ミニ・レビュー
大幅メンバー・チェンジの後、満を持してのリリースされた90年のアルバム。プロデューサーは、ガンズ&ローゼズにも携わったマイク・クリンクが担当。従来のスラッシュ・パワーをキープしつつも、新ギタリストのマーティ・フリードマンの流麗なプレイが新しい魅力を彼らに加えた。傑作。
収録曲
01ホリー・ウォーズ…ザ・パニッシュメント・デュー
鋭角的なリフが疾駆するアグレッシヴなメタル・チューン。ツイン・ギターが絡む東洋的なフレーズによるブレイクから、ヘヴィ・パートを経て再び疾走してクライマックスを迎える構成が実にドラマティックだ。
02ハンガー18
墜落したUFOと宇宙人が収容されているという米空軍基地の第18格納庫について歌ったナンバー。イントロのザクザクとしたギター・リフから、メロディックなパッセージを経てラストの延々と続くソロ・バトルまで、ドラマティックなギター・プレイの連続は圧巻!
03テイク・ノー・プリズナーズ
スピーディでアグレッシヴなリフが楽曲を引っ張る、パワー満載のスラッシュ・メタル・チューン。デイヴ・ムステインのダミ声ヴォーカルの合間に挟み込まれた、男臭いコーラスもいいアクセントになっている。
04ファイヴ・マジックス
緩急自在のドラマティックな曲展開を持つナンバー。ヴォーカル・ヴァースの合間に切り込んでくるギターが実にスリリング。中間部のエキゾティックなソロ、終盤の畳み掛けるようなソロ・パートもインパクト充分だ。
05ポイズン・ワズ・ザ・キュア
不穏なムードを放つイントロダクションに導かれ、一気にテンポ・アップするアグレッシヴ・チューン。古典的なメタリック・リフが疾走し始めると、残りの2分弱はもう突き進むのみ。流れるようなギター・ソロも素晴らしい。
06ルクレチア
緻密に組み立てられたリフを持つメタル・チューン。ノリよいリズムと意外に明るめのメロディ・ライン、そして、エキゾティックなフレーズで迫るギター・ソロ……。そのすべてがコンパクトにまとまった佳曲だ。
07トルネード・オブ・ソウルズ
インパクト充分なイントロ・リフだけでヘッドバンギングを誘うアップ・テンポのナンバー。アグレッシヴなサウンドとひねくれたヴォーカル・ラインの相性も抜群で、マーティ・フリードマンによるエモーショナルなギター・ソロがまた素晴らしい。
08ドーン・パトロール
ベース・リフとドラムスの反復だけでプレイされる、2分に満たないごくシンプルな小曲。自問自答するようにうめく、地球環境の悪化を憂うヴォーカルは、まるで暗闇の中から響いてくるかのようだ。
09ラスト・イン・ピース…ポラリス
米海軍の核搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイルの名称を曲名に冠したナンバー。グルーヴィなリフを冷淡に響かせ、ぶっきらぼうに言葉を吐き捨てる。しばしのブレイクに続くギター・ソロの応酬が、エンディングを彩る。