ミニ・レビュー
全曲リマスタリングされた初の全世界ベスト盤。DISC 1では11曲(ライヴ・ヴァージョン3曲、「Without You」はCD初収録)、DISC 2で29分の「ART OF LIFE」が聴け、メジャー・リリースの作品からバンドの多彩な面がパックされている。海外でのライヴ写真も含む20ページのブックレット封入。
ガイドコメント
2014年6月17日リリースのX JAPAN初の全世界ベスト・アルバム。89年のメジャー・デビューから2014年で25周年となる彼らの代表曲を全曲リマスターするほか、HIDE追悼のために書かれた「Without you」のライヴ版を初収録。
収録曲
[Disc 1]
01Silent Jealousy
91年の2ndアルバム『Jealousy』のリード曲となったシングル。YOSHIKIの壮絶な高速ドラムが響くシンフォニックな様式美のスピード・メタルだが、TOSHIのソフトなハスキー・ヴォイスもあって喧噪に潜む静寂を絶妙に描写している。
02Rusty Nail
時間が過ぎても忘れられない貴方への想いを“錆びた爪”に重ねたラヴ・ソング。キレ味鋭いリズムのドラムやドライヴするベースを背景にソフトなハスキー・ヴォーカルを絡め、物憂げな佇まいを演出。叙情的なロックに仕上がった。
03SCARS
ヘヴィなツイン・ギターがデジタルな色彩をもって放たれる、HIDEが詞曲を手掛けたノイジーなハードロック。背徳と官能により生まれた傷跡を、変則的なチューニングによるギターなどで駆使して“ひねた”感覚を演出。中毒的なリフに唸る一曲だ。
04ENDLESS RAIN
「紅」のイメージを瞬時に覆し、バンドの音楽的視野の広さを知らしめたシングル。穏やかなピアノと耳を引くメロディが胸を打つ、シンガロング必至の悲しきラヴ・バラードだ。YOSHIKIのクラシックの素養が垣間見えるスケールの大きさも魅力。
05WEEK END
メジャー・デビュー・アルバム『BLUE BLOOD』からのシングル第3弾。死を目前にした凄絶な光景と悲恋を歌うが、ドライヴするベースが映えるスピーディなロック・サウンドでポップネスを創出。流麗なピアノやリズミカルなドラムなどメロディアスな要素も。
06紅
彼らの存在を一躍“社会現象”とさせた代名詞的なナンバー。穏やかなギターのアルペジオから怒濤のハイスピードなメタル・サウンドへの展開が興奮を呼ぶ。エッジーなビート、高音ヴォーカル、キャッチーなフックと、革命的な融合を遂げた傑作。
07Forever Love
YOSHIKIの美意識を具現化したような壮大なオーケストラ・アレンジが特色のミディアム・ロック・バラード。“時代の風が強すぎて”などのフレーズには、彼らの人間味も映し出されているよう。傷心を癒す悠久と永遠の愛を歌う時代を超えた名曲だ。
08DAHLIA
96年の3rdアルバム・タイトル曲にもなったシングル。傷や悲痛、孤独からの脱却は彼らの一つのテーマだが、それを彼ららしいドライヴ感やドラマティックな旋律にエフェクトなどデジタルな要素を加えて、斬新に表現。拭えない憂いを叫ぶ歌唱も美しい。
09Amethyst (THE LAST LIVE〜最後の夜〜LIVE VERSION)
原曲は93年に発表されたYOSHIKIのソロ曲のインストで、これは97年末の東京ドームでの解散ライヴ“THE LAST LIVE〜最後の夜〜”のテイク。オーケストラをバックにメンバーが紹介される瞬間の歓声には、抗えない興奮をもたらす。
10X (THE LAST LIVE〜最後の夜〜LIVE VERSION)
バンド名を冠した高速ヘヴィメタル。97年末の東京ドームでの解散ライヴ“THE LAST LIVE〜最後の夜〜”での興奮渦巻く約10分の熱狂に、一時代を築いた証が。目まぐるしい音の連なり、鬼気迫るヴォーカルは、狂気すら感じさせる。
11Without you (LIVE VERSION)
HIDEの死の直後にYOSHIKIが綴った美しいメロディのバラード。再結成後のステージでは定番となったライヴ・ヴァージョンで、感情あふれたToshiのヴォーカルや観客が叫ぶHIDEの名など、生々しいゆえ胸に詰まるものがある。
[Disc 2]
01ART OF LIFE
X JAPANという存在を象徴するような約30分の組曲風の一大叙事詩ともいえる壮大なナンバー。YOSHIKIの半生を綴った詞世界を、クラシカル、メタリック、ヘヴィ……と多彩に描きあげる。ロンドン・ロイヤル・フィルがオーケストラに参加。