ミニ・レビュー
衝撃のデビュー作で、停滞していたロック・シーンを活性化させた救世主フランツ。そんな彼らのセカンド作がこれ! 音はファーストよりもさらにソリッドかつ作り込まれた音に。ファッションも含め今のユース・カルチャーをリードしているのはまさに彼らだ。(結)
ガイドコメント
イギリスはグラスゴー出身の4ピース・バンド、フランツ・フェルディナンドの2ndアルバム。アート感覚にあふれたスタイリッシュなサウンドはまさに21世紀を代表するロックンロールだ。
収録曲
01THE FALLEN
80年代の匂いと現代のスタイリッシュさが同居した、フランツの真骨頂といえるナンバー。横ノリの絶妙なリフに乗っていくと、どんどんメロディが変化していく感覚や、ユーモラスなコーラスが心地良い。
02DO YOU WANT TO
“女の子を躍らせる”ためバンドを始めた彼らの思惑通り、女の子はもちろん、男、子ども、年寄り……誰もが踊りだすようなグラマラスなパーティ・チューン。アナログな音質からデジタルに変化するイントロも、ドラッギーな魅力たっぷり。
03THIS BOY
縦ノリのビートが効いた、フランツ史上最高にアグレッシヴなナンバー。彼らならではのスタイリッシュさにあふれつつも、ヘヴィ・メタル的な呪術的ギターとアレックスの低音ヴォーカルがフィットしている。
04WALK AWAY
フランツには珍しい、“聴かせる”系のメロ重視の楽曲。緩やかで遠くから流れるラジオを聴いているような序盤から、サビで一気にひきつける音作りはさすが。悲しい歌もどこか突き放すように歌うアレックスの声がクール。
05EVIL AND A HEATHEN
変にこもって響く音質から、感情を露わにするアレックスのヴォーカル・スタイル、ロカビリーを取り入れた跳ねたリズムと、すべてが新しくコンセプチュアルに作りこまれた楽曲。“ロック”の持つ暴力性を凝縮したかっこよさのある作品だ。
06YOU'RE THE REASON I'M LEAVING
マイナー調の楽曲に、フランツ特有のキレのあるビートとクールなギターが活きたロック・ナンバー。裏に流れるメロディも地味ながらフックが効いている。ラジオからR.E.M.が聴こえてくる、という歌詞が印象的。
07ELEANOR PUT YOUR BOOTS ON
ピアノとアコースティック・ギターの音色、アレックスのささやくようで力強い歌い回しなど、楽曲を構成するすべてが優しいナンバー。サウンド、詞世界ともにボブ・ディランからの影響を強く感じる作品だ。
08WELL THAT WAS EASY
疾走感とスタイリッシュさに心地よく乗っていくと一気にスロー・ダウン。そしてサビで劇的に盛り上がってはスローに、とリズム・チェンジの激しい個性的なナンバー。エロティックなギターも、全体の味付けに効果的に響いている。
09WHAT YOU MEANT
ドラッグを題材にした不思議な世界観のナンバー。ハード・ロック的なギター・リフと後期ビートルズ風のメロディ、サイケデリックを思わせる音作りが絶妙に絡み合って心地良い、珠玉のポップ・チューン。
10I'M YOUR VILLAIN
フランツの過去作品の雰囲気と同時に、新しさも兼ね備えたベース・ラインの素晴らしいナンバー。パンキッシュなサビへ導いていく、重なるギターのリフやドラムも賑やかでキャッチー。
11YOU COULD HAVE IT SO MUCH BETTER
フランツのなかでも特にハードな一面を剥き出しにしたような、アルバムの表題曲でもあるハード・ロック・チューン。たたみ掛けるようなギター・リフと、負けじと熱くなるアレックスのヴォーカルが爽快。
12FADE TOGETHER
悲しげに奏でるアコギとピアノ、不穏な空気を運ぶようなベースが、“二人で逃げよう”という愛の歌を、決して完璧な幸せには映さない世界観へ作り上げている。サイケデリックな魅力も湛えた不思議な雰囲気のナンバー。
13OUTSIDERS
タイトに刻まれるギターのリフがクールな印象を残す、都会的な作品。“僕らは僕らの道を行く”と歌う詞とともに、不安な世の中を表わすような複雑なリズムが、鋭い視線に満ちたナンバーだ。
14YOUR DIARY
彼らの2ndアルバム『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』の日本盤ボーナス・トラックとして収録されたナンバー。クールなギター・リフ、グラマラスでキャッチーなメロディと、フランツの魅力を凝縮したような作品だ。
15FABULOUSLY LAZY
フランツの2ndアルバムに、日本盤ボーナス・トラックとして収録されたナンバー。複雑なリズムの多い彼らの楽曲の中でも、かなりストレートでポップなロック・チューン。美しいコーラスの重なるサビが非常にキャッチー。