ミニ・レビュー
約19年ぶりとなる冬にリリースのオリジナル・アルバム。ミディアム・ナンバーやバラード・ナンバーを中心に構成したことによって、彼らの歌メロの美しさを再認識できる。とはいえ、バウンス16から、ロッカ・バラード、ラテンまで、サウンドは思いのほか幅広くバラエティ豊か。
ガイドコメント
19年ぶりとなる冬リリースのオリジナル・アルバム。冬仕様に彩られた楽曲はヴァラエティに富んだ仕上がりで、全編一気に聴かせる力を持っている。アダルトな雰囲気も醸し出された、彼らの新たな一面が味わえる一枚だ。
収録曲
01冬のプレゼント
クールなエレピが心地よいバウンス16ビート・ナンバー。ソウルフルなリズムを持ったグルーヴィなサウンドとポップなシンセの音色は、一般のリスナーにもアピール度高し。春畑道哉のAORマナーに則ったギターが素晴らしい。
02ナデシコ
冬の季節感たっぷりのミディアム16ビート・ナンバー。王道ポップスの作りをしていながらも繊細に刻むリズム・セクションに、彼らのサウンド・メイキングへのこだわりを感じる。間奏では春畑道哉がスライドをプレイ。
03クリスマスローズ
アコースティック・ギターでサウンドを引っ張っていくミディアム8ビート・ナンバー。ヴォリューム奏法で季節感を表現する春畑道哉のギター・ワークは、表現力たっぷり。アコースティック・ピアノで手堅いサポートをするのは、DIMENSIONの小野塚晃。
04方舟
アコギとナチュラル・トーンのエレキ・ギターのアンサンブルが光るミディアム8ビート・チューン。愛する人とのポジティヴな未来を描いた詞と切ないメロディが冬にぴったり。収録アルバム『ウィンター・レター』のなかでは数少ない、速弾きギター・ソロにも注目。
05追伸
アコースティック・ギターのアルペジオによるジェントリーなバラード。無駄な音を削ぎ落とした、シンプルでメロディを重視したアレンジが潔い。聴けば希望がわいてくるようなポジティヴなメッセージ・ソングだ。
06愛のセオリー
DIMENSIONの勝田一樹のサックスが全面的にフィーチャーされた、ラテン・スタイルのミディアム8ビート・ナンバー。どことなく80年代のAORの雰囲気が漂うサウンドと、音楽用語が多く登場する歌詞がユニーク。
07君に届いたら...
松本玲二が手掛けた別れを描いた詞が切ない、壮大なバラード・ナンバー。意外性を持ったドラマティックな曲構成、メロディ・ラインを活かすお手本のような洗練されたアレンジ、豪快な歌唱力と彼らの実力が、いかんなく発揮されている。
08星空のラブレター
アルバム『ウィンター・レター』中唯一のロッカ・バラード。3声のバック・コーラス、オルガンのクールな響き、細かく刻むアコースティック・ピアノと、どことなくオールディーズ風でノスタルジックな雰囲気が漂う。
09テ・ガ・ミ
歌謡曲とニューミュージックの雰囲気を持ち合わせた“和製AOR”といったスタイルのナンバー。サンタナのような泣きのギター・メロディやオーケストラ・ヒットにシンセ・ストリングスと、80年代のムードがたっぷり。
10哀愁ドライブ
小野塚晃(DIMENSION)のアコースティック・ピアノのイントロが印象的な、ミディアム8ビート・ナンバー。間奏のサックス・ソロは、勝田一樹(DIMENSION)によるもの。過ぎ去った恋をポップなサウンドに乗せて歌い上げている。
11遠い日の君の姿
エレクトリック・ギターのアルペジオによるジェントリーなラヴ・バラード。特に前半はエレピとギターだけというシンプルに徹したサウンドで、メロディの良さが心に伝わってくるアレンジだ。中盤以降は壮大なアレンジによってドラマティックに展開している。
12償い
アコースティック・ピアノをフィーチャーしたラヴ・バラード。今までの過ちや失った時間を、祈り繋いで償うという気持ちを切々と歌い上げる。アルバム『ウィンター・レター』のエンディングにふさわしい、ジェントリーなナンバー。