ベン・フォールズ・ファイヴ / ワットエヴァー・アンド・エヴァー・アーメン

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ベン・フォールズ・ファイヴ / ワットエヴァー・アンド・エヴァー・アーメン
CD
ミニ・レビュー
製作費が増えたからなのだろうか、BF5待望のニュー・アルバムは、ピアノ中心に展開していたファーストと比べるとずいぶん奥行きと彫りの深さが感じられる内容。ストリングスやホーンによるアレンジもカラフルだし、楽曲の作風も幅が広がった感じだ。
収録曲
01ワン・アングリー・ドワーフ・アンド・トゥーハンドレッド・サラム・フェイセズ
鬼気迫る超絶プレイに度胆を抜かれる、BF5史上最強のグルーヴ・チューン。いじめられっ子が大物になって、いじめた奴らを吊るし上げていくという、その超痛快ストーリーにふさわしい、ヴォルテージが上がりっぱなしの、戦慄の4分間!
02フェアー
描かれるのは、男女の悲劇的な結末。恋愛において何が起ころうと、それはfair(公平)なことだという、ことわざのごとく深い意味を秘めた名曲。緻密に作り込んだ構成に音へのこだわりが見受けられる、都会的ポップ・チューン。
03ブリック
本国でのブレイクのきっかけとなった、記念すべき3rdシングル。妊娠中絶後のカップルを描いたシリアスな内容で、大ヒットは、その楽曲の素晴らしさに尽きる。人間の感情のさまよいを丹念に描き出した、深く、美しい、名バラード。
04ソング・フォー・ザ・ダンプト
さんざん貢いであとひと押し、というところで振られたという、ダレンの実体験に基づく失恋ソング。破れかぶれな傷心を笑い飛ばすかのごとく、プレイは超痛快。野郎のヤケクソ感が華々しく炸裂する、スウィンギンなロック・チューン。
05セルフレス、コールド・アンド・コンポーズド
ベンの伸びやかなファルセットが心地よい、ジャズ・テイストのミドル・チューン。初期作品に見えるパンキッシュな衝動は薄れたものの、そのリリックはいたってアグレッシヴ。皮肉にあふれたジャブを優雅に食らわす、心憎い逸品。
06シガレット
主人公は精神を病んだ妻を抱えるフレッド・ジョーンズなる男。妻の奇行を憂う彼の心情を、消え入りそうなヴォーカルで弾き語る。クラシックのマナーを踏襲した、繊細なフィンガー・ワークを披露する、切なくも美しい小曲だ。
07スティーヴンズ・ラスト・ナイト・イン・タウン
自称ポール・マッカートニーの知人、スティーヴンなる男の物語は、ユダヤ音楽界のカリスマ、クレズマティックスをゲストに迎えた超豪華作品だ。強烈なグルーヴの中を、東欧然とした哀愁の旋律が舞う、絶妙のジャズ・ナンバー。
08バトル・オブ・フー・クッド・ケア・レス
完璧なコーラス・ワークで爽やかに幕を開ける、キャッチーなミドル・チューン。エルトン・ジョンを彷彿とさせるやさしいメロディ・ラインを随所で聴かせるも、そのアイロニカルな隠喩に富んだリリックは、やはりベン・フォールズならではだ。
09ミッシング・ザ・ウォー
ジョン・レノンを思わせる、穏やかな弾き語りで幕を開けるバラード・ナンバー。パワー・ポップ然とした重厚なコーラスを配し、しだいに音に厚みを増すドラマティックな展開は、かつてのパンキッシュな彼らにはない大人の聴かせ方といえる。
10エヴァポレイテッド
もうどこかへ行ってしまいたい……そんな思いの先に浮かんだのは、故郷の面々。ショウビズに疲れたベンが本音を吐露した、等身大の作品といえる。あふれ出る涙のごとく、繊細かつドラマティックに想いを紡いだ感動のバラードだ。
11金返せ
ヤケクソ失恋ソング“SONG FOR DUMPED”の日本語ヴァージョン。世界に先駆けて彼らの才能を認めた、日本のファンへの感謝の意の表われだろう。そのサービス精神とベンの可愛い日本語に、口元も緩む好テイクだ。
アーティスト
  • ベン・フォールズ・ファイヴ
    1993年にベン・フォールズ(vo、key)を中心に米国ノース・キャロライナ州で結成されたピアノとベース、ドラムスのロック・トリオ。1995年に『ベン・フォールズ・ファイヴ』でアルバム・デビュー。ピアノを軸に据えたポップで品のよい甘さのメロ……
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