[Disc 1]
01BLACK SABBATH
降りそそぐ雨、雷鳴、教会の鐘の音……。そこへ切り込んでくる、不気味でヘヴィな異形のリフと呪文のようなヴォーカル。たった3音で悪魔的音世界を見事に表現した暗黒の名曲。後半の狂気じみたグルーヴも並外れている。
02THE WIZARD
マウス・ハープの素朴な音色から幕を開ける、キャッチーなグルーヴを持ったヘヴィ・チューン。隙間を活かしたリズム・ワークと、どこか朴訥としたヴォーカルが醸し出す田舎じみた風情の中の怪奇が、なんともクセになる。
03N.I.B.
即興的なベース・ソロに導かれて幕を開ける、印象的なヘヴィ・リフを持った人気ナンバー。初期ブラック・サバスが得意としている、ヘヴィでグルーヴィだがどこかキャッチーなノリがなんとも言えず心地良い。
04EVIL WOMAN DON'T PLAY YOUR GAMES WITH ME
ブラック・サバスのデビュー・シングルとして知られるが、バンドのオリジナル曲ではない。シンプルなブルース・ナンバーながら、いかにもサバス的なヘヴィ・グルーヴが全編にわたっているのは言わずもがなだ。
05WICKED WORLD
ジャム・セッションの中から生まれてきたようなナンバー。5分に満たないランニング・タイムの中へ詰め込まれた変幻自在のリフ展開と、暗黒のブルース・アンサンブル、さらには即興性も大いに楽しめる。
06WAR PIGS
引き摺るようなヘヴィさで幕を開け、ブルージィなリフ展開でグイグイと引っ張っていくブラック・サバスの初期代表曲。トニー・アイオミによるアドリブ満載のギター・ソロも、たっぷりフィーチャーされている。
07PARANOID
ブラック・サバスといえばこの曲……という、代表曲中の代表曲にして大人気チューン。シンプルなリフの繰り返しによるキャッチーで覚え易い曲調が魅力で、ソロとなったオジー・オズボーンのライヴでも定番となっている。
08IRON MAN
ヘヴィでグルーヴィで、同時にキャッチーでもある、初期ブラック・サバスを代表するナンバー。印象的なギター・リフと、それをなぞるようなヴォーカル・メロディが特徴的で、意外に起伏の大きな楽曲展開も聴きどころだ。
09PLANET CARAVAN
初期ブラック・サバスのサイケデリックな側面を象徴するナンバー。ダウナーな曲調と呪術的なパーカッション、暗黒に浮かび上がっては沈んでいく囁くようなヴォーカルは、異空間をさまよっているような酩酊感を誘う。
10HAND OF DOOM
暗く重たい不吉なリフと読経のようなヴォーカルが、聴く者をダウナーな気分にさせるヘヴィ・チューン。ただし、中間部にはグルーヴィな歌い上げパートが用意されており、そんな強引な展開が実にブラック・サバスらしい。
11SWEET LEAF
曲名の“リーフ(葉っぱ)”とはマリファナのことだが、その吸引による咳き込みをイントロに、ひたすらシンプルなリフの反復で押しまくるヘヴィ&グルーヴィなナンバー。強引な展開でインスト・パートを挟み込むワザも見事だ。
12AFTER FOREVER
ヘヴィ・リフと豪快なグルーヴをアッパーにまとめた、ノリの良いナンバー。メロディアスだがややヤケクソ気味なオジー・オズボーンのヴォーカルが、どこかやる気なさ気なところも含め、なんともいい味を出している。
13CHILDREN OF THE GRAVE
ヘヴィ・リフをザクザクと刻み、地を這うようなグルーヴで押しまくりながらも、妙にキャッチーな歌メロを持ったナンバー。ブラック・サバスのライヴでは重要な位置でプレイされることが多い、初期の代表曲のひとつだ。
[Disc 2]
01INTO THE VOID
重厚なリフで幕を開け、その後も様々なヘヴィ・リフを絶妙につないでいくことで、グルーヴィで不気味な暗黒世界を描き出すドゥーム・メタルの名曲。中間部の弾けるようなジャジィな展開も、いいアクセントになっている。
02LORD OF THIS WORLD
引き摺るようなリフ・ワーク、重々しいグルーヴとタイトなドラミング、読経のように歌い上げるヴォーカル……と、初期ブラック・サバスの魅力をすべて兼ね備えたヘヴィ・チューン。よじれたキャッチーさも魅力だ。
03ORCHID
トニー・アイオミのアコースティカルな一面を窺い知ることができる、約1分半のインストゥルメンタル曲。曲名は“蘭”を意味するが、アコースティック・ギター1本で見事にその可憐さが表現されているといえよう。
04SUPER NAUT
グルーヴィだがキャッチーなリフを持つノリの良いナンバー。ヘヴィなうねりがサイケデリックな感覚を誘発するも、歌メロは飽くまでおおらかな印象。中間部に挿入されたパーカッシヴなパートもいいアクセントになっている。
05TOMORROW'S DREAM
ヘヴィなリフと図太いグルーヴがグイグイと楽曲を引っぱる、ブラック・サバスならではのハード・ロック・チューン。粘っこく歌い上げるオジー・オズボーンの呪文のようなヴォーカルは、意外にもキャッチーな印象を受けるから不思議だ。
06WHEELS OF CONFUSION
うねるギターからスタートする8分超の大作。まるで精神世界を旅するかのようにゆったりと展開していき、ラスト3分を切ったところで幻想的かつスペイシーなパートへ移り、ギター・ソロ乱舞で幕を閉じる。
07CHANGES
オジー・オズボーンが切々と歌い上げるピアノ・バラード。バックに配されているのが叙情味あふれるストリングスのみという、ブラック・サバスにしては異色なナンバーだが、のちにリメイクされる名曲の……これがオリジナル・ヴァージョンだ。
08SNOWBLIND
初期ブラック・サバスならではの特異なグルーヴを有するヘヴィ・ロック・ナンバー。引きずるようなギター・リフとタイトなリズムのミス・マッチ感が絶妙で、後半にはファンキーな展開も用意されている。
09LAGUNA SUNRISE
アコースティック・ギターとストリングスだけで構成された間奏曲的なインストゥルメンタル・チューン。シンプルなフレーズの繰り返しのみで構成されているが、牧歌的なムードも感じさせる。フォーキーな叙情性を楽しみたい。
10CORNUCOPIA
11SABBATH BLOODY SABBATH
必殺リフが炸裂する、オジー・オズボーン期のブラック・サバスを代表する名曲のひとつ。ヘヴィなグルーヴと呪術的なヴォーカルで押すメイン・パートから一転、アコースティックなブリッジ、そして、後半のドラマティックな展開が絶妙だ。
12KILLING YOURSELF TO LIVE
軽快なリフ・ワークと図太いグルーヴが見事に同居したメロディアスなナンバー。トレモロ・サウンドを効かせたギター・ワークがサイケな昂揚感をかき立て、オジー・オズボーンのヴォーカルもヤケにテンションが高い。
13HOLE IN THE SKY
ヘヴィ・リフでゆっくりスタートする重厚なナンバー。ラフなグルーヴとわめきちらすようなオジー・オズボーンのヴォーカルが生々しいパワーを増幅させる。エンディングがブツ切れなのは、暗い未来への展望を意味するのか。
14AM I GOING INSANE
[Disc 3]
01THE WRIT
02SYMPTOM OF THE UNIVERSE
重く歪んだ荒々しいギター・リフが特徴的なアグレッシヴ・チューン。文字通りメタリックでヘヴィな音像と暴れまくるドラム・パートは、聴く者を狂気へと誘うかのようだ。後半に用意されたアコースティック・パートへの落差も面白い。
03DIRTY WOMAN
ぬめっとしたオジー・オズボーンのヴォーカルが不条理なイマジネーションを掻き立てる、7分超の大作。ゆったりとしたヘヴィなリフの反復から展開部へと至る、また終盤で魅せるギター・ソロが印象に残る。
04BACK STREET KIDS
アグレッシヴかつハード・ドライヴィングなギター・リフで押しまくるヘヴィ・チューン。グルーヴィにうねるベース、シンセサイザーが炸裂する展開部、ドラマティックに切り込んでくるギター・ソロも絶妙だ。
05ROCK'N'ROLL DOCTOR
1970年代のブラック・サバスにはちょっと珍しい、タイトル通りのシンプルなロックンロール・ナンバー。ホンキー・トンク調のピアノまでフィーチャーしているが、オジー・オズボーンの粘っこいヴォーカルは相変わらずだ。
06SHE'S GONE
愛する女性を失った哀しみを歌う、文字通り“泣き”のバラード。爪弾かれる生ギターへ重なる美しいストリングスなど、なんともメランコリックでドラマティック。そのサウンドに映えるヴォーカルは、本当に泣いているように響いてくる。
07HARD ROAD
まったりとしたシャッフルのリズムで進行するブギー・ナンバー。ほのぼのとしたキャッチーなノリと人生賛歌のような歌詞は、初期ブラック・サバスの楽曲の中ではかなり異色といえる。
08NEVER SAY DIE
キャッチーではつらつとしたノリを持つロックンロール・チューンは、ライヴで何度もプレイされるほど、ファンにも人気。オジー・オズボーンのヴォーカルも普段より力強さを感じさせる。初期ブラック・サバスの楽曲の中ではポップな部類に入る曲。
09NEON KNIGHTS
ロニー・ジェイムス・ディオを加えて生まれ変わった、第2期ブラック・サバスを代表する名曲中の名曲。ファンタジックな歌詞世界を描き出すヘヴィ・サウンドは、いわゆる“様式美”に彩られ、アップ・テンポで駆け抜けていく。
10HEAVEN AND HELL
ロニー・ジェイムス・ディオ在籍時のブラック・サバスを象徴する代表曲。ヘヴィでドラマティックなリフ・ワーク、グルーヴィなリズム、聴く者を異空間へと誘うヴォーカル、そして、後半に用意された劇的な展開が、壮大なファンタジー絵巻を描きあげている。
11DIE YOUNG
シンセサイザーによる導入部に、この後の展開を期待させる泣きのギターが入り、さらに、力強くリズムが疾走するヴォーカル・パートへと展開していく。そんなドラマティックこの上ない楽曲構成は、様式美メタルの真髄といえよう。
12LONELY IS THE WORD
シンプルなリフで幕を開け、ロニー・ジェイムス・ディオの説得力抜群の歌唱がドラマ性を高め、中盤以降、トニー・アイオミの緩急自在のギター・ソロが炸裂しまくるヘヴィ・チューン。泣きのメロディを奏でながらエンディングへと向かう構成も劇的だ。
[Disc 4]
01TURN UP THE NIGHT
重量感たっぷりなギター・リフが唸りを上げて疾駆するヘヴィ・チューン。骨太のグルーヴと存在感たっぷりなロニー・ジェイムス・ディオのヴォーカルの相性も抜群で、ヘヴィ・メタルのダイナミズムをストレートに伝える名曲だ。
02THE SIGN OF THE SOUTHERN CROSS
アコースティック・ギターを使った静かなイントロダクションで幕を開ける大作。すぐにヘヴィでダークな展開を見せるが、その重量感と神秘的なムードはいかにもブラック・サバス。“様式美メタル”を語るに十分なドラマ性に満ちている。
03FALLING OFF THE EDGE OF THE WORLD
ドリーミーな導入部から徐々に盛り上がりを見せ、ウルトラ・ヘヴィなパートを経てアグレッシヴに展開する、実にドラマティカルなナンバー。鬼気迫るロニー・ジェイムス・ディオの歌唱が素晴らしい。
04THE MOB RULES
ロニー・ジェイムス・ディオ在籍期のブラック・サバスを代表するナンバー。メタリックなエッジの立ったギター・リフが印象的で、力強いヴォーカルもライヴならでは。重厚で洗練されたスタジオ版のサウンドとはひと味違う、ダイナミックなグルーヴを感じさせる。
05VOODOO
切れ味鋭いヘヴィ・リフを持ったメロディックなメタル・チューン。スタジオ・ヴァージョンよりも若干アップ・テンポ気味にプレイされている。中間部の即興ヴォーカル・パートも聴きものだ。
06DIGITAL BITCH
ディープ・パープルで知られるイアン・ギランをフロントに起用していたサバス混迷期のナンバー。とはいえ、ハードにドライヴするアグレッシヴなギター・リフとギランのシャウト唱法の相性は決して悪くはない。
07TRASHED
イアン・ギランをシンガーに起用していた時期の代表的なナンバー。ダイナミックな曲調に乗ったギランのシャウトが実に豪快で、不穏なムードを放つメロディとおおらかに歌い上げられるコーラス・パートの同居も面白い。
08HOT LINE
メタリックだがシンプルなギター・リフで淡々と進行していくナンバー。ただし、イアン・ギランのヴォーカルは終始ハイテンションで、エンディングへ向かうパートでの強烈なスクリーミングの嵐は耳をつんざくばかりだ。
09IN FOR THE KILL
シンガーにグレン・ヒューズを迎え、元々はギタリスト、トニー・アイオミのソロ作としてレコーディングされたアルバム『セブンス・スター』のオープニング・トラック。ハード・ロックの王道をいくアップ・テンポの佳曲で、ヒューズの歌唱も力強い。
10SEVENTH STAR
グレン・ヒューズをシンガーに起用した、どこか神秘的なヘヴィ・チューン。シンプルなギター・リフの反復がエキゾティックなムードを放ち、中間部のアラビックなギター・パートもいいアクセントになっている。
11HEART LIKE A WHEEL
まったりとしたヘヴィなブルース・チューン。アドリブで弾きまくるトニー・アイオミのギター・サウンドはエッジが利いているが、曲調自体はややレイドバックしている。ソウルフルに歌い上げるグレン・ヒューズのヴォーカルが素晴らしい。
12THE SHINING
ファンタジックでミステリアスな曲調を持ったドラマティックなヘヴィ・チューン。トニー・マーティンによってパワフルに歌い上げられるサビ、叙情的なメロディを紡ぎあげるトニー・アイオミのギター・ソロが、さらにドラマ性を盛り立てる。
13ETERNAL IDOL
ダークで重苦しいムードを放つ6分半超の大作ナンバー。荘厳さと畏怖を同時に感じさせる曲調は、まるで宗教画のよう。ひたすらダウナーな演奏が続くなか、トニー・マーティンのエモーショナルに響くヴォーカルが圧倒的な存在感を放っている。