ミニ・レビュー
デビューから10周年を迎えるタイミングでリリースされた、4つのシングル曲を含む8枚目のアルバム。ダンサブルなリズムをベーシックにしたポップスで変わらぬ歌声を披露。チャート1位を獲得するなど、安定した人気も再確認。「TOP OF THE WORLD」はカーペンターズのカヴァー。
ガイドコメント
デビュー10周年となる2009年発表のアルバム。タイトルにも表われているとおり、自分の音楽や自分自身にもっと触れて欲しいという想いから作られたという作品で、リアルな感情が綴られている。
収録曲
01touch Me!
ドラマティックな旋律で展開するアッパー・ポップ。本当の私に触れて! と哀願する内容だが、“すいません……あと一歩がんばれない”“「駆け込み乗車は危ないのでおやめ下さい」”など、自然体でユニークな詞を採り入れるのが彼女らしい。
02一秒ごとにLove for you
“オーエオ”というコーラスと颯爽としたギターが映えるアッパー・チューン。聡明なヴォーカルが夏の清々しさを醸し出すラヴ・メッセージ・ソングだ。日本テレビ系アニメ『名探偵コナン』オープニング・テーマ。
03Break the Tone
Mai Kのフロウが弾けるファンキーなパーティ・チューン。軽快なギターのループや90年代風のオーケストラヒットを導入したパートなど、色調の異なる組み合わせが特徴。ハイライトはラップ・パートだが、クリアな声質もあって品の良さは失われていない。
04夢が咲く春
アシッド・ジャズ風のグルーヴィなヴァースから展開するアッパー・チューン。辛く悲しいことに耐えた後はきっと輝けるはずという自問自答を、春に咲く花になぞらえている。バカラック風のコーラスでまとめたアウトロが春らしいポジティヴな彩りを添えている。
05I can't believe you!!
Free-role J制作によるAOR寄りのソウル調ナンバー。机にアゴを乗せて授業を受けている空虚な心境のうちに先生から質問が飛んできた……という身近な光景を描くのが彼女らしい。テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』エンディング・テーマ。
06Secret Lover
幻想的で漂流感のある鍵盤とシンプルなギターのアレンジで飾った、Free-role Jによる瑞々しいラヴ・バラード。友達から恋人への発展を密かに期待する女心について、上品さを携えたアダルトなヴォーカルで表現している。
07Hello!
昨日よりも勇気を出して前に進もうというポジティヴなメッセージのミディアム・スロー・バラード。シンプルなメロディ進行と詞だが、それがかえって強く胸に響く言葉となっている。NHK-BS『はろ〜!あにまる ダーウィンの動物大図鑑』テーマ・ソング。
0824 Xmas time
KEN-RYWのラップをフィーチャーしたクリスマス・ストーリー。大切な人と過ごす特別な日における前のめり気味な気持ちを、柔らかくも清々しい色香あるヴォーカルで綴っている。TBS系『恋するハニカミ!』エンディング・テーマ。
09Catch
これまでとこれからの人生における気持ちの変化を、君の手をつかみたいという詞に託したポップ・チューン。ミステリアスな雰囲気から歌謡曲風メロへと展開するヴァース、高揚感あるコーラス、バックストリート・ボーイズ風のブリッジという多彩な構成が特色。
10You and Music and Dream
端整なピアノとストリングスのアレンジが悠久な時の流れを想起させるミディアム・スロー・バラード。これまで倉木麻衣を支えてきた“あなた、音楽、そして夢”について、いつまでも信じ続けていたいという感謝をほどよい熱と丹精なヴォーカルで語っている。
11TOP OF THE WORLD
ライオン「香りつづくトップ」CM曲として話題になったカーペンターズのカヴァー。奇をてらわない原曲に忠実なカヴァーだが、温もりと優しさを感じる原曲よりも、軽快なギターと歯切れのよい歌唱によって清潔感と明快さがいっそう伝わるアレンジとなっている。
12夢が咲く春 (remix)
徳永暁人による28thシングルのリミックス。“夢が咲く春”を“tell me tell me take a chance”とするなどほぼ全篇を英詞にし、ファンク・ポップ寄りの原曲からサウンドに空間を持たせたクラブ仕様のアッパーへと変貌させている。