ミニ・レビュー
スラッシュ・メタル・バンドとしてはメタリカに続いて2番手あたりの人気を獲得しているメガデス。テーマはどうやら人類破滅への警告らしく、ジャケットのイラストがそれを象徴している。サウンドはスピーディーで、クリアな音造りが心地よい。
収録曲
01SKIN O' MY TEETH
攻撃的なギター・リフが疾走感を生むメタリックで重厚なナンバー。粘りつくような荒々しいヴォーカルに痛々しい歌詞もアグレッシヴだ。流麗に弾き倒されるギター・ソロ・パートがいいアクセントになっている。
02SYMPHONY OF DESTRUCTION
地を這うようなギター・リフとヘヴィなリズムに首を振らずにはいられない、90年代のメガデスを代表するナンバー。うなるようなデイヴ・ムステインのヴォーカルと歌うようなマーティ・フリードマンのギター・ソロの対比も面白い。
03ARCHITECTURE OF AGGRESSION
マシンガンの銃声からスタートするヘヴィ・チューン。グルーヴィなリフ・ワークが楽曲を引っ張り、低音でうなるようなヴォーカルと金属的なトーンのベースが、さらに重厚なるうねりを増幅させている。
04FORECLOSURE OF A DREAM
ゆったりとしたギターのアルペジオで幕を開けるバラード・チューン。冷淡に、言い含めるかのように歌い上げるデイヴ・ムステインのヴォーカルが、じわじわと迫りくるヘヴィさを演出している。
05SWEATING BULLETS
ヘヴィにスウィングするリズムと、語り掛けるようなヴォーカルが特徴的なナンバー。隙間を活かしたジャジィな横ノリ・ビートとザクザクしたヘヴィ・ギターの組み合わせが絶妙で、緊張感が全編にみなぎっている。
06THIS WAS MY LIFE
メガデスの楽曲の中ではわりとアクが少なくオーソドックスな歌ものといえる、ヘヴィだがシンプルなナンバー。ただし、絶望感に満ちた心情が淡々と歌われるところは、いかにも彼ららしい。
07COUNTDOWN TO EXTINCTION
デイヴ・ムステインの淡々としたヴォーカルを主軸に据えた、ヘヴィだがシンプルな歌ものナンバー。ダークな曲調の裏で奏でられるメロディックなギター、そして、エンディングへと至るパートの美しいツイン・ギターも聴き逃せない。
08HIGH SPEED DIRT
切れ味鋭いギター・リフ・ワークとタイトなリズムが肝の、ソリッドなメタル・チューン。意外にも、タイトルから想像される極端なスピード感は味わえないが、重厚感をともなうサウンドがうねりを上げて駆け抜け、ラストは地面へと叩きつけるように終わる。
09PSYCHOTRON
サイコトロンとは戦闘マシーンと化した兵士のこと。そのイメージどおりのメカニカルな曲想を持ったヘヴィ・チューンで、ザクザクと刻まれるギターと淡々とした語り口調は、メガデスならでは。
10CAPTIVE HONOUR
アルペジオ・ギターで静かにスタートし、法廷劇の様子から、ヘヴィかつハードに展開するドラマティックなナンバー。狂気をはらみながらアグレッシヴに炸裂するエンディング間近のギター・ソロもインパクト十分だ。
11ASHES IN YOUR MOUTH
アグレッシヴなギターとプログレッシヴなリズムが暴れまくるヘヴィ・チューン。ドラマティックな曲展開の中で、シアトリカルなヴォーカル、メロディアスかつ緻密に組み立てられたギター・ソロがいっそう映える。
12BREAKPOINT
全編でヘヴィ・ギターが暴れまくるアグレッシヴなスラッシュ・メタル・チューン。切れ味鋭いギター・リフ、畳み掛けるようなドラミング、シニカルなヴォーカル、流麗なギター・ソロのバランスの妙も素晴らしい。
13GO TO HELL
ヘヴィなベース・ランで幕を開け、ギター・リフの展開、そこから重厚なヴォーカル・パートへ……と、ドラマティックな展開が楽しめるナンバー。おやすみ前のお祈りを冒頭と終盤に配した構成も面白い。