ミニ・レビュー
随所に新しい要素も取り入れている。が、やはりこのメロディとサウンドはどこから聴いても彼らのものだ。5枚目ということで、普通なら違う路線に踏み出してもおかしくないが、今回も良い意味での金太郎飴。確かに変わる必要がないほどの高品質サウンドである。
ガイドコメント
GOING UNDER GROUNDの『h.o.p.s.』に続くアルバム。ヒット・シングル「STAND BY ME」ほか、全14曲を収録。隙あらば涙腺を刺激してくる、これぞゴーイングな胸キュン・ナンバーが詰まっている。
収録曲
01Primary Music
ドラムス河野丈洋が作曲・全演奏を担当した、美しく幻想的なインストゥルメンタル曲。久石譲にも通ずるような旋律に、リズミカルかつ迫力あるドラム・サウンドが融合している。まさに「Primary」な一曲。
02パスポート
ギターの柔らかいアルペジオで幕を開けるこの曲は、春にピッタリの切ない系ポップ・ソング。咲いたり散ったりする桜の花を軸に、出会いや別れや旅立ちを歌う詞には、春の楽しさと切なさがいっぱいに詰まっている。
03STAND BY ME
女子フットサルに密着したPVも話題になった14thシングル。疾走感あふれる演奏の中に、ゴーイング独特の切ないメロディが混ざっている。身体が熱くなる後半の盛り上がりは必聴。「三ツ矢サイダー」のTV-CM曲。
04キャンディ
眠る前のゆったり感を持った曲調と、キュート! といってしまいたくなるような甘い鍵盤音がみごとに融合している。タイトルから歌詞まで何から何までかわいいこの曲は、ドラムス・河野丈洋の手によるもの。
05口笛どろぼう
明るくポップな雰囲気ながらも、どこか切ない色合いを持つミディアム・ナンバー。タイトルや歌詞から、童話の中にいるような感覚を与えられる。要所に現われる鉄琴の音が、「ひと夏の夢」のように響いている。
06シグナル
シリアスで物悲しいメロディ・ラインに、ヴォーカル・松本素生のくぐもった声が響き、暗い水の底で聴いているような感覚に陥る一曲。「心の痛み」を独特に表現している歌詞は、自虐的といっても過言ではない。
07南十字
ドラムス河野丈洋が作詞・作曲の、ゆったりと優しいグッド・メロディが響く一曲。美しく穏やかなストリングスやピアノが楽曲に彩りを添えている。どこかファンタジックな歌詞は、タイトル「南十字」にぴったり。
08愛をちょうだいな
アグレッシヴなギター・リフで幕を開ける、かっこいいながらもポップで耳なじみの良い一曲。「愛をちょうだいな」なんて挑発的な歌詞も曲にマッチしている。パーカッションによる独特のリズムにも注目。
09ノラ
ゲーム感覚のような音遊びが楽しいポップ・チューン。左右のチャンネルを往復するギター音や、時折混ざるスクラッチ音が面白い。SOIL&“PIMP”SESSIONSのタブゾンビのトランペットも少し聴ける。
10Happy Birthday
まさにゴーイング節炸裂な、爽やかで明るい疾走感にあふれた16thシングル曲。心の中で思っていても普段口に出せない言葉を歌詞に載せ、愛に溢れた仕上がり。恋人同士にぴったりのバースデイ・ソング。
11グッバイベイビー
彼らにしか出せない、切なさと疾走感を併せ持ったポップ・ナンバー。「普通という名の日常」に色鮮やかな過去を奪われやすい。そんななか彼らが歌うのは「また会うためのサヨナラ」。大切なことを思い出させる名曲。
12orion
静けさを大事にしているような、シンプルな演奏がきれいなスロー・ナンバー。美しいコーラス・ワークにも注目だ。アコースティック・ギターをバックに、松本素生が力強く歌う締めくくりは、静かな凄みを持っている。
13きらり
意外にもシングルとしては初のスロー・チューン。シンプルながらも、必要は音は余すところなく詰め込んでいる演奏と、根底に存在する美しく切ないメロディは、彼らの楽曲の中でも最高峰の出来栄え。
14いつまでたっても
ポップな旋律のシンセ音のイントロに懐かしさを覚える一曲。全体的にピコピコと弾むような印象を受けるが、彼ら独特の胸キュン・メロディも健在。楽しいのに切ない、という不思議な感覚に陥るはず。
仕様
CDエクストラ内容:STAND BY ME〜きらり〜Happy Birthday (ビデオ・クリップ)