ミニ・レビュー
L'Arc〜en〜CielのHYDE(g,vo)とOblivion DustのK.A.Z(g)によるユニットのファースト・アルバム。シューゲイザーやインダストリアルの香りも漂わせる華麗なロックで、ハード&メロウ&まっすぐ。歌詞は英語(和訳付き)の部分が多いが滑らかだ。
ガイドコメント
L'Arc〜en〜CielのHYDEがヴォーカルを務めるデュオの1stアルバム。日本テレビ系『ぐるぐるナインティナイン』のエンディング曲「LOVE ADDICT」など、独自の美学が内包されたクールなロックで魅了する。
収録曲
01BITE
重々しい扉の開く音が物語の幕開けを感じさせる、アルバム『VAMPS』のオープニング・トラック。狼の遠吠えやコウモリの羽ばたき、女性の叫び声など、まるで外国のホラー映画のワン・シーンを切り取ったような演出が緊張感をかきたてる。
02LOVE ADDICT
日本テレビ系『ぐるぐるナインティナイン』エンディング・テーマとなった、2008年7月発表のデビュー・シングル。アグレッシヴで清々しさのあるストレートなロック・ナンバーで、荒々しくもセクシーなhydeのヴォーカルが冴えている。
03COSMOS
うねるベースがボトムを固めるミッド・ロック・チューン。マイナー調の憂いのあるサウンドが退廃的な雰囲気を作り出していて、“もっと もっと”と叫ぶように懇願するヴォーカルが胸に刺さる。
04SECRET IN MY HEART
禁断の愛に悶えるヴァンパイアを主人公にした、緊張感と疾走感のあるロック・ナンバー。ダークで冷たいサウンドのゴシックな世界観が闇と悲しみを演出している。来世では愛しい人とともに生き、ともに最期を迎えることを願うという嘆きの歌だ。
05EVANESCENT
日本テレビ系ドラマ『ドクター・ハウス シーズン1』のエンディング・テーマとなった3rdシングル。“夏”と“儚さ”をキーワードに昔の恋を綴ったロック・バラードで、泣きのヴォーカルが沁み、感傷的な哀愁が漂っている。
06VAMPIRE DEPRESSION
重厚なサウンドの中でひときわ目立つサイケなシンセが狂気的な世界観を創り出すヘヴィ・ナンバー。自身を“悪魔”と呼ぶ人間たちこそが無差別殺害や終わりなき戦争という愚行を続けていると皮肉った、ヴァンパイアの憂鬱を歌っている。
07REDRUM
グルーヴィでアグレッシヴなサウンドで攻めるヘヴィ・ロック・ナンバー。正義を失い何もかもを見失った無秩序な世界を描いた歌詞やサウンドに促されるように、hydeも叫ぶような荒々しいヴォーカルを披露している。
08DEEP RED
深みにはまっていく快楽への欲求を、セクシーで妖しげなヴォーカルで歌い上げるミッド・ロック・チューン。“抑えらんない欲の奴隷”“本能の感じる方へ動いて”など危険な甘さに満ちていて、グルーヴィでワイルドなサウンドも世界観を見事に演出している。
09I GOTTA KICK START NOW
13日の金曜日に合わせて発表された2009年3月の2ndシングル。パワフルでワイルドなロック・ナンバーで、重さと軽さのメリハリがあるサウンド・メイクとサビで突き抜ける清々しさが心地よい。ドライヴやパーティを盛り上げてくれそう。
10TIME GOES BY
本人出演で話題になったジェムケリー「GEREZZA」CMソング。もうきっと会えないであろう過去の恋人の残像がちらつきながらも、想いを心に秘めてまっすぐ前を向いて駆けていく決意を歌う。疾走感のあるサウンドが余計に胸を締め付ける。
11SWEET DREAMS
ピアノ主体の優雅でドラマティックなサウンドと甘くて耽美的なhydeのヴォーカルが、極上の眠りへと誘ってくれそうなバラード。遠く離れた恋人へ捧げるラヴ・ソングで、語りかけるような歌唱には愛おしさが満ちている。
12HUNTING
タイトルが表わすとおり、アグレッシヴで攻撃的なアッパー・チューン。2分にも満たないトラックだが、荒々しいサウンドとヴォーカルは十分に闘争本能を刺激してくれる。“HI HO!”の掛け声には思わず拳を上げてしまいそうだ。
13SEX BLOOD ROCK N'ROLL
サウンドとヴォーカルともにエネルギッシュでワイルドな、疾走感あふれるロック・ナンバー。“来いよ、俺たちの準備は出来てる”とストレートに挑発してくる、アグレッシヴな戦闘モード全開の一曲だ。