ミニ・レビュー
2004年、ついに初来日公演を行なったザ・フーの限定ベスト。選曲はオーソドックスだが、特筆すべきはピート・タウンゼンドが書き下ろした2曲の新曲が含まれていること。さらに、ヴァージョン違いの5曲を収めたボーナス・ディスクもついている。★
ガイドコメント
デビュー40周年を記念したべスト・アルバム。数々のヒット曲に加え、22年ぶりとなる新曲が2曲含まれていることでも話題沸騰だ。2004年7月の初来日を祝し、初回分のみ2枚組にて発売。
収録曲
[Disc 1]
01I CAN'T EXPLAIN
02MY GENERATION
03THE KID ARE ALLRIGHT
「マイ・ジェネレーション」と並ぶモッズ讃歌。ビートルズの影響を感じさせるキャッチーなメロディとザ・フーならではの暴力的なサウンドを合体させた強力なポップ・ソング。米国盤ではカットされてしまった間奏のノイジーなギター・サウンドが圧巻。
04SUBSTITUTE
05I'M A BOY
06HAPPY JACK
07I CAN SEE FOR MILES
ザ・フー版“音の津波”が聴き手に襲いかかる強力なシングル曲。スタジオ録音では史上最高のバンド・サウンドが聴ける。特にキースのドラミングとピートのギターはほぼ完璧に近い。全英では10位、全米では9位のヒットを記録。ボディビルのCM付き。
08MAGIC BUS
09PINBALL WIZARD
ロック・オペラ『トミー』の白眉であり、ザ・フーの最高傑作のひとつでもある名曲。三重苦の少年トミーが“ピンボールの魔術師”になる、という発想も秀逸。ロック史上に残る最強の楽曲のひとつを作り上げたピートの才能とザ・フーの表現力に改めて最敬礼。
10SEE ME, FEEL ME
11SUMMERTIME BLUES
12BEHIND BLUE EYES
絶頂期のザ・フーを代表する名曲中の名曲。透明なアコギと美しいメロディから始まり、滑らかな3声のハーモニーと劇的なエレクトリック・パートを経て、再び冒頭の美しいメロディが繰り返される。「悪党と呼ばれる悲しい男」の想いを描いた歌詞も秀逸。
13WON'T GET FOOLED AGAIN
最盛期のザ・フーの実力を象徴する傑作。シンセサイザーのループで幕を開けるイントロからトドメを刺すようなエンディングまで、最強のバンドによる最高の演奏が堪能できる。8分半が一瞬にも思える稀代の名演。歌詞の教訓は“リーダーには従うな”だろうか。
145: 15
アルバム『四重人格』からの唯一のシングル曲。ホーンを配した狂騒的なバンド・サウンドに乗って、ロジャーが力強いシャウトを披露し、コーラスとの掛け合いを演じる。関連性のない言葉の断片を羅列した歌詞も面白い。唐突に静かになるサビとの対比も鮮やか。
15LOVE, REIGN O'ER ME
雨とピアノから始まる“ピートのテーマ”。ザ・フーのレパートリーの中でも最もドラマティックなバラード。ストリングスを模したシンセサイザーとキースのドラミングを主体にしたサウンドが独自の世界を構築し、ロジャーが一世一代のシャウトを披露している。
16SQUEEZE BOX
覚えたばかりのアコーディオンでピートが書いたカントリー調のポップ・ソング。単純すぎるほどの曲調に下ネタの歌詞がよく似合っている。ピートはアコーディオン、ギター、バンジョーをプレイし、バンジョーでのソロも披露。
17WHO ARE YOU
70年代のザ・フー・サウンドを集大成したような曲。シンセサイザーのループにアコギのソロが絡み、コーラスが「お前は誰だ?」と問い続ける。ピートの実体験を基にした歌詞が、成熟したロック・スターの悲喜劇をリアルに描き出している。
18YOU BETTER YOU BET
シンセサイザーのループとキャッチーなフックのコーラスから始まるシングル曲。キースに代わって参加したケニーのタイトなドラミングに乗って、ロジャーが成熟した歌声を披露している。歌詞には“T-Rex”と“Who's next”が登場する。全英9位のヒットを記録。
19REAL GOOD LOOKING BOY
2004年に発表された16年ぶりの新曲。エルヴィス・プレスリーの名曲「好きにならずにいられない」のメロディと歌詞の一節を借用した美しいバラード。少年時代のピート自身と彼が憧れた“Real Good Looking Boy”エルヴィスについて歌っている。
20OLD RED WINE
2004年に発表された16年ぶりの新曲。最盛期のザ・フーを思い出させるドラマティックな展開の感動的なバラッド。2002年6月27日、ザ・フーの全米ツアー初日の前日に心臓発作で急逝した“戦友”ジョン・エントウィッスルに捧げられている。
[Disc 2]
01GREAT SHAKES
02MAGIC BUS
03EYESIGHT TO THE BLIND
04POSTCARD
05I DON'T EVEN KNOW MYSELF