ミニ・レビュー
4年ぶりに出る、レコード会社移籍作。“今の響き”と“懐かしさを覚えさせる温もりの感覚”を両立させたトラックに、魅力的な鼻声ヴォーカルをのせる。アイヴァン&カーヴィンやマリオ・ワイナンズらが制作関与。もろファンキーな(14)は、日本盤ボーナス曲。
ガイドコメント
確固たる地位を築き上げたR&B界屈指の実力派シンガーの4thアルバム。デビュー以来、圧倒的な個性と実力でシーンをリードし続ける彼女らしい会心の作。レーベルを移籍しての第1弾で、今後のさらなる飛躍を予感させる。
収録曲
01GOIN' OUT
アルバム『ファースト・レディ』のオープニングを飾る爽快なアップ・チューン。プロデュースはファレルのゲスト参加も兼ねたザ・ネプチューンズ。クリプスのプッシャ・Tの粘りあるラップも華を添え、フェイスの新たなスタートを称えた1曲。
02AGAIN
ザ・ホワットノーツの「Genuine」を大胆にサンプリングした、アルバム『ファースト・レディ』からの1stシングル。メロウなディスコ・ソウルの雰囲気に、フェイスの伸びやかなヴォーカルや多重コーラスがマッチした心地良い1曲。
03I DON'T NEED IT
ザ・ジョーンズ・ガールズの「Nights Over Egypt」をネタにした軽快なアップ・チューン。随所に盛り込まれたテンポ・チェンジがクール。ここでのフェイスのヴォーカルはソフトで滑らかな仕上がり。
04STOP N GO
アルバム『ファースト・レディ』収録のスロー・ナンバー。90年代のR&Bポップスを継承するメロディとコーラスが印象的。少ない音に多量の言葉を乗せた恋の駆け引きについての歌詞が、フェイスの表現豊かなヴォーカルで堪能できる。
05MESMERIZED
アルバム『ファースト・レディ』からの2ndシングル。G・ベンソンのブルース・ギターとJ・テイラーの名曲をサンプリングしたジャズ・ファンク色の濃い1曲。これまでのフェイスにはみられなかった、力強い粘りの効いたヴォーカルが新鮮。
06TRU LOVE
悠久な時を感じさせるシタール風のストリングスが映える、ジャーメイン・デュプリのプロデュースによるミディアム・スロー。“本物の愛”を歌うフェイスの歌唱が美しい、キャッチーなラブ・ソング。
07JEALOUS
ラテン・ポップをベースに敷いたミディアム・バラード。恋人への一途な想いを、感情を抑えたソフトなヴォーカルでサラリと歌いこなしている。バック・トラックのハンド・クラップが、ハッピー・メロウな曲調にピッタリ。
08EVER WONDER
「I Don't Wanna Know」のヒット曲で知られるマリオ・ワイナンズがプロデュースとゲスト・ヴォーカルで参加した1曲。フェイスとは何度も共演しているだけあり、息の合った掛け合いを披露している。
09CATCHING FEELINGS
ブライアン・マイケル・コックスがプロデュースを務めたスロー・ナンバー。フェイスのソフトな声質を巧く活かし、まどろみある幻想的でアダルトな雰囲気を持ったサウンドとマッチさせた1曲。
10GET OVER YOU
60年代のフィリー・ソウルの雰囲気を漂わせ、ジャズ・ピアノが彩りを添えるミッド・バラード。フェイスのクールな歌唱とお馴染みの多重コーラスが、一辺倒になりがちな曲調を変化に富んだものへと昇華させている。
11UNTIL YOU CAME
曲の構成やコーラス・ワークなど、クラシカルな手法を持ち込んだ60年代のソウル・テイスト漂うミディアム・バラード。フェイスの持ち味ともいえる、スモーキーで艶やかなヴォーカルが充分に堪能できる仕上がり。
12LUCKY DAY
アシッド・ジャズに、EW&Fなどに代表されるメロウ・ディスコをミックスしたダンス・ナンバー。クラブ・フロアを意識しているのか、ヴォーカルは聴かせるというよりもリズムの一部と化したクールな仕上がり。
13HOPE
映画『コーチ・カーター』のサウンドトラックに収録された1曲。TWISTAをフィーチャーしたこの曲は、社会の世情を投影した暗い内容でありながらも、フェイスのコーラスが希望を持たせる力強さを生んでいる。
14DO MY THANG
アルバム『ファースト・レディ』日本盤のみに収録されたボーナス・トラック。プロデューサーは、ブランディーのデビューに貢献したスコット・ストーチ。アグレッシヴなファンク・チューンにシャウトを効かせる、フェイスのヴォーカルが秀逸。