ミニ・レビュー
日本語を音感的にとらえることにかけてはおそらく日本一のふたりが、素晴らしすぎるアルバムを作ってしまった。一見ルーズに聴こえる掛け合いも実は相当スリリング。手すさびのような歌詞から、ふとこぼれ落ちるほろにがい思いにも泣かされます。★
収録曲
01佗び助
アルバム『ショッピング』のオープニング・ナンバー。詞を深読みしようとするリスナーをあざ笑うかのようなユーモラスな詞と60年代のギター・ロックを忠実に再現したようなサウンドが、心地よい化学反応を生み出している。
022カーズ
奥田民生のヴォーカルがフィーチャーされたロック・ナンバー。高速道路を走る車についてありのままに描写した詞だが、道中で受ける“雨”や“風”は人生におけるピンチな状況を表わしているとも解釈できる。
03相当な決意
井上陽水のニュー・ミュージック的なテイストがフィーチャーされたクールなポップ・チューン。奥田民生のノイジーなバック・ヴォーカルとのからみも聴きどころだ。冒頭の『太陽にほえろ!』のテーマを模したギター・リフは、民生の遊び心か。
04ショッピング
街中をウキウキしながら闊歩する女性の心理を描写したナンバー。ピアノをフィーチャーしたジャズ・テイストのサウンドは、「ショッピング」という言葉の持つポジティヴさを表わしているよう。井上陽水の素の笑い声が微笑ましい。
05意外な言葉
民生ワールドが全開の渋いブルース・ロック・ナンバー。「そうなんだよ きっと サヨナラなんだ」と、ブルージィなギター・サウンドと対話するかのように飛び出す民生の重い言葉が、世の男性の共感を呼ぶはずだ。
06カラフル
オルガンとパーカッションがハワイアンなムードを醸し出す緩やかなナンバー。好きな女性の体の好きな部分を分析して心を満たす。男のそんなどうしようもない性を、井上陽水が独特の伸びやかな声で歌う。
072500
冒頭で星の数を「2500」とキッパリ歌いながらも、「君を夢見て 数限りなく」と終わるあたりがなんともロマンティック。ギター・ソロへと向かう壮大な展開が聴きどころだ。マンドリンのオリエンタルな雰囲気も絶妙な、夏の夜にぴったりのナンバー。
08AとB
井上陽水がメイン・ヴォーカルの60年代オールディーズを意識したポップ・チューン。今となっては過去のものとなったカセット・テープを題材に、要所で人生と重ね合わせたりするところが心憎いセンチメンタルなナンバー。
09月ひとしずく
小泉今日子に提供したナンバーをセルフ・カヴァー。アコースティック・ギターとシンセをフィーチャーしたしっとりとしたアレンジが、まさに月の綺麗な夜を連想させる。「人にまかせて 僕らは行こう」という肩の力が抜けた歌詞もいい。
10手引きのようなもの
井上陽水がメイン・ヴォーカルのバラード。アコースティック・ギターのシンプルなアレンジに乗せた伸びやかな歌声は、人生に悩んでいる人に対して、ニュートラルな状態でいることの大切さを諭しているかのようだ。
11ありがとう
12アジアの純真