ガイドコメント
リアーナの7thフル・アルバム。先行配信リリースされたスターゲイトによるプロデュース曲「ダイヤモンズ」ほか収録。世界でもっともSNS上で愛されているディーヴァと評されている彼女の、新たなムーヴメントを巻き起こすエネルギッシュな作品だ。
収録曲
[Disc 1]
01PHRESH OUT THE RUNWAY
デヴィッド・ゲッタとザ・ドリームのプロデュースによるエレクトロ・ヒップホップ風。強烈なエレクトロに攻撃的なビートを這わせたトラックは、リアーナの狡猾なフロウも含めて刺激的。“悪びれない”をアルバム『アンアポロジェティック』の冒頭から体現している。
02DIAMONDS
アルバム『アンアポロジェティック』からの1stシングル。艶やかさを帯びたドラマティックなR&Bで、リアーナの表情豊かなヴォーカルも映える出来だ。スターゲイトとベニー・ブランコというヒットメイカーがプロデュースを担当。
03NUMB
カニエ・ウェスト「キャント・テル・ミー・ナッシン」を使い、淀みと気だるさを演出した冷温なヒップホップ。不協和音なシンセ、低速&低温のスクリュー・ヴォイスも組み込み、不穏な空気を醸し出す。エミネムのフロウも仕込みありで、実験&挑戦的な姿勢がうかがえる。
04POUR IT UP
絶えず流れ出るという意味も持つ“pour”に合わせたように、感情を抑えた無機質に吐き出すリアーナの冷温ヴォーカルが印象的。ダークでどんよりした重厚なサイバー・ヒップホップは、マイク・ウィル・メイド・イットのプロデュース。
05LOVEEEEEEE SONG
フューチャーが客演&プロデュースをこなしたミディアム・エレクトロ。倦怠と妖艶を行き来する退廃美とでも呼べるトラックが魅力で、ジワジワと浸食するようなムードが全体を支配。嗚咽にも思えるフューチャーの補正済みフロウも印象に残る。
06JUMP
ジニュワイン「ポニー」を元ネタにした、スターゲイトとチェイス&ステイタス制作のダブステップ風。周囲をうかがうような緊張感から電撃的なシンセが全開するエレクトロへと展開。ヒネリの効いた刺激的なフロア・キラー・チューンだ。
07RIGHT NOW
一聴してデヴィッド・ゲッタ印と即断可能な、スターゲイトも加わってのアッパー・エレクトロ。王道といえるダンサブルなポップで、フロアでの需要も高そうだ。メロディが明瞭ゆえ、リアーナのヴォーカルもイキイキとしている。
08WHAT NOW
鍵盤のループをバックにダイナミックなヴォーカル・ワークを披露する、リアーナの情感が前面に出たドラマティックなバラード。ロック寄りの重厚なサウンドと変化したフックでは、リアーナもむき出しの歌唱で呼応している。
09STAY
制作にも携わったミッキー・エッコー客演による、ゆったりとしたR&B色が強いポップ・バラード。ピアノを全編に配した弾き語り風で、穏やかでどこか懐かしさも。アリシア・キーズっぽさも垣間見えるアルバム『アンアポロジェティック』からの2ndシングル。
10NOBODY'S BUSINESS
恋仲で沙汰もあったクリス・ブラウンを迎えての、甘酸っぱさも添えたR&Bマナーのファンキー・ポップ。マイケル・ジャクソン「ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール」の引用に応えるように、“ポストMJ”と呼ばれたクリスがMJ風の歌唱を披露。制作はドリーム。
11LOVE WITHOUT TRAGEDY/MOTHER MARY
ドリームとカルロス・マッキニーの共作による二部構成の曲。憂愁を感じさせる“悲劇のない愛”をリアーナが歌うとはなんとも意味深だが、慈愛が伝わる後半へ導かれると、重荷がとれた晴れやかな歌唱に。物語性を活かした作風だ。
12GET IT OVER WITH
純度の高い透明感を持った幻想的な空間を想起させるサウンドをバックに、リアーナの表情豊かなヴォーカルがまぶしい輝きを散りばめていく。ブライアン・ケネディのプロデュースによる、夢見心地を誘うメロディアスなナンバーだ。
13NO LOVE ALLOWED
ノー・ID制作による、カラッとした肌質のレゲエ調トラック。リアーナのルーツとなるカリビアンな作風とあって、ヴォーカルとの相性もバッチリ。避暑地のバカンスを思わせるレイドバック感が、心地よい雰囲気を醸し出している。
14LOST IN PARADISE
軸はスターゲイトらしいエレクトロ・ダンサーだが、UKラッパーのラブリンスとの共同制作ということで、色彩豊かな攻めたトラックとなった。どことなくホロ苦い憂愁を帯びた曲風がUKっぽく、そこへリアーナの彫りの深い歌唱がよく映える。
15HALF OF ME
くっきりとした陰影を映し出す、エミリー・サンデーがソングライトしたメロディが美しいデジタルなバラード。スターゲイトのエレクトロ加工も、メロディを活かすことを優先する好アシストに。リアーナの歌唱もしっとりと艶やか。
16DIAMONDS
スターゲイトとベニー・ブランコが制作したアルバム『アンアポロジェティック』からの先行シングルを、デイヴ・オーデがリミックス。シンセをプラスし、奥行きとメロディの良さを強調。デジタル加工も嫌味なく、リアーナの歌唱が生きたものとなっている。
17DIAMONDS
グレゴア・サルトが、アルバム『アンアポロジェティック』からの先行シングルをリミックス。ノスタルジックなムードが全体を覆うが、配色はそれほど暗くない。ヴォーカルとバック・トラックをくっきりとした濃淡で描いている。どこか東欧・ロシア的な感じも。
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