ミニ・レビュー
『バニシング・ポイント』をまるごとダブ化しちゃったダブ・アルバム。エイドリアン・シャーウッドによるダブ・ミックスは比較的抑制の利いたものだが、ダビーな『バニシング・ポイント』以上にダビーな『エコー・デック』が気持ちよくないわけはない。
収録曲
01LIVING DUB
『バニシング・ポイント』収録曲「Long Life」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。メロウな原曲のムードが、エコーを強化したダブ・サウンドの前に粉微塵。原曲を建設現場で聴いているかのような気分だ。
02DUFFED UP
『バニシング・ポイント』収録曲をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。公式資料によると、原曲は「Get Duffy」なのだが、さてこんな曲だったろうかと不安になるほど刺激を増した音風景に様変わりしている。
03REVOLUTIONARY
『バニシング・ポイント』収録曲「Star」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。オーガスタス・パブロが吹くメロディカの音色を、穏やかさは残しながら細分化処理したエイドリアン。大胆かつ見事な手法だ。
04JU-87
『バニシング・ポイント』収録曲「Stuka」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。原曲のドラッギーな音風景に、さらに虚空的な気配が加えられていて刺激も数百倍。原曲が可愛く思えるほど凶暴なサウンドだ。
05FIRST NAME UNKNOWN
『バニシング・ポイント』収録曲「Kowalski」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。映画からの台詞の引用がより効果的になっているなど、原曲への批評的なスタンスを通じダブの手本を示しているかのようだ。
06VANISHING DUB
『バニシング・ポイント』収録曲「Out Of The Void」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。倦怠感漂う曲調が、さらにキメすぎてコズミックなサウンドへと深化。宇宙の最果てで聴く底なしダブ・トラックだ。
07LAST TRAIN
『バニシング・ポイント』収録曲「Trainspotting」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。原曲が自身の作曲のためか、他のミックス曲に較べ、やりすぎ感は少なめ。原曲でのアイディアをより煮詰めたような仕上がりに。
08WISE BLOOD
『バニシング・ポイント』収録曲「Long Life」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。同じ曲を基にした「Living Dub」以上に過激なミックスが施されており、プライマル・スクリーム色はもはや見る影なし。
09DUB IN VAIN
『バニシング・ポイント』収録曲「Medication」をエイドリアン・シャーウッドがダブ・ミックス。「むなしき愛」ならぬ「むなしきダブ」と題し、70年代ローリング・ストーンズ風トラックをダブ越しに聴かせてくれる。