ミニ・レビュー
シングルの「凌辱の雨」「CLEVER SLEAZOID」も再録音し、結成10年目に発表したアルバム。ゴシックがかったラウド・ロック・サウンドはKORNも思い出すが速い曲もあり、ヴォーカルをはじめとして甘い旋律が前面に出た曲も多く、演劇性に富む彼らの美意識でそれらが違和感なく同居している。
ガイドコメント
全米デビューも果たしたへヴィ・ロック・バンド、Dir en greyの2007年2月発表のアルバム。ジャケットが問題となった「Agitated Screams of Maggots」などを収録。脳内を刺激する、唯一無二のサウンドが魅力だ。
収録曲
01CONCEIVED SORROW
ピアノのアルペジオとエレクトリック・ノイズが絡み合いながら流麗なメロディを紡ぎだす、リリカルなバラード。低音から高音まで自由自在に歌い上げてみせる京のヴォーカル・レンジの広さが実感できる一品だ。
02LIE BURIED WITH A VENGEANCE
京の壮絶かつ迫力満点なデス声シャウトが存分に堪能できるデス・メタル・ナンバー。海外ツアーの経験によってさらに強固になったバンド・アンサンブルが、タイトに引き締められた音塊を作り出し、ハイテンションで全力疾走する。
03THE FATAL BELIEVER
2006年3月に行なわれたアメリカ・ショウケース・ツアーで先行披露された、メロディアスなヘヴィ・ロック・チューン。スラッシュするエレクトリック・ギターがうなりを上げる攻撃的なサウンドは、破壊のカタルシスに満ちている。
04AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS
攻撃的なラウド・サウンドが響きまくるハード・チューン。日本語にすると相当“ヤバイ”内容を、完全英詞とスクリーム&シャウトで表現し、神経を逆なでしてくる。タイトルの“Maggots”とは「うじ虫」の意。
05GRIEF
ツイン・リード・ギターによるキャッチーなリフが耳に残るハード・ロック・チューン。楽曲が持つ躍動的なグルーヴは、高速フィルを的確に決めてみせるドラミングに負うところが大きい。詞は京がレコーディング中に即興で考え出したもの。
06凌辱の雨
激情と喪失を歌った詞を、静と動を使い分けたハード・サウンドで表現したラウド・ロック。湿り気のある京のシャウトが、セクシーにサビを彩っている。ミステリアスだがどこか和風の味わいがあるナンバーだ。
07DISABLED COMPLEXES
エレクトリック・ギターのファンキーなカッティングとジャジィなコード感が印象的なロック・ナンバー。リラックスした雰囲気のヴァースからヘヴィなコーラス部分へとなだれ込む、バンド・アンサンブルの豊かな表情の変化が聴きものだ。
08ROTTING ROOT
ブルージィなギター・リフのループが淡々と鳴り響きながら、徐々にバンド・アンサンブルは熱を帯びてくる。そして最後の最後に京のシャウトが炸裂! やさぐれた心情風景をドラマティックな楽曲展開で綴ったブルース・ナンバーだ。
09艶かしき安息、躊躇いに微笑み
『THE MARROW OF A BONE』収録曲の中でただ一つだけ日本語タイトルが付けられたバラード。オリエンタルなメロディ・ラインとアコースティック・ギターのアルペジオの透明な響きが、美しく絡み合うナンバーだ。
10THE PLEDGE
孤独を抱えながら生き続けなければならない絶望を、ギター・ワウをフィーチャーした埃っぽいサウンドに乗せて歌い上げたミディアム・バラード。X JAPANのTOSHIを彷彿とさせる京の超ハイトーン・シャウトが壮絶!
11REPETITION OF HATRED
インダストリアル・ロック調の重厚かつ攻撃的なギター・リフと極太のベース・ラインが前面に押し出された、退廃的なヘヴィ・ロック・チューン。ささやき声からデス声まで表情豊かに使い分ける、京のヴォーカル七変化にも注目だ。
12THE DEEPER VILENESS
超高速ビートで突っ走るハードコア・ナンバー。神を徹底的に糾弾するセンセーショナルな詞を、鬼気迫るシャウトで怒りをこめて歌い上げる。ノイズまみれで崩壊寸前のバンド・アンサンブルには、破壊の美学が刻み込まれている。
13CLEVER SLEAZOID
エレクトリック・ノイズを切り裂きながら疾走するロックンロール・ナンバー。激情をそのまま叩きつけたかのような力強いビートが印象的だ。シングル・ヴァージョンよりもギターを強調した再録ヴァージョン。