ミニ・レビュー
40年以上の活動歴を持つ彼女の、ひとつの頂点ともいえるアルバムができあがった。ソナタではなく変奏曲を取り上げたところに、その自信もうかがえる。変奏ごとにはっきりと表情を変えながら、全体としてベートーヴェンらしい大きな世界を形作る。確かな聴きごたえ。
ガイドコメント
山根弥生子は1933年生まれ、パリ音楽院に学んだベテラン。本作は70歳を迎えての録音で、「ディアベリ」「エロイカ」の2つの有名曲を中心に、知られざる作品までを収めた変奏曲づくしのアルバム。彼女の円熟の境地が聴ける。
収録曲
ベートーヴェン:
[Disc 1]
01ディアベリのワルツによる33の変奏曲ハ長調op.120
0232の変奏曲ハ短調WoO.80
03イギリスの歌「ルール・ブリタニア」による5つの変奏曲ニ長調WoO.79
04イギリス国歌「神は王を助けたまう」による7つの変奏曲ハ長調WoO.78
[Disc 2]
0115の変奏曲とフーガ 変ホ長調op.35 (エロイカ変奏曲)
026つの変奏曲ヘ長調op.34
036つのやさしい変奏曲ト長調Wo0.77
04ジュスマイヤーの「ソリマン2世」から「たわむれ、ふざけて」による8つの変奏曲ヘ長調WoO.76
05ウラニツキーのバレエ「森の娘」からロシア舞曲による12の変奏曲イ長調WoO71
06パイジェロの「水車屋の娘」の二重唱「心の喜びは失せ」による6つの変奏曲ト長調WoO.70
07パイジェロの「水車屋の娘」のアリア「田舎の愛ほど美しいものはない」による9つの変奏曲イ長調WoO.69