ミニ・レビュー
スウェーデン北部出身の三人組による通算3作目となるアルバム。地元では2006年5月にリリースされた本作が日本デビューとなる。“口笛ソング”との呼び名ですでにパワー・プレイ中のシングル曲「ヤング・フォークス」は、イギリスでも35位を記録。
ガイドコメント
スウェーデン北部出身の3人組バンド、ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの3rdアルバム。キャッチーでワイルドなポストパンク・サウンドを聴かせる彼らが新たな方向性を示した、アグレッシヴな作品となっている。
収録曲
01WRITER'S BLOCK
日本デビュー・アルバム『ライターズ・ブロック』のオープニング・ナンバー。環境音をバックに、始まりを予言するかのような意味ありげでムーディな鍵盤が耳を刺激する。彼ららしい手作り感あふれる15秒のインストゥルメンタルだ。
02OBJECTS OF MY AFFECTION
悩みながらも「前向きに行こう」と歌う、爽やかに突き抜けるポップ・ナンバー。誇らしげに鳴らされるマーチ風のドラムと同様に、ヴォーカルを勇気づけるように堂々と弾かれるギターが温かく響く。聴いていると、息のあった3人の姿が思い浮かんでくるようだ。
03YOUNG FOLKS
全世界に“口笛ソング”旋風を巻き起こした大ヒット・ナンバー。打ち込み風の安定したリズムの上に、お気楽な“口笛”が乗って、何ともミステリアスな空間が創られる。それをどこまでもポップなメロディが包み込む、彼ら流のポップ・ソングだ。
04AMSTERDAM
ゆったりとしたリズムの中で歌われる“不器用な男”のラブ・ソング。気の抜けた風のヴォーカルで、拭いきれない想いの切なさを表現し、共感を誘っている。それを、楽しげなシンセサイザーが包み込むというユニークな構成も面白い。
05START TO MELT
「僕はだんだん溶けていく」という抽象的な歌詞やタイトルを、エフェクトでぼかしたヴォーカル&フィードバック・ギターで奏でる幻想的なナンバー。目立ったアレンジはされていないものの、徐々にうねっていくギターに注目だ。
06UP AGAINST THE WALL
ミステリアスなシンセサイザーの響きをバックに、テンポ良いドラムがリードする、ニューウェイヴ風のナンバー。爽やかながらも深みのあるヴォーカルや、アクセントの効いたギター、よく練られたアレンジなど、聴きどころ満載の1曲。
07PARIS 2004
時代にとらわれない、爽やかでハッピーなラブ・ポップ。ギターやシンセサイザーが作り出す優しい響きは、心癒されるものがある。個々の楽器を上手に使い分ける彼らのセンスが感じられ、紳士的で清々しいヴォーカルも好印象だ。
08LET'S CALL IT OFF
ある恋の終わりという切実なテーマを、暗いムードに覆うことなく、あくまでポップに貫いているところが彼ららしい。テーマにより説得力を持たせる、手作り感あふれるシンプルなアレンジのパワー・ポップ風ナンバー。
09THE CHILLS
天使のような幻想的なシンセサイザーに包み込まれながら、恋人に振られて「もう僕には居場所がない」と歌う。後半に展開する、サウンドがヴォーカルを慰めているかのような、輪郭をあえて曖昧に描いたアレンジが秀逸で感動的だ。
10ROLL THE CREDITS
細やかなストリングス、スティール風に鳴らされるエレキ・ギター、鈴のように鳴り響くクリアな鍵盤など、楽器を有効に使いこなす彼らの器用なプレイが堪能できるナンバー。ヴォーカルも含め、すべての楽器が溶け合っていく過程は感動的でさえある。
11POOR COW
アコギとヴォーカルだけでほぼ構成されたナンバー。耳なじみのよいメロディの上を、重みのある真摯な声色で牧歌的に響かせるヴォーカルは、シンプルな構成でこそ味わえる。アルバム『ライターズ・ブロック』本編のクロージング・ナンバー。
12YOUNG FOLKS
大ヒット・アルバム『ライターズ・ブロック』日本盤のボーナス・トラックとして収録されたリミックス・ヴァージョン。オリジナルに比べてややテンポ・アップし、シンセサイザーを多彩に駆使することでノリの良さが向上している。
13YOUNG FOLKS
アルバム『ライターズ・ブロック』日本盤ボーナス・トラックに収録のリミックス・ヴァージョン。本格的なテクノ・アレンジが施され、名曲の新たな魅力が堪能できる。より気だるさを増した“口笛”部分が聴きどころだ。
14YOUNG FOLKS
大ヒットした“口笛ソング”が、チーム・スキドゥーのリミックスにより、重低音サウンドが冴えわたるエレクトロ・ナンバーに大変身。とはいえ、本来の気だるくもなじみやすいメロディはしっかりと活かされているのでご心配なく。
15YOUNG FOLKS
彼らの代表曲をディスコ風にアレンジした、アルバム『ライターズ・ブロック』日本盤に収録のボーナス・トラック。ベースを大胆にフィーチャーし、シンプルながら迫力を増している。ヴォーカルもよりクールな響きに仕上がった。
仕様
エンハンストCD内容:ヤング・フォークス (ヴィデオ)初回のみスリーヴケース付き