ガイドコメント
デビュー25周年記念となるスーパー・ベスト。好評の『VOCALIST』シリーズから選んだ楽曲と新録カヴァーからなる『VOCALIST BEST』、「レイニーブルー」ほか名曲ぞろいの『BALLADE BEST』という、彼の魅力満載の究極盤だ。
収録曲
[Disc 1]〈VOCALIST BEST〉
01時代
中島みゆきが1975年に発表した、日本を代表する名曲のカヴァー。ピアノを基調とした落ち着いたサウンドに弦一徹率いるストリングスやギターが絡み合い、徳永の声を引き立てている。曲全体をとおして大きなクレッシェンドを描くようなアレンジも見事。
02雪の華
2003年に発表された中島美嘉の楽曲のカヴァー。冬にピッタリの切なさをはらんだ美しいメロディを、ファルセットを巧みに交えて歌い上げている。はらはらと舞う“雪の華”をそのまま音にしたようなピアノが胸を打つ。
03恋におちて-Fall in Love-
“もしも願いが叶うなら〜”という歌い出しが印象的な、1985年の小林明子のデビュー・シングルのカヴァー。あなたに会えない夜を憂う女性目線の歌詞ながら、違和感を感じさせない徳永のやわらかなヴォーカルが秀逸。
04時の流れに身をまかせ
テレサ・テンが1986年に発表し、第19回日本有線大賞を獲得した名バラードのカヴァー。ストリングスやウィンドチャイムを配したきらびやかなアレンジにのせ、あなたにのそばにいられるならば人生を捨てることもかまわないと歌う、究極のラヴ・ソングだ。
05卒業写真
数多くある荒井(松任谷)由実の作品のなかでも、代表的なヒット曲のひとつといえる定番卒業ソングのカヴァー。すでに完成された感のある原曲の世界観を壊すことなく、ひとことずつ大事に噛み締めるように歌い上げる。
06PRIDE
布袋寅泰が詞曲を手がけた、1996年発表の今井美樹の代表曲をカヴァー。シンプルなビートと最低限の音数で、徳永のアダルトな魅力を引き出している。さりげなくはさみこむ原曲とは異なる独特なコード感もオシャレ。
07元気を出して
1988年発表の竹内まりや(本来は薬師丸ひろ子への提供曲)のヒット曲のカヴァー。終わってしまった恋に傷付き悲しむあなたへ向けて、人生はそれほど悪いものじゃないから元気を出してとやさしく包み込むように歌いかける。
08セーラー服と機関銃
同名映画の主題歌としてヒットを記録した、1981年発表の薬師丸ひろ子のデビュー・シングルのカヴァー。アコースティック・ギターのアルペジオを中心としたサウンドをバックに熱っぽく歌い上げる。ビートを一瞬だけ変える遊びに満ちたアレンジがクール。
09LOVE LOVE LOVE
TBS系ドラマ『愛していると言ってくれ』主題歌として大ヒットを記録したDREAMS COME TRUEの18thシングルのカヴァー。コーラスなどを配したドラマティックな原曲とは対照的な、ギター1本によるシンプルなサウンドが心地よい。
10なごり雪
伊勢正三が詞曲を手がけた(原曲はかぐや姫の作品)、イルカの日本を代表する名曲のカヴァー。サビやブリッジのコード進行を微妙に変えており、アレンジも随所にフックを効かせたよりドラマティックなものに。切ない二人の別れの情景が強く心に残る。
11CAN YOU CELEBRATE?
フジテレビ系ドラマ『バージンロード』の主題歌として1997年最大のヒットを記録した、結婚式の定番曲としても有名な安室奈美恵の代表曲のカヴァー。大仰なアレンジは施さずに、ストリングスやコーラスを効果的に配したサウンドがあたたかな感動を呼ぶ。
12赤いスイートピー
呉田軽穂こと松任谷由実が曲、松本隆が詞を手がけた松田聖子の代表曲のカヴァー。甘酸っぱい恋愛模様を綴った純真無垢な少女のイメージを強く想起させる楽曲だが、徳永の独特な歌声と抑揚をしっかりとつけたヴォーカルで新たな魅力を引き出している。
13ハナミズキ
一青窈が2004年に発表し、2010年にはこの曲をモチーフにした映画も生まれた名曲のカヴァー。ピアノとヴォーカルのみで進行する前半からラストの大サビでストリングスが彩りを添えるアレンジは、シンプルながらも効果抜群だ。
14いい日旅立ち
谷村新司作詞曲による山口百恵の代表曲で、そのタイトルから国鉄のキャンペーン・ソングとしても使用された楽曲のカヴァー。憂いをはらんだ徳永の歌声にぴったりのメロディ・ラインにのせて、郷愁を感じさせる詞を歌い上げる。
15やさしさで溢れるように
2009年に発表されたJUJUの9thシングルのカヴァー。亀田誠治のプロデュースでロックの色の強いアレンジだった原曲と比べ、ピアノを中心としたあたたかいサウンドに。心に響くメロディ・ラインの美しさを素直に堪能できる。
16世界中の誰よりきっと
フジテレビ系ドラマ『誰かが彼女を愛してる』主題歌として、中山美穂とWANDSのコラボレーションで1992年に発表された大ヒット・ナンバーのカヴァー。分厚いコーラスとゆったりとしたビートでドラマティックに仕上げた逸品だ。
[Disc 2]〈BALLADE BEST〉
01レイニー ブルー
1986年発表のデビュー・シングルにして、徳永英明の代表曲のひとつといえる名バラード。熱量のあるヴォーカルを一気に爆発させるラストのサビは鳥肌モノだ。武部聡志編曲による落ち着いたサウンドが心地よい25th Anniversary Track。
02輝きながら…
1987年発表のアルバム『BIRDS』収録曲で、後にシングル・カットされたドラマティックなバラード。坂本昌之編曲の25th Anniversary Trackでは美しいストリングスが絡み、徳永のヴォーカルがより映えるアレンジとなっている。
03黄昏を止めて
自身も出演したトヨタ自動車「アイシス」CM曲として起用された2011年発表のシングル。うまくいかない愛を綴ったラヴ・バラードで、痛みではなく優しさを分かち合おうよと訴えかける。抑揚を効かせた徳永ならではのヴォーカルも秀逸。
04最後の言い訳
麻生圭子が詞を手がけた6枚目のシングル。いままさに終わった恋を描いた歌詞で、“いちばん大事なものが いちばん遠くへいく”悲しみをエモーショナルな歌唱で表現する。シンプルなサウンドで、ヴォーカルが際立つアレンジとなっている。
05君をつれて
病気療養からの復帰作となった2003年発表のシングル。たったひとりを守れる強さを胸に、“愛が指差す場所”へ行こうと歌い上げる。ファズの効いたギターを効果的に配し、ロック・テイストも加えたミディアム・スロー・バラードだ。
06僕のそばに
自らが作詞曲をつとめた1993年発表の18枚目のシングル。抱き寄せるくらいしかできないけれど、もしも寂しいときは僕のそばにおいでと素直な心情を綴る。色褪せない普遍的なメロディが魅力だ。シンセサイザーを用いたブリッジも新鮮。
07LOVE IS ALL
月桂冠のCM曲として使用された1991年発表のシングル。ミディアム・テンポのバラードで、イントロのコーラスやオルガンを配したサウンドがどこか賛美歌のような印象を与える。ストーリー性のある凝ったアレンジが秀逸だ。
08抱きしめてあげる
TBS系ドラマ『スイート10〜最後の恋人〜』主題歌の41枚目のシングル。“心の真ん中”が痛むほどに愛しいあなたを二度と離さぬよう、強く抱きしめてあげると歌う真っ直ぐなラヴ・ソング。落ち着きすぎないほど良いテンポ感が好印象。
09青い契り
1999年発表の26枚目のシングル。無機質なピアノのバッキングとシンセサイザーのフレーズが不穏な雰囲気を醸し出すミッド。決して戻ることのできない過去を振り返りながら、君への想いをむせびなくようなヴォーカルで描き出す。
10太陽がいっぱい
10thアルバム『bless』収録のミディアム・バラード。ほかの誰でもなく愛しいあなたの太陽になりたいという一見使い古された言い回しながら、徳永の甘いヴォーカルで歌われると説得力は抜群。唐突にブルージィな表情を見せるブリッジもユニーク。
11君の青
五月の青い空に心の色を重ねたミディアム・バラード。ほぼキーボードと歌のみで進行する前半からさまざまな楽器が重なり、ラストはゴージャスなコーラスを交え“La la……”の大合唱。ドラマティックな展開に心を揺さぶられる。
12永遠の果てに
1994年発表の19thシングルのセルフ・カヴァー・ヴァージョン。打ち込み系のサウンドだった原曲とは対照的に、ウッドベースやストリングスを用いた落ち着いたバンド・サウンドに。流れ気味のリズムでもしっかりと聴かせる徳永の技術はさすが。
13春の雪
フジテレビ系の昼ドラ『さくら心中』主題歌の47枚目のシングル。アコースティック・ギターの憂いを帯びたフレーズや徹底して切ないメロディ・ラインなど、徳永流演歌歌謡とでもいえる仕上がり。しかし古臭くはなく、声にもぴったりとハマっている。
14壊れかけのRadio
徳永英明の代名詞といえる、1990年発表の10thシングル。瀬尾一三編曲による25th Anniversary Trackではキーを若干下げており、落ち着きを持たせたヴォーカルで聴ける。胸に直接響くようなメロディは、まさに名曲。