ガイドコメント
結成10周年を迎えた2007年、欧米を含む12ヵ国でライヴを行なったDir en greyの7枚目となるアルバム。1年を超える制作期間を費やした本作は、痛烈な叫びや轟音、自然や風景が浮かぶ壮大なメロディなど、刺激的な音が詰め込まれている。
収録曲
01SA BIR
ノイジーな重低音が響くインストゥルメンタル・ナンバー。弦楽器やパーカッションがエスニックで民族的な印象を持たせるが、その後ろで低い声で囁かれる台詞や高音シャウトがサウンドと相まってなんともいえない不気味さを作り出している。
02VINUSHKA
全体で9分にも及ぶ大作。哀愁あるアコギが印象的なクリーン・ヴォイスによる静かなパートと、グロウル、ガテラル、高音シャウトでまくしたてるファストでハードなパートが交互に展開する目まぐるしい構造。さまざまなテクニックを駆使した京の歌唱は圧倒的。
03RED SOIL
不穏で怪しげな雰囲気が緊張感をあおるヘヴィ・ロック・チューン。疾走感のある激しいサビはガテラル・ヴォイスとツー・バスの連打で迫力満点だ。中盤のホイッスル・ヴォイスによる京の奇声はなんともいえない不気味さで耳に残る。
04慟哭と去りぬ
ボトムの効いたダークなヘヴィ・ロック・ナンバー。デス・ヴォイス、ガテラル、シャウトといった激しい京のヴォーカルはまさに“慟哭”といったところか。哀愁たっぷりのサビでは、憂いを帯びたハイ・トーンで芯の強いクリーン・ヴォイスを披露している。
05蜷局
ジャジィなフレーズのギターが印象的なダークで物憂げなミッド・ロック。クリーン・ヴォイスのみで歌われているが、強弱の変化や抜けのよい高音、民族的な歌唱など、さまざまな表情を見せていて、ラストのサビで見せるオクターブ上のハイ・トーンは鳥肌ものだ。
06GLASS SKIN
2008年9月発表の22枚目となる同名シングルの全英詞版。ピアノから始まるノスタルジックなサウンドにせつないメロディ・ラインが映えるロック・バラード。“Please don't go”と懇願するような歌唱や、哀愁あるギターが胸を締め付ける。
07STUCK MAN
スラップ・ベースとカッティング・ギターが軽快に刻まれるラップ・パートから、シャウトとデス・ヴォイスが効いたアグレッシヴなサビへ展開するミクスチャー・ロック。縦ノリのリズムが体を揺らすワイルドな一曲だ。歌詞も痛々しいほどに暴力的。
08冷血なりせば
出だしのスラッシュ・ビートを皮切りに、畳み掛けるように全パートが攻めてくるスピード感のある一曲。エスニック風の静かなサウンドに一変する中盤が、後半のアグレッシヴなサウンドをさらに攻撃的に感じさせる。ラストのつんざくようなシャウトは圧巻だ。
09我、闇とて…
浮遊感のある哀愁ただようサウンドでしっとりと歌われるミッド・ロック。せつなげなギターの旋律や和の様式美が感じられるメロディ・ラインが沁みる一曲。アルバム『UROBOROS』中で最高音レベルまで伸びる京の声域の広さも聴きどころだ。
10BUGABOO
ダークなサウンドがじわりと響くヘヴィなミッド・スロー。ガテラルをメインにした憂鬱な低音ヴォーカルで、おどろおどろしい仕上がりになっている。攻撃的でずっしりのしかかるような重さがある一曲。
11凱歌、沈黙が眠る頃
メロディアスなイントロから一変、スラッシュ・ビートで疾走するメロへと突入するアグレッシヴなナンバー。メロではガテラルで応酬するが、サビではせつないメロディ・ラインをハイ・トーンで艶やかに歌い上げる。ダウナーなラストがたまらなく不気味。
12DOZING GREEN
2007年10月発表の21枚目となる同名シングルの全英詞版。涼しげで物憂げなミッド・ロックで、哀愁あるドラマティックな展開を見せるサウンドに凛とした強さをたたえたヴォーカルが冴え渡る。悲痛の叫びのようなラストのシャウトが印象的。
13INCONVENIENT IDEAL
ギターのアルペジオから静かに始まるノスタルジックなミッド・ナンバー。ファルセットを使いしっとりと歌うメロから、突き抜けるようなハイ・トーンでを力強い歌唱聴かせるサビへとつながる壮大な仕上がり。憂いのあるサウンドは儚げな印象さえ与える。