ザ・フレーミング・リップス / ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ

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ザ・フレーミング・リップス / ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ
CD
ミニ・レビュー
オクラホマ州出身、通受けバンドの3年ぶりの新作。優しいメロディと歌、そしてさりげない現代的エフェクト音。よれよれした感触や甘美さのなかに、これだけ不可思議なパワーを感じさせる連中も珍しいのではないか。例によりデイヴ・フリッドマン関与。
ガイドコメント
“永遠の脱臼サウンド”“LSD漬けの白昼夢”“生きる音の実験室”などと形容される偉大なアメリカン・ガレージ/ギター・バンド、ザ・フレーミング・リップスの通算6作目となる待望のアルバム。
収録曲
01FIGHT TEST
02ONE MORE ROBOT/SYMPATHY 3000-21
日本人女性“ヨシミ”と彼女に恋をしたロボットの物語を綴った三部作の一曲目。ウェイン曰く、ヨシミを殺すよう命じられたロボットが彼女に恋をし、自殺を決意する歌詞。奇妙な歌詞に負けず劣らずビートも奇妙なバラード。
03YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS PT.1
日本人女性“ヨシミ”と彼女に恋をしたロボットの物語を綴った三部作の二曲目となるメロウ・ソング。ヨシミがロボットに立ち向かう姿を描いた歌詞は、彼らがたびたび取り上げるテーマ“不可能への挑戦”の変奏ととれる。
04YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS PT.2
日本人女性“ヨシミ”と彼女に恋をしたロボットの物語を綴った三部作の三曲目となるインスト曲。どうやらヨシミとロボットは観衆の前で対決している設定らしく、楽器に加え、電子音や歓声がその情景を奇妙に表現している。
05IN THE MORNING OF THE MAGICIANS
ウェイン曰く「愛を構成する感情的次元のデリケートなバランスについて問いかけた」、まどろみを感じる音風景が心地良いナンバー。45秒〜1分台のアレンジが、歌詞冒頭で歌われる“朝の目覚め”を体言していて感心する。
06EGO TRIPPING AT THE GATES OF HELL
愛されたいと欲する感情を歌ったロマンティックなナンバー。ふんわりとしたメロディもさることながら、いつも以上に繊細な雰囲気をまとっているウェインの歌声が魅力的。韻を踏んだドリーミーなコーラスもまた絶品だ。
07ARE YOU A HYPNOTIST??
「どうなってるんだ? 催眠術?」と歌う主人公。だんだんとストレンジな雰囲気を増大させるサウンドとエコーが深まるコーラスに、聴いているこちらが催眠術にかかってしまいそう。深遠なアレンジの夢心地ナンバー。
08IT'S SUMMERTIME (THROBBING ORANGE PALLBEARERS)
病に倒れた知人の日本人女性を励ますべく書かれた曲だが、彼女の死によりウェイン自身を励ます曲に。死生観が哲学的に歌われた詞を、力強さを備えたメロディでさりげなく補強。リズム面での遊びが満載だ。
09DO YOU REALIZE??
アコースティック・ギターのストローク、ハーモニー、鐘の音が織りなすイントロに早くも感情がうずく。センチすぎるメロディに乗せた問いかけで、またも揺さぶられる感情。稀代のインドア・エモ・ポップ、ここに完成せり。
10ALL WE HAVE IS NOW
未来の自分が終末の訪れを告げに来る歌詞は、藤子・F・不二雄が言うところのSF(“少し不思議”の意)的世界。抑え気味のヴォーカル、落ち着き払ったシンセ・サウンドは、告げられた事実に対する諦念を表現したのか。
11APPROACHING PAVONIS MONS BY BALLOON (UTOPIA PLANTIA)
“都市の上を飛行した一晩―そんな幻想的な冒険の終焉を告げる曲”とウェインが表現する、アルバム『ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ』を締めくくるインスト・ナンバー。近未来ムードを漂わせたサウンドがとても魅力的だ。
12YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS PT.1
曲中に登場する主人公のモデル、OOIOOのYoshimi P-weに敬意を表した日本語カヴァー。「鍛えとんねん」「しばき倒す」に加え、「最悪や」と歌う流麗なコーラスなど、関西人が歌った曲でもそうは聴けない節回しが続出。
(12)ボーナストラック
アーティスト
  • ザ・フレーミング・リップス
    米・オクラホマ州オクラホマシティ出身のロック・バンド。1983年、ウェイン・コイン(vo,g)を中心に結成。当初はガレージ色が強かったが、サイケデリックな音響意識に基づく実験的アプローチを次第に強め、90年代にメジャー契約を得ると、その緻密……
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