ガイドコメント
公私ともになにかと世間を騒がせた彼ら、91年のサードでは世界(2枚)同時発売という快挙を。本作はそのディスク1。ウイングスの「リヴ・アンド・レット・ダイ」カヴァーを収録。
収録曲
01RIGHT NEXT DOOR TO HELL
「地獄のすぐそば」というタイトルそのままに、いきなりおどろおどろしいベース・ラインから始まるイントロが印象的。その後はラストまで激しく一気に畳みかける。燃えさかるような勢いに圧倒されてしまうナンバーだ。
02DUST N'BONES
気だるそうなイジーのヴォーカルがブルージィな曲調とピッタリとマッチしている、ミディアム・テンポの渋いナンバー。バック・ヴォーカルを務めるアクセルも譲ってたまるかとばかりの、十分すぎる存在感を発揮している。
03LIVE AND LET DIE
ポール・マッカートニー&ザ・ウィングスのカヴァー曲。コーラスが美しく響くAメロからの突然とげとげしく迫る展開に表情を変えるなど、彼らの逸脱した編曲センスが光っている。シングル・カットされ、全米33位を記録。
04DON'T CRY
アクセルのささやくような切ない歌声から始まり、オーラスに向けて徐々に重厚かつ感動的な盛り上がりをみせる、珠玉のパワー・バラード。バック・ヴォーカルに、今は亡きブラインド・メロンのシャノン・フーンを迎えている。
05PERFECT CRIME
ありそうでなかなかない、アクセル=スラッシュ=イジーによる共作。飾りのないシンプルな構成のロックンロールでありながら、3人の個性がこれでもかとぶつかり合い、火花が散るほどのエネルギーとスピードで駆け抜けるナンバーだ。
06YOU AIN'T THE FIRST
イジーならではの渋いセンスが光る、カントリー色の濃いアコースティック・ナンバー。ヴォーカルもイジー本人が担当。その場のラフな空気感が伝わり、いつになくゆったりとした心地良い楽曲に仕上がっている。
07BAD OBSESSION
跳ねるカウベルの音が軽快にリズムを刻み、その上でギター、ピアノ、サックス、ハーモニカなどが豪快かつグルーヴィなサウンドを作り上げているナンバー。聴きやすくてノリも良く、ビッグバンド的なロックンロールが展開されている。
08BACK OFF BITCH
気合いの入ったマット・ソーラムのドラムが力強く響く、ストレートかつへヴィなロックンロール・ナンバー。こらえきれない怒りをすべて吐き出したかの様な暴力的な歌詞は、破滅的でありながらもどこか繊細な心情が汲み取れる。
09DOUBLE TALKIN'JIVE
スピード感あふれるリズムを刻むタイトなドラムと、カッティングの気持ちよいギター。勢い良く躍動的に繰り広げられる曲調のなか、ラストにフェイド・インしてくるフラメンコ・テイストのギターが印象的だ。
10NOVEMBER RAIN
全米チャート3位を記録した、ガンズ&ローゼズ史上欠かすことのできない、8分56秒にも及ぶ壮大なロック・バラード。メロディアスな曲調と美しいピアノの旋律、そしてラストのスラッシュによる泣きのギター・ソロには胸を打たれる。
11THE GARDEN
終始ダークで意味深な雰囲気が漂う、狂気じみたハード・ロックナンバー。作曲はウエスト・アーキーンが手がけ、ゲストにはアリス・クーパーを迎えて制作。コアなファンの間では、今でも名曲と謳われている。
12GARDEN OF EDEN
まるで何かに追い詰められているかのごとく、怒涛のテンションで早口にまくし立てるアクセルのヴォーカルと、前のめりに勢い良く突っ走るドラムが印象的。途中で飛び込んでくるダフのセリフ部分もクールでカッコいい。
13DON'T DAMN ME
ヴォーカルと同じメロディをなぞる流れるようなギター・ワークが印象的な、ストレートなロックンロール・ナンバー。8ビートのオーソドックスな曲調でありながら、転調を繰り返す魅力的な構成が聴き手を飽きさせない。
14BAD APPLES
オリジナル・メンバー4人による共作。思わず体を動かして拳を突き上げたくなるような、ノリのいいファンキーなロックンロール・ナンバー。軽やかなピアノの効果も手伝って比較的ポップに仕上がっており、ライヴで盛り上がること必至の1曲だ。
15DEAD HORSE
アコースティック・ソングかと思いきや、雄叫びの降臨とともに突然へヴィなハード・ロックへと様変わりする、意表を突かれるナンバー。ラストにはまた弾き語りに戻り、テープの巻き戻し音で終わるという演出が印象的だ。
16COMA
アクセルとスラッシュの共作による、10分16秒にも及ぶ聴きごたえたっぷりのナンバー。実験的ともいえる複雑な曲構成からは、試行錯誤の跡を感じられる。ところどころに鳴り響く鼓動と心電図の音が、なんとも不気味な雰囲気。