ミニ・レビュー
2005年のデビュー・アルバムで、一躍その圧倒的な存在感をゴスペル・マニアの間に深く刻みつけたキキ。18歳のパワフルでキラキラと輝くような魅力は、この2作目でさらにスケール・アップ。恐れを知らない大バケ伝説がまた生まれようとしている。
ガイドコメント
アーバン・ゴスペル系女性シンガーの2ndアルバム。サラブレッドならではの抜群のセンスとパワフルなヴォーカルが魅力で、全ブラック・ミュージック・ファンの期待を裏切らない好作品。今後の更なる飛躍を感じさせる。
収録曲
01YES
ウォーリン・キャンベルが手掛けたダンサブル・チューン。アッパーなドラム・ビートをバックに、フレッシュなヴォーカルが駆け抜けていく。「こうして歌っているのは、あなたに神様のことを教えたいから」と過激な調子で迫る、既存の概念を覆すゴスペル・ソング。
02YOU
シンセのリフと弾けるメロディの組み合わせがゴキゲンな、ウォーリン・キャンベルによるキャッチーなダンス・ナンバー。ゴスペルということを忘れるほど、活き活きとしたヴォーカルが映えるポップな曲だが、タイトルの“ユー”とは、もちろん“神様”のこと。
03YOU'RE THE ONLY ONE
ロドニー・ジャーキンズ系チーム“ダークチャイルド・ゴスペル”がプロデュースした、エッジを効かせたR&Bチューン。「私にとっては、神様だけが頼りなの」と強い信念を持ちながら、熱さを抑えたヴォーカル・ワークがクール。
04GET BETTER (IT'S ONLY ONE)
ポジティヴなメッセージを綴ったナンバー。シンセのリフがビシッと決まった、レゲトンやヒップホップの要素を巧みにちりばめた先鋭のR&Bスタイルで、「世界は回り続け、きっと今よりもいい時代が訪れるわよ」と歌っている。
05THIS IS ME
アルバム『ディス・イズ・ミー』のタイトル曲となったミディアム・スロー・バラード。最初は囁くようなキュートなヴォーカルが、後半からラストにかけてエモーショナルな熱唱と展開していくさまは、不完全でも「これが私なの」と多感な自身を表現しているかのようだ。
06IT IS WHAT IT IS
スウィートなR&B調のメロディとサウンドを持ったミディアム・ナンバー。ラブ・ソングのようなキュートな佇まいを持ってはいるが、真摯に「神様を信じることの大切さ」について歌っているゴスペル・ソングだ。
07HAVE WHAT YOU WANT
ラッパーをフィーチャーし、キキ自身もラップに挑戦。メロウで心地よいグルーヴの楽曲に包まれながら、スムースなフローを披露。「自分が望むものを自分の力で手に入れて」という詞に、信仰の大切さと人生への教訓を含んだナンバー。
08WRONG THINGS
ラッパーをフィーチャーした、ハード・エッジなムードを醸し出しているミディアム・スロー・ナンバー。「世間にあふれている誘惑の甘い罠にかかりたくはないの」という詞に、信仰心の厚い、確固たる倫理観を持つ彼女だからこその説得力が見てとれる。
09WHY ME?
アーバンなムードとレゲエ風なアプローチがクロスオーヴァーしたクールなR&Bナンバー。自分自身の神に対する信仰心の深さを切々と綴ったもので、先進的なサウンドと宗教的な世界観との斬新な組み合わせは、まさにキキならでは。
10FAITH
「私の心の拠り所は、神様への信仰心なのよ」と歌う、サビでのメロディやコーラスがクールに融合したヒット・ポテンシャルの高いR&Bナンバー。シンセのリフなども効果的に楽曲を盛り上げ、アーバンな雰囲気を漂わせている。
11HANDS UP
ギャングスタ・ラップ風のちょっぴり怪しい雰囲気ではじまるナンバー。しかし、歌詞ではいつものように神への信仰心が歌われており、賛美歌や旧約聖書からインスパイアされたフレーズが挿まれている。キキの堂々たるヴォーカルも聴きもの。
12GET YOURS
「悪魔に奪われたものを取り戻すのよ」というどこか攻撃的な印象を受ける詞が印象的なゴスペル・ソング。ミディアム・タッチのリズム・パターンが終始刻まれるなかで、ソウルフルなヴォーカルが心地良く展開していく。
13SCREAM
男性ラッパーをフィーチャーした、アルバム『ディス・イズ・ミー』の中でも最もパワフルなダンス・チューン。声高らかに叫ぶのは、もちろん“神様への賛辞”で、キキのヴォーカルも、いつも以上に力がみなぎっている。
14HEAR THIS
シルキーなコーラスと美しいムードのストリングスが印象的なミディアム・チューン。「私の悲痛な叫びを(神様に)聞いてほしいの」と、切々と歌いかけるキキのヴォーカルも見事に映える、スタンダード・バラード。
15NO NEVER
強烈な躍動感あふれるリズムに煽られるように、うねるようなファンキーなヴォーカリゼーションで応えるダンサブルなR&Bチューン。コーラス・パートで披露する、粘りのあるヴォーカルに、ゴスペルで培われたスキルの高さを遺憾なく発揮している。
16RISE
MISIA「Everything」を手掛けた松本俊明が作曲し、新鋭プロデューサー、ダモンスタとキキで手掛けた、アルバム『ディス・イズ・ミー』日本盤限定収録曲。親しみやすいポップなメロディを持ったダンサブルなトラックで、夏にピッタリの装いだ。