ミニ・レビュー
14年目にしてまたまた放たれた快作。1年半振りの新作は、ガサツさこそやや減ったものの、うれしくなっちゃう全員攻撃ぶりに突き抜けたものをひしひしと感じさせる。大仰なバラードのエグさもいいし、ビートルズのカヴァーも聴きのがせないし。さすが。
ガイドコメント
ドラッグ一切抜きの100%フィジカルな状態で制作されたアルバム。全米チャート3位「エンジェル」もあって大ヒット・アルバムとなった。ビートルズのカヴァー(11)も収録。87年発表
収録曲
01HEARTS DONE TIME
サイレンに導かれてスタートするパワフルなロックンロール・チューン。ルーズなギターとタイトなドラミング、のっけからハイ・テンションなヴォーカルが一体となり、エアロスミスならではのハード・ロック・ワールドを作り上げる。
02MAGIC TOUCH
パワフルでタイトなドラムスとシンプルなギター・リフで幕を開けるロックンロール・ナンバー。メロディアスでキャッチーな曲調ながら、骨太なハードネスも兼ね備えているところがエアロスミスならでは。
03RAG DOLL
豪快なドラム・ビート、滑らかなスライド・ギター、そして、ファンキーなヴォーカルが三位一体となった、グルーヴィなハード・ロックンロール・ナンバー。ホーン・セクションの導入によるゴージャスな仕上がりにも注目したい。
04SIMORIAH
軽快なギター・リフを持つライトなノリのハード・ロック・ナンバー。スティーヴン・タイラーのヴォーカルもいい意味で力が抜けている……と思いきや、やはりサビでは強力なシャウトをキメてくれる!
05DUDE (LOOKS LIKE A LADY)
グラマラスなエアロ流ロックンロールの旨みがたっぷりの大ヒット・チューン。ホーン・セクションを使ったゴージャス感あふれるアレンジが絶妙で、ダンサブルでファンキーな曲調に映えるブルージィなギター・ソロも聴きごたえ十分だ。
06ST. JOHN
黒人音楽からの影響が色濃い、いぶし銀のブルース・ナンバー。シンプルながらグルーヴィなロックンロールとしても見事に完成されており、随所に挟み込まれるギター・ソロがまた骨太でなんとも渋い。
07HANGMAN JURY
アコースティック・ギターとブルース・ハープの絡みが味わい深いカントリー調のナンバー。シンプルな前半からはアメリカのルーツ・ミュージックからの影響が強くうかがえるが、後半には力強いグルーヴがグッと前へ出てきている。
08GIRL KEEPS COMING APART
キャッチーでノリのいいロックンロール・チューン。跳ねるリズムに乗ったラップ調でもあるヴォーカル、ファンキーさを演出するホーン・セクション、ハードなギター・ワークが見事に一体化されている。
09ANGEL
87年に全米シングル・チャート3位を記録したバラード。いかにも80年代的な甘いメロディとゴージャスなアレンジで泣かせる一曲。“売れ線狙い”と揶揄されたりもしたが、楽曲のクオリティは間違いなく高い。
10PERMANENT VACATION
骨太のギター・リフを持った“いかにもエアロスミス”なロックンロール・チューン。70年代の初期エアロに通じるパワフルなグルーヴとストレートなヴォーカルの感触は、低迷期からの完全復活を印象づけた。87年発表作のタイトル曲。
11I'M DOWN
エアロスミスお得意のザ・ビートルズのカヴァー。ソリッドなギター・ワークによって、ややハードな印象があるものの、基本的にはオリジナルに忠実なアレンジになっている。うまく力の抜けたコーラス・ワークも絶妙だ。
12THE MOVIE
固い音色のベースから始まるヘヴィなインストゥルメンタル・ナンバーは、全編がダークな雰囲気で支配されている。さまざまな言語による女声(日本語もあり)が挿入されたりして、どこか異質でプログレッシヴなムードを漂わせている。