ミニ・レビュー
ジンマン初のワーグナーは、スイスという地と浅からぬ関わりを持つその軌跡に事寄せたウンチクに富む構成。音も分厚い響きと情動で時間が埋め尽くされるおなじみの響きの姿と距離を置き、響きの関係を解きほぐしてワーグナー考案の“うねり”の構造を明快に腑に落とす。音によるドキュメントの趣きだ。
ガイドコメント
ジンマンとチューリヒ・トーンハレo.が初めて挑んだワーグナー・アルバム。さまざまな時代様式に即応するトーンハレo.の圧倒的な演奏力やバス・バリトン歌手、シリンスとの共演など聴きどころたっぷりの内容だ。
収録曲
ワーグナー:
01歌劇「さまよえるオランダ人」〜序曲
02歌劇「さまよえるオランダ人」〜レチタティーヴォとアリア「期は満ちた」
03楽劇「ラインの黄金」〜夕日があたりを照らし出す (神々のヴァルハラへの入城)
04楽劇「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行
05楽劇「神々の黄昏」〜夜明けとジークフリートのラインへの旅
06楽劇「ワルキューレ」〜別れの時がきた、お前は本当に立派な子だ (魔の炎の音楽)
演奏
デイヴィッド・ジンマン指揮 チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 (2)(3)(6)エギルス・シリンス(BR)