ミニ・レビュー
3年ぶりのセカンドは、露出度もぐっと上げてのイケイケ・モード。エッジの利いた(1)は、J-R&Bが即真似しそうなキャッチーな出来。ビヨンセやジェニロペで当てたロブ・ハリソンが夫なだけに、適度なストリートぽさをまじえ、可憐に歌っていきます。
ガイドコメント
進化し続ける創造性とリアル・タイムのヒップホップ・ソウルを彩る確信犯、エイメリー。2005年のブレイク大本命といわれる彼女の待望のアルバムが完成。ストリートの話題をさらうこと必至の1枚。
収録曲
011 THING
2ndアルバム『Touch』の先行シングルとなったリッチ・ハリソン制作曲。スタンレー・ウォルデン「オー・カルカッタ」を敷いたバウンシーなアッパーで、“どうあがいても忘れられないあなたへの扉を開くわ”という覚悟を決めた女性の意志の強さが感じられる。
02ALL I NEED
ジーン・カーン「ユー・アー・オール・アイ・ニード」を早回しで拝借したリッチ・ハリソン制作曲。“あなただけが必要なの”という狂おしい感情を甘く妖しく歌う、アーバンなムードを携えたミディアム・チューン。
03TOUCH
アルバム・タイトル曲となるリル・ジョン制作によるクランク&B。リル・ジョン印といっても、やみくもに叫んでビートもガツガツくるというわけではなく、エイメリーの艶やかさを計算したオリエンタルな変態ビートでセクシーに飾っている。
04NOT THE ONLY ONE
浮気をしている彼に対して“あなたが好きだけど、私にも別の人がいるのよ”と独白する痴話ゲンカ・ストーリー。ブライス・ウィルソンによるアダルトで不穏なムードを醸し出すサウンドが、詞と絶妙にリンクしたミッド・チューン。
05LIKE IT USED TO BE
ゆったりと重く刻まれるリズムとボトムの上で展開される、リッチ・ハリソン制作のマイナー調ミディアム・スロー。抑揚あるイントロのコーラスが“もう一度やり直したい”という痛切な哀願を絶妙に描写している。
06TALKIN' ABOUT
エイメリーの真骨頂でもある、パワフルでダイナミックなヴォーカルが冴えるファンキー・アップ。恋の駆け引きに翻弄され続けて疲れ切った後に訪れた、最高の人との出会いに気持ちが抑えきれないと歌っている。
07COME WITH ME
失恋の痛手を負う彼に“私が癒してあげる”と迫るミディアム・チューン。抑揚の振幅が狭いリズムとは対照的に、次第に熱情を帯びていくヴォーカルが恋い焦がれる様子を妖しげに描く。リッチ・ハリソンによるプロデュース。
08ROLLING DOWN MY FACE
ロイ・エアーズ「サーチング」のもの悲しげなホーンのループをバックに展開する失恋ストーリー。恋人との思い出を忘れられずに途方に暮れ、ただ涙が頬を伝って落ちる様子を悲哀の表情で歌っている。プロデュースはリッチ・ハリソン。
09CAN WE GO
アダルトなカール・トーマスのヴォーカルをフィーチャーしたBINK!制作のビター・スウィートなミッド。アース・ウインド&ファイア「エヴィル」を敷いたトラックの上で、“私たちはあの頃に戻れるのだろうか”と自問する恋の末路のストーリー。
10JUST LIKE ME
アンドレ・ハリス&ヴィダル・デイヴィスのプロデュースによるロマンティックなバラード。愛する人といられるというあふれんばかりの幸せをスムース&ラヴリーに歌う、エイメリーの魅力が満載のメロウ・チューンだ。
11FALLING
期待と不安が入り交じる恋に揺れる女心を、ムーディな雰囲気とファルセットや吐息混じりのヴォーカルで見事に表現したラヴ・バラード。艶やかな楽曲構築は、レディース・チョイス、レッド・スパイダによるもの。
121 THING
アルバム『Touch』の先行シングルとなったリッチ・ハリソン制作によるバウンシーなアップに、フィメールMCのイヴをフィーチャーしたヴァージョン。原曲も跳ねるビートが特徴のサウンドだが、イヴのストロングなラップが加わることでいっそうストリート色を増している。
13WHY DON'T WE FALL IN LOVE
前作『オール・アイ・ハヴ』収録曲のリミックス。フィリー・ソウルの名曲、エボニーズ「ユーア・ザ・リーズン・ホワイ」を敷いたリッチ・ハリソン制作曲で、アーバン・メロウの体裁ながら、ドラマティックなアレンジとファルセットが高揚感をもたらしている。
14I'M COMING OUT
アルバム『Touch』日本盤のボーナス・トラック。先導するギター・カッティングに照りのあるホーンが添えられたファンキーなミッドで、“新しい私の登場よ”と歌う。映画『メイド・イン・マンハッタン』主題歌となったダイアナ・ロスのカヴァー。