ミニ・レビュー
ジャケットの女性三人に4人組のバンドからなる英7人組のデビュー作。ヴィンテージ・サウンドを聴かせるポップなオールディーズ風ナンバーに胸がキュン。なんといってもルックスも可愛い女性三人の楽しそうなヴォーカルは好感度大。
ガイドコメント
キュートな女性3人がフロントを飾る7人組バンド、ザ・ピペッツの2007年10月発表のアルバム。1950〜60年代の甘酸っぱくて懐かしい雰囲気に包まれた、胸がキュンとすること間違いなしのキャンディ・ポップが生み出されている。
収録曲
01WE ARE THE PIPETTES
キュートな女性シンガー3人を含む英7人組のデビュー作『ウィ・アー・ザ・ピペッツ』のオープニング・タイトル・ナンバー。彼女たちの名前の紹介から始まるタイトルどおり、バンドのテーマ・ソングともいうべき、若さいっぱいに弾けるポップな演奏だ。
02PULL SHAPES
オールディーズのムードがたっぷりのイントロに楽しそうなコーラスをフィーチャーした曲。胸がキュンとするような60年代風ポップスは、彼女たちの得意とするところ。聴いていてホッとする歌声や演奏だ。
03WHY DID YOU STAY?
ギターなどにみられるヴィンテージ風サウンドがキラキラと輝いているポップス。もちろん女性3人のコーラスも華やかで、踊りながら楽しそうに歌っているステージ上の姿を想像してしまう。ガールズ・ヴォーカルの醍醐味がたっぷりだ。
04DIRTY MIND
ロックっぽさが強調された、パンチの効いたナンバー。ヴォーカルやコーラスの巧みさ、また途中でブレイクがあるなど、曲の構成もやや複雑になっている。本作はすべて彼女たちのオリジナルで、曲作りの才能も感じさせるナンバーだ。
05IT HURTS TO SEE YOU DANCE SO WELL
3人がイントロなしで交互に歌い始める、キュートで甘酸っぱい素敵な曲。彼女たちのヴォーカルが巧みに組み合わされて、ワクワクするような躍動感がとても楽しい。懐かしさと現代感覚が同居しているような感じだ。
06JUDY
ちょっぴり切なさを感じさせるオールディーズ風ナンバー。ソロ・ヴォーカルに残る2人がコーラスを付けているが、3人がさまざまなパターンで歌を披露するのもこのグループの魅力のひとつだ。曲の雰囲気作りもうまい。
07A WINTER'S SKY
ヴィンテージ・マイクから聴こえてくるような温もりのあるヴォーカルが楽しめるミディアム・ナンバー。歌やコーラス、バックの演奏など、聖歌風あるいはクリスマス・ソングにも聴こえる。彼らの演奏は、このような楽曲でも魅力的だ。
08YOUR KISSES ARE WASTED ON ME
ヴォーカルの掛け合いやちょっぴりユーモラスなサウンドなど、ステージで映えそうなエンターテインメント性たっぷりの、元気でポップな曲。彼らのヴァラエティに富んだアイディアには、思わず脱帽してしまう。
09TELL ME WHAT YOU WANT
しっとりとしたオールディーズ風ポップス。ヴォーカル、ストリングス、ドラムスなどを、いかに60年代風のサウンドや音像に似せるかというのを試したような録音だ。とにかく楽しんでもらおうという姿勢には大賛成だ。
10BECAUSE IT'S NOT LOVE (BUT IT'S STILL A FEELING)
TBS系ドラマ『ハタチの恋人』の主題歌に起用された、ベース・ソロに続いてヴォーカルがかぶさってくるナンバー。女性らしい繊細さ優美さがたっぷりで、コーラスも個性的。曲によって意識的にリード・ヴォーカルを替えているのも憎いところだ。
11SEX
タイトルに反して? 美しくてキュートなミディアム・ナンバー。巧みなヴォーカルとコーラスの掛け合いとそれを支えるバックの演奏が一体となって、聴き応えたっぷり。なんともいえずドラマティックでドリーミーな曲だ。
12ONE NIGHT STAND
にぎやかで軽快なポップス。彼女たち3人が会話をしているかのようなヴォーカル、コーラスが絶品だ。こうしたアイディアの豊富さに驚かされるが、とにかく楽しませることに徹底しているのは見事。
13ABC
ウキウキするようなイントロを持った、ちょっぴりユーモラスな曲。特にオールディーズ風というわけではなく、どちらかというと現代的なポップスだが、はつらつとしたヴォーカルが光る。とても心地よい爽やかさだ。
14I LOVE YOU
ドラムスのバタバタしたニュー・ウェイヴ風のイントロが意外。オールディーズ風のサウンドがベースになっていながらも、やや風変わりな印象のある個性的な演奏で、ヴォーカルやコーラスも同様におもしろい。
15DANCE AND BOOGIE
タイトルを意識してかシンセサイザーを使ったダンサブルなナンバー。こうしたタイプの曲でも彼女たちのヴォーカルやコーラスの存在感が際立つからすごい。この曲なら気分良く楽しく踊れそうだ。
16BABY, JUST BE YOURSELF
アルバム『ウィ・アー・ザ・ピペッツ』唯一のバラードとなった本編ラスト曲。タイトルにあるように男性を励ます歌のようで、清らかなヴォーカルに心を打たれる。きっと内面も素敵な女性たちなのだろうと思わせるいい曲だ。
17REALLY THAT BAD
授業から追い出されるダメな男性生徒のことを歌ったオールディーズ風ナンバー。その光景が実際に浮かんでくるようなヴォーカルの表現力やコーラスのションの巧妙さ、サウンド面も含めた演出のうまさが伝わってくる。
18YOUR LOVE FOR ME
『ウィ・アー・ザ・ピペッツ』日本盤のボーナス・トラック。デモ・ヴァージョンとのことだが、これがまた最高のポップ・ソング。キュートなヴォーカルとコーラス、リアルなギターの音色にうっとり。いつまでも聴いていたい気持ちになる。
仕様
エンハンストCD内容:わたしに夢中!〜プル・シェイプス〜恋するピペッツ!