ミニ・レビュー
音楽で世界を旅しよう、というコンセプトが結実した15曲入りフル・アルバム。カントリー、ブルーグラスの要素を取り入れた「Joy Trip」、“アラビアン×へヴィ・ロック”的なサウンドが楽しい「1001 Nights」など、国境とジャンルを超えた楽曲がずらりと並ぶ。
ガイドコメント
約1年半ぶりとなるアルバムのテーマは、BENNIE K流“音楽の旅”。シングル「Joy Trip」「1001Nights」のほか、さまざまな国をイメージした楽曲が収録されている。作品を通して、世界一周のワクワク感が味わえる一枚だ。
収録曲
01ある朝〜Opening〜
鳥のさえずりと美しい日差しにも似たピアノの音色、そして、賛美歌的な清らかさをたたえたメロディ。清々しい気分に包み込む、アルバム『THE WORLD』のオープニング・ソング。ここからBENNIE Kは地球を駆け巡る旅に出る。
02Joy Trip
“新たな旋律との出会い”をテーマにした2006年のシングル。軽やかなバンジョーの音色に乗って、カントリー&ウェスタン・テイストのメロディ・ラインが響きわたる、斬新にしてオーセンティックなナンバーに仕上がっている。
03Passista de Samba
ハードコアな勢いを持つヒップホップ感とサンバを中心としたラテン・ミュージックのエッセンスがガッチリと融合。アコースティック・ギターの切なくも情熱的なカッティングに煽られながら、ふたりのパフォーマンスもさらに熱を帯びていく。
04SATISFACTION
ローリング・ストーンズによる1965年の超名曲のカヴァー。2000年代のクラブ・ミュージック的ダイナミズムを感じさせるビートとラップをフィーチャーすることで、まったく新しい表情を与えることに成功している。
05英→仏→独〜Interlude〜
思いきり英国訛りの英語をしゃべるイギリス人、嫌味なトークをまくし立てるフランス人、実直に自分の意見を曲げないドイツ人がフットボール談義に花を咲かせる、ユニークなインタールード。アッパーなトラックもかっこいい!
06風利眼 in the house
テクノ〜ハウス系の高揚感あふれるトラックのうえで、“今日はフットボールゲーム! 日ごろの悩みを忘れて盛り上がるぜ!”といったリリックを刻み込む強烈パーティ・チューン。ぜひ野外で、大音量で踊りまくりたい!!
07ララライLIE!?
濃厚なスパニッシュ・テイストをたたえたアゲアゲのリズム・アレンジによって描き出されるのは、ウソをたくみに使いながら世の中をヒョイヒョイと渡り歩こうとするビッチ(悪女)の姿。ユーモラスなアイディアが込められた一曲。
081001 Nights
タイトルどおり、コンセプトの中心は“千一夜物語”。中近東風のサウンド・エフェクトとヘヴィ・ロック直系のギター・サウンド、そして、エキゾティックなメロディ・ラインがゆったりと溶け合って、不思議な雰囲気を醸し出している。
09echo
アイリッシュ〜ヨーデルあたりの香りをほんのりと漂わせながら、J-POPとしての機能もしっかりと果たす、絶妙のミクスチャー感に支えられたナンバー。美しい透明感をたたえたメロディの反響(echo)に思わずうっとり……。
10Matador Love
再び吹き始める、南米の風。サルサ、サンバ、スパニッシュの要素をしっとりと漂わせるサウンドと2000年代ダンス・ミュージックとしての強度を持ったビート。そして、狂おしいほどに切ない愛の歌が、バランスよく混ざり合っている。
11SAFARI
アルバム『THE WORLD』の旅は、アフリカへも続く。大らかで厳しい自然を思い起こさせるリズム、ナチュラルで大陸的なコーラス・ワーク、何千年もつながれてきた命の美しさをテーマにしたリリック。壮大なイメージをもたらすヒップホップ/ソウルだ。
12帰路...〜Interlude〜
飛行機の中だけで聴けるミュージック・チャンネルを模したインタールード。ナビゲーターはリサ・ステッグマイヤー。そして、放送中にいきなり飛び込んでくる機長のアナウンスを担当しているのは、日本を代表するDJ、バッキー木場!
13青い鳥
三線と沖縄的なコーラスによって導かれるミディアム・バラード。どんな時でも迎え入れてくれる場所があるからこそ、人は新しい旅に向かうことができる……。そんな優しいメッセージを伝えるリリックが、ゆったりと心に響いてくる。
14Around THE WORLD〜Reprise〜
クラシカルなピアノ、大らかなスケール感をたたえたストリングスを中心としたアレンジメントを担当しているのは、クリスタル・ケイ、中島美嘉などの楽曲を手がけたことで知られる河野伸。しっとりした気分に誘われるインスト・チューンだ。
15ワイハ♥
ウクレレ、スティール・ギター、波の音。アルバム『THE WORLD』で世界中をぐるんと回ったロング・トリップの最終地は、暖かい風とキラキラした光に満ちたハワイ。日ごろの悩みを全部忘れて、ゆっくりリラックスしたくなるリゾート・ソング。