ミニ・レビュー
2006年12月に発売されたシングル「粉雪のシュプール」や、未発表曲2曲を含むベストCDとビデオ・クリップとライヴ映像を収録したDVDとの、2枚組アルバム。彼女への入門盤として、またこれまでのまとめとして、コア・ファンにも初心者にも意味ある作品。
ガイドコメント
2007年1月発表、一十三十一のコレクション・アルバム。デビュー曲「煙色の恋人達」や「粉雪のシュプール」などの代表曲に加え、インディ時代の人気曲や未発表曲も収録。DVDでは、PVやライヴ映像が楽しめる。
収録曲
[Disc 1]
01粉雪のシュプール
4つ打ちのリズムに絡む繊細なギターが、ゲレンデ独特の開放感を表現。舞い上がる恋心を“スキー”に重ね、冬の情景を描写したリリックと夏のリゾート地を思わせる爽快なサウンドの融合がユニーク。リラックスを誘うナンバーだ。
02Mangosteeeen!
リズムを連打しながらシャカシャカと動き回るエレクトロ・サウンドが、時にファンキー、時にオリエンタルな雰囲気を作り出す。ハープやストリングスが華やかに彩るなか、音を連打するように歌うサビが、めくるめく展開を聴かせるナンバー。
03WAKE UP!
ラテン・フレイヴァーが香るパーカッションのリズムや気だるいホーンなど、大人の雰囲気が漂う曲。“はやく気がついて”という呼びかけや合間でのアドリブ風の歌唱からは、切なさやもどかしい想いがこぼれ落ちてくるようだ。
04DOWN TOWN
さまざまな電子音が行き交い宇宙遊泳を想起させるサウンド構成の中、遠い異国から放たれるような鍵盤ハーモニカの響きが印象的。都会の喧騒を離れて心地良い逃避行に連れ出してくれる……幻想的かつメロウなナンバーだ。
05ウェザーリポート
クールなビートに乗って走り出した恋を歌うダンス・ナンバー。メロディアスなストリングスやコーラスを重ねることで、じわじわと盛り上がる気持ちを表現している。最後の“覚悟はいい?”というフレーズが心に残る、ドラマティックなハウス・ミュージックだ。
06ACROSS THE UNIVERSE
ビートルズのカヴァー。アンビエント・テクノやドラムンベースを取り入れたサウンドをバックに、ささやきかけるように歌う。土着的なリズムにベースの低音が折り重なり、ウィスパー・ヴォイスで繰り返されるコーラスが、呪文のようだ。
07渚にて
柔らかくふんわりとした音の空間に包まれながら、吐息まじりの歌声で“夏のいたずら”の恋を綴るナンバー。まどろみを誘発する微細な音の動きの中で、太陽さえ嫉妬する“眩しい人”に夢中になっていく様子をしっとりと歌い上げている。
08フライデイ
jazztronikこと野崎良太が作曲したクールなナンバー。音数の少ない抑えた演奏によるシンプルな構成は、ほのかにジャジィな香り。ドライなサウンドに乗る軽やかな歌声で、憧れや出会いに向かって駆け出していく前向きな心境を歌っている。
09プラチナ
ゆったりと時を刻むバンド演奏に、ムーディかつファンキーな電子音が溶け合うミディアム・スロー・ナンバー。気だるいピアノの旋律が物憂げな雰囲気を演出し、移り気な相手に対する儚く切なげな心情を描いていく。
10煙色の恋人達
軽快でダンサブルなラテン系のリズムに乗せて、想いが止められない二人を歌うデビュー曲。情熱を煽るようにパーカッションが鳴り響き、躍動的なストリングスが感情を高ぶらせていく。スリリングに恋に落ちていくさまを描いたナンバーだ。
11CHARADE
タップ・ダンスのステップ音をフィーチャーしたジャジィなナンバー。ピアノの旋律を軸に、つぶやくような歌い出しからミュージカル風のコーラスへと展開。スローから軽快なテンポへと表情を変えるメロディも絶妙な、遊び心が感じられる曲。
12GO NO GO
静かな音空間の中をピコピコとした電子音が鳴り響き、キラキラとしたムードが漂うナンバー。“ザブザブーン”や“シャラララララ!”といったコミカルな詞を、淡々としたメロディに乗せて歌っていく。心ここにあらずという雰囲気のヴォーカルが特色。
13おぼえているよ (feat.ASA-CHANG)
ASA-CHANGプロデュースによるダブ・チューン。スティール・パンやトランペットがふんわりと余韻を残し、清涼感あふれるギターが心地いい。“思い出はいつまでも優しすぎる”という優しい歌声にも包み込まれていく。
14キラメキmovin' on (feat.CICADA)
小川裕史によるテクノ・ユニット“CICADA”とのコラボレーション。表情をコロコロ変えるリズム・トラックの上を、リズミカルなメロディがなめらかに流れていく。意味よりも発音を重視したような歌詞も特徴的で、言葉もリズムを刻んでいるようだ。
15粉雪のシュプール (powder snow mix)
Great 3の白根賢一プロデュースによるメジャー4thシングルのリミックス・ヴァージョン。オリジナルよりグッとテンポを落とした、浮遊感漂うスローなものとなっている。水中で鳴っているような音空間の中、低音のビートが鼓動のごとく響いている。
16デイライト
“陽射し”とともに心が晴れわたっていくような明るいダンス・ナンバー。朗らかなストリングスが爽やかな希望を感じさせ、ハープやフルートが新しい何かが起こりそうな予感を運んでくる。春にぴったりのフレッシュな曲。
[Disc 2]〈DVD〉
01DOWN TOWN
02GO NO GO
03キラメキmovin'on (feat.CICADA)
04ウェザーリポート
05粉雪のシュプール
06最初のひとくち (live at chelsea hotel)
07時よ (live on the ship)