ミニ・レビュー
渋谷穀のピアノ、川端民生のベースが、なにしろ素晴らしい。小沢のソングライティングの才の証しであろう。軽やかで透明感があって芯が太いサウンドは心地好い。シンプルな音構成がむしろ歌と楽器の関係にふくらみを与えているのが非凡なところだろう。
収録曲
01ブルーの構図のブルース
ハイテンションな“オザケン”像を覆してファンを驚かせた、ボサ・ノヴァ調のしっとりとしたジャズ・ナンバー。洗練されたメロディはもちろん、渋谷毅のピアノを始め、超ハイクオリティな演奏もエレガントなムードの根拠となっている。
02大人になれば
オザケンのあどけないヴォーカルと渋谷毅のスマートなピアノが見事にマッチした、まさに“大人じゃないような子供じゃないような”、絶妙のジャズ・ナンバー。カフェ・タイムのお供に最適な、至福のオシャレ・サウンドをご堪能アレ。
03Ale?
「アレ?」レコーディング中にふと出たと思しき一声をサンプリングし、「球体の奏でる音楽」のフレーズに仕立ててしまったユニークなインタールード。思わずニヤッとしてしまうことを仕掛けるのが得意な、オザケンらしいお遊びだ。
04ホテルと嵐
服部隆之率いる“球体多重奏団”なるビッグ・バンドを従えた豪華なナンバー。ジャズ・ファンも狂喜乱舞する一流の演奏をバックに、旅先での感動を無邪気な少年のごとく瑞々しく、そしてスウィンギーに綴るオザケン・ワールドの新境地。
05すぐに会えるかな?
大自然の美しさ、命の歓びを高らかに謳い上げる、カリブ・テイストの爽やかギター・ポップ。“荒れ果てた街からも、優しい手紙が書けるように……”、そんな人類愛あふれるオザケン・ワールドに感動を禁じえない、名曲中の名曲だ。
06旅人たち
「球体の奏でる音楽」のメロディに、彼ならではの芸術的叙景詩をつけた穏やかなバラード。ロマンティックなハープの伴奏に合わせてしっとりと歌う、いうなればオザケン版「星に願いを」といった趣の、大人のための名曲。
07球体の奏でる音楽
3rdアルバムのタイトル・トラックにもなっている、優雅で心地良〜いチェンバー・ミュージック。服部隆之率いる“球体多重奏団”によるエレガントな演奏と、おおらかなオザケン・ワールドが見事に調和した、奇跡のコラボレート作品。
08みんなで練習を
レコーディングの合間の練習風景を収めた40秒程のテイク。リラックス・モードのオザケンと終始湧きおこる笑いに、その場の和やかな空気が手に取るように伝わってくる。『球体の奏でる音楽』の終わりを後味良く締めてくれる、素敵なエピローグだ。