し出すサウンドは、レトロだが現代風アプローチを利かせたシンプルな仕上がり。ジャズやゴスペルに精通するジェイムズ・ポイザーの好手腕が光る。
05SAY SOMETHIN'
スヌープ・ドッグの自然体でウェットなラップが効果的に飾られた、オールディーズの雰囲気もたゆたう洒落たR&Bチューン。耳に優しく入り込むリズム・コードが絶妙で、プロデュースしたネプチューンズとの相性の良さが発揮された1曲。
06STAY THE NIGHT
力みのない伸びやかなヴォーカルが縦横無尽に走るミディアムR&B。スタイリスティックス「Betcha By Golly, Wow」をサンプリングした、レトロ感覚の漂うサウンド・プロデュースはカニエ・ウェストによるもの。
07GET YOUR NUMBER
プロデューサーのジャーメイン・デュプリをフィーチャーしたポップ・ファンク・チューン。イマジネーション「ジャスト・アン・イリュージョン」を効果的に組み込み、躍動感あるコーラスの掛け合いで展開する構築が斬新。
08ONE AND ONLY
ザ・レジェンダリー・トラックスターとマライアの共同プロデュース。マライアとトゥイスタによる、哀れみを醸し出す泣きのフレーズと畳み掛けるような攻撃的なフレーズとが交互に展開する、起伏に富んだ構成のヒップホップ・ナンバー。
09CIRCLES
ライヴ感覚あふれるバンド・サウンドを幹としたオールドスクール感が漂う、ジェームズ“ビッグ・ジム”ライトのプロデュース作品。威風堂々と佇むその楽曲は、マライアの上質なヴォーカルをしっかりと支えている。
10YOUR GIRL
ADEAZE「A LIFE WITH YOU」を早回しサンプリングしたカニエ・ウェスト風トラックで、プロデュースはスクラム・ジョーンズ。マライアの高音を生かしたガール・グループ風ヴォーカルが映えるキュートな小品。
11I WISH YOU KNEW
ジェームズ“ビッグ・ジム”ライトによるプロデュース作品で、「サークルズ」同様に生バンド演奏を活かしたライヴ感あふれるオーソドックスなミディアム・バラード。私の愛を知っていて欲しいと願う情感をしっかりと捉えた上品さが伝わる。
12TO THE FLOOR
ネリーをフィーチャーしたネプチューンズ制作のアーバンなディスコ風トラック。クールなダンスフロア・チューンという趣で、情熱的なマライアとネリーのコーラスがクロスするバウンス感覚が走るグルーヴが最高。
13JOY RIDE
ドラマティックな展開が生命力あるヴォーカルを引き出したミディアム・スロー・ナンバー。マライアの天空を突き抜けるファルセットとトレイ・ロレンツの紳士然としたヴォーカルの絡みが、愛し合う恋人たちの陶酔の世界を演出するラブ・バラード。
14FLY LIKE A BIRD
ライヴ仕様のジェームズ“ビッグ・ジム”ライトのプロデュース作品。ゴスペル風コーラスの上をまさに鳥のように高みへと舞い上がるマライアの天を貫かんばかりのヴォーカルに、希望と神秘が見て取れるマライア・クラシックス・バラード。
15SPRUNG
UKと日本向けに収録されたアルバム『MIMI』のボーナス・トラック。尖ったビートの先進的なトラックにハイトーン・ヴォーカルのループが粘っこく絡まる、マホガニーのプロデュース作品。トレイ・ロレンツも参加。
16SECRETLOVE
“Oh Baby”のコーラスがセクシーな、ビヨンセらの作品で知られるSwizz Beatzプロデュース作品。前ノリのアッパーなヒップホップ色強いフロア・キラー・チューンだが、実はオープンにできない恋愛を歌ったもの。