ミニ・レビュー
サーフィンをテーマにした、ユーミンのニュー・アルバム。サウンド的には特に新しいことをやっているわけではなく、彼女の王道とも言えそうな音世界が展開されており、風格にあふれている。懐かしい「時をかける少女」の新ヴァージョン(8)も収録。
収録曲
01セイレーン
アルバムのオープニングに相応しい爽快なポップ・ナンバー。サーフィンをモチーフに青春の熱い記憶を振り返る歌。スピード感あふれるブラシ・ワークが印象的で、『U-miz』収録の「自由への翼」を彷彿とさせる。
02Sunny day Holiday
恋人を愛するゆえにこれまでの自分を振り返る反省の歌。スケール感のあるポップ・ロックで、特にBメロからサビにかけての、キャッチーこの上ない旋律が魅力。結婚を連想させるベル音が幸せな未来を示唆しているかのよう。
03夢の中で〜We are not alone.forever
ミディアム・テンポの優しいポップ・ナンバー。夢の中で会える“あなた”への愛を綴った切ないラブ・ソングで、不思議と聴き手の意識を引き付けるイントロや感情に寄り添うような起伏をみせるメロディなどが聴きどころ。
04きみなき世界
哀愁漂うレゲエ風ナンバー。大切な人を失った虚脱感を綴った歌で、ファルセットによる澄んだヴォーカルがその悲痛さを醸し出す。重厚なイントロや洗練されたメロディ、多彩なコーラス・ワークなど、聴きどころ満載。
05パーティーへ行こう
軽快なシャッフル調ロック・ナンバー。タイトル通り、落ち込んでいる“あなた”にパーティへ行こうと誘う、一種の応援ソング。リズミカルな英語を取り入れたポジティヴな歌詞と肩の力の抜けたヴォーカルが特徴的。
06人生ほど素敵なショーはない
心臓音のSEで始まるグルーヴィなミディアム・ポップス。人生をステージ上のショーに喩え、エネルギッシュに生きようと鼓舞する歌。タイトなカッティング・ギターや終盤のエフェクトを駆使したアレンジなどが特徴的。
07結婚式をブッ飛ばせ
明るいタッチの王道的ハード・ロック・ナンバー。結婚式の誓いの言葉で本心を言い、ついには式場から逃げ出してしまうというユニークな歌。映像が浮かぶ鮮明な歌詞とあくまでハッピーな雰囲気を演出するサウンドが魅力。
08時のカンツォーネ
ヒット曲「時をかける少女」の歌詞にまったく異なるメロディを付けた異色ナンバー。楽曲は16ビートのミディアム・ポップで、こちらも負けず劣らずの好楽曲に仕上がっている。特にノスタルジックなサビが印象的。
09Woman
エスニックな雰囲気のミディアム曲。Aメロ部分ではワールド・ミュージック風のサウンドに乗せて客観的な言葉が歌われ、女性側の視点で綴られるサビ部分はキャッチーなポップという、メリハリのある構成が特徴的。
10Saint of Love
アルバム『スユアの波』のラストを飾る壮大なバラード・ナンバー。愛する人と命懸けの愛を育みたいという最大級のラブ・ソング。重厚なブラスやゴスペル・コーラスが加わるスケールの大きいクライマックスは圧巻。