ガイドコメント
96年発表の2ndアルバム。「ヌゲヌゲ」や「オレメカ」といった、彼らの独特な言語センスが炸裂したナンバーから、シンガロング必至の「月光陽光」など、ロックンロールにひねくれたポップさを加えた作品が詰まっている。
ミニ・レビュー
待望のセカンド・アルバム。ブルーハーツ時代の歌詞のアグレッシヴな面と、ハイロウズ結成後、ストレートな演奏にふくらみが出てきた面とがひとつになった快作。単発の言葉と吐くヒロトの独特の歌には不思議な深みがある。ライヴを観たくなるバンドだ。
収録曲
01俺軍、暁の出撃
“おーい、おっさんおっさん”で2ndアルバムのオープニングを飾るハード・ロック・ナンバー。ドラムだけをバックにした “NA NA NA〜”のコール&レスポンスなど、明らかにライヴ映えする1曲。
02相談天国
オルガンや重いギター・フレーズを特徴とするハード・ロック・ナンバー。明らかにディープ・パープルを思い出してしまうが、“相談しよう そうしよう”というサビが見事にハマっているため、妙に納得させられてしまう。
03オレメカ
甲本ヒロトらしい8割方ふざけたポップ・ナンバー。曲調が一変する中盤からキュインキュイン鳴るシンセやカウベルまで、きめ細かい味付けが見事。最後に一瞬だけ笑い声が入っていることから笑って聴く曲だと確信できる。
04アレアレ
ミディアム・テンポのロックンロール・チューン。何ごとにも“金がかかる”と訴え続ける歌で、最後まで“アレ”が何かを言わないあたりが実にユニーク。6分弱と比較的長めだが、秀逸なアレンジが聴き手を飽きさせない。
05レッツゴーハワイ
寒い冬はいやだからハワイに行こう、というタイトル通りの歌。サウンドはストレートなロックで、ファルセットによるサーフ・ミュージック風コーラスが南国っぽさを演出。実際には行ってないのが不思議と伝わって来る。
06ロッキンチェアー
6枚目のシングルとしてリリースされたブルース進行の軽快なロック・チューン。ヘトヘトなので休みたいと訴える歌。突然テンポ・ダウンするエンディングが“バタンキュー”してしまったことを示唆しているかのようだ。
07Happy Go Lucky
7枚目のシングルとなったスリリングな16ビート・ロック。ダメな自分を認めつつも“Happy Go Lucky”と悠長に構える歌。パーカッションやアコギをはじめとするリズム陣のタイトなグルーヴが心地良い。
08ヌゲヌゲ
“やってるもーん”という歌い出しで甲本ヒロトの曲だとわかるファンキー・ナンバー。タイトなキメやグルーヴィなワウ・ギターなど、サウンドは極めて粋だが、“ヌゲ”や“ハゲ”など、歌詞はトコトンふざけている。
09変身リベンジャースーパーファイトバック
“燃えよドラゴン”で始まる軽快なロック・チューン。やられたら3倍にしてやり返せと、聴き手を鼓舞するマーシーらしい応援ソング。「ミサイルマン」などにも通じる語呂とイメージの良いタイトル兼サビ・フレーズが見事。
10ブンブン
極めて明るいハード・ロック・ナンバー。蚊が「心配かけんなよ」と語りかけるユニークな歌。2ndアルバムは「アレアレ」「ヌゲヌゲ」「ブンブン」という甲本ヒロトのユーモラスな3曲がひとつのカラーとなっている。
11シェーン
アラン・ラッドの名を世界中に知らしめた大ヒット西部劇をモチーフにしたナンバー。その映画を観て感化された少年の心情がよく表現されていて、似た経験を持つ人なら誰でも共感するところ。ラストは映画の名セリフ。
12月光陽光
8枚目のシングルとしてリリースされたミディアム・ロック・ナンバー。たとえ安っぽくても輝く夢に向かって力強く生きようというポジティヴな歌。ハイロウズのレパートリーの中でも特に人気の高いナンバーのひとつ。